6本目
上村人に転職してから1週間、初めてのモンスターと邂逅を果たす。
あ~、俺が会いたかったモンスター、俺が恋い焦がれたモンスター、しかも相手はファンタジー御用達のゴブリン様だ。
ゴブリンは正直言って雑魚だ。しかしっ!しかしだっ!奴らはその繁殖力を盾にわらわらと次から次へと数を増やしていく。
その為、博愛主義の父ですら見かけたら容赦なく仕留める。それは最早、博愛主義ではないが細かいことはどうでも良い。
大事なのはゴブリンが俺の前に現れたということだ。
奴らは狩り尽くしたとしても父から止められることもなく、むしろ褒められる獲物でしかない。
ヒャッハー!ゴブリンは皆殺しだぁー!
相手は3匹。
俺は素早く矢筒から矢を引き抜くと弓につがえて、発射。矢が奴らを穿つのを確認する前にアーツ『早射ち矢』を発動。狙いは2匹目。
1本目の矢がゴブリンのこめかみに刺さるや2本目の矢もゴブリンの眉間を捉えて即死させる。これで2匹終わり。
最後のゴブリンは仲間が矢で倒れるのを見るなり、近くにあった木の陰へと身を隠した。
俺は余裕を持って3本目の矢を矢筒から抜くとアーツを発動。
弓術Lv2で修得可能技『曲射ち矢』。
的から大きく右にずれた位置へ矢を放つ。
放たれた矢は大きく弧を描き、木の裏に隠れるゴブリンに突き刺さり、ドサッという音と共に倒れて頭から矢が生えたゴブリンの頭部が見えた。
【ゴブ・即・射】完了
相変わらず、俺はいい仕事っぷりだ。隣で父もうんうんと頷いている。
「ところで父さん、ゴブリンってお金になるの?」
「銅貨1枚にもならないな」
父の返事は無情だった。
「だが冒険者になれば、銅貨2枚(約200円)になるぞ」
何だってっ!?ゴブリンの命は約200円の価値しかないのかよ!憐れゴブリン。
「最近、お前が考えていることがだいたい分かってきたぞ。ずばりっ!お前は今、冒険者になりたいと思っただろ!」
いずれは冒険者になるつもりではあるけど、全然違うから・・・。
「残念だが冒険者になるには町にある冒険者ギルドに登録しないとなれないからな。あきらめろよ」
あっ!新手のゴブリンだ。
俺は弓を構えて、弓術Lv3アーツ『貫通矢』を発動。
発射された矢は俺から見て重なりあった1匹目のゴブリンの頭を突き抜けて2匹目の頭に突き刺さり、止まる。
残りは3匹。
怒りの形相で向かってくる。
アーツ『早射ち矢』で1匹。続いて《技再使用時間》が解けた『貫通矢』を再び放ち、2匹まとめて眉間をぶち抜いた。
本日は実に有意義な狩りだ。
その後もゴブリンをザクザクと討伐し、今日1日での合計は21匹となった。
名前:アガト
属性:《無》
職業:上村人『Lv:6/30』
SP:5
STR:32
VIT:32
INT:32
MND:32
DEX:32
AGI:32
LUK:32
《スキル》
1.『弓術Lv:4/10』
2.『索敵Lv:4/10』
3.『隠密Lv:4/10』
4.『解体Lv:3/10』
5.―
6.―
7.―
8.―
9.『健康体Lv:5/10』
10.『無限収納』
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【弓術技一覧】
Lv1.『早射ち矢』
(クイックショット)
Lv2.『曲射ち矢』
(カーブショット)
Lv3.『貫通矢』
(ペネトレイトアロー)
Lv4.『扇射ち矢』
(ワイドショット)
Lv5.『追尾矢』
(スティンガーアロー)
Lv6.『分身矢』
(ミラージュアロー)
Lv7.『閃光矢』
(シャイニングアロー)
Lv8.『爆裂矢』
(バーストアロー)
Lv9.『彗星光』
(ミーティアライン)
Lv10.『流星群雨』
(スターダストレイン)