32本目
弓術アーツ発動。Lv6.『分身矢』とLv10.『流星群雨』のダブルアーツ。
監視塔から放たれる空を埋め尽くす程の矢雨。
防衛戦が始まってから、これで5度目の大規模アーツ。
効率よくオーク共を仕留める為に木の矢から鉄の矢に変更して、攻撃力自体も上げている。
「アガトさんが居れば、この辺境都市アンドリュースは安泰だな」
傍にいる兵士達が話している内容が耳に聞こえてくる。
「そうだな。アガトさんに敵う奴なんていないんじゃないか」
大量の矢が降り注ぐ、この光景に兵士達も慣れた様子で緊張感は微塵もない。
そんな兵士達の会話を横目に俺は矢が降り止むのを見届けるといつものように兵士達に後を任せる。
「後は瀕死のオーク共だ。お前達でもなんとか出来るだろう」
「「はい!お任せください」」
威勢の良い兵士達の返事に軽く手を上げて応えると振り返ることもなく、俺はさっさと冒険者ギルドへと戦果報告に戻るのであった。
辺境都市アンドリュースに来て、早くも1年が経つ。
レベルの方もとっくに上級職業はマスターしており、今ではこの世界において数人しか辿りついていない、最高峰である天級職業に就いている。
しかし、俺の成長は半年以上前から停滞している。
というのも上り過ぎたステータスのせいで所謂、調整が入ってしまい、レベルが上がらなくなってしまったのである。
なのでこれ以上、強くなる為にはオークなんかよりも強力な敵と戦う必要がある。
ではなぜ、意識高い系向上心の塊である俺が未だに辺境都市で燻っているかと言うとお金稼ぎを兼ねて、仲間のレベリングをしているのだ。
まあ、仲間というか俺の女達なのだが。
エルフの里でのイベントを瞬殺で終わらせた後、無事にこの辺境都市には再びオーク共が攻めてくるようになった。
そこからレベル上げすること1ヶ月。
タケノコもびっくりな成長を遂げる俺は上級職業を全てマスターしてしまったのだ。
その為、当初の予定を達成した俺は次の目的地である王都に向かうため、みんなに別れ話をしたところ、別れるのは嫌だ自分達もつれて行ってほしいと乞われ、それを了承した俺は彼女達が王都で優雅に過ごせるよう資金を稼ぐべく、今日までここアンドリュースでオーク共の相手をしていた。
ではなぜ彼女達をレベリングしているかといえば、調整のせいで俺には経験値が入らなくなったのに経験値を稼いでいるのが単純に勿体なかったからだ。
そんな俺の思い付きに付き合わされた彼女達は全員、今日までのレベリングで下級と中級職業はカンストしており、上級職業へと至っている。
なのでステータスだけを見れば、全員が上位冒険者相当になる。
お金のほうもこれまでにオークを既に300万匹くらいは軽く倒しているので日本円にして、100億円くらい貯まっている。
このお金で王都の貴族街に豪邸を買って、ついでに彼女達をメンバーにしてハーレムクランを立ち上げる予定だ。
最後に色々と変わった俺のステータスでも見せておこう。
名前:アガト
属性:《無》+《天》
職業:天弓士『Lv:0/300』
SP:405
STR:1440
VIT:1480
INT:1850
MND:1530
DEX:1890
AGI:1480
LUK:590
《スキル》
1.『魔弓術Lv:10/10』
2.『原初魔法Lv:10/10』
3.『雷魔法Lv:10/10』
4.『氷魔法Lv:10/10』
5.『神聖魔法Lv:10/10』
6.『光魔法Lv:1/10』
7.『魔闘術Lv:10/10』
8.『クリティカルLv:10/10』
9.『夜空の魔眼Lv:―』
10.『健康体Lv:10/10』
11.『無限収納』
まず、属性に《天》属性が増えたがこれは天級職業に就いた恩恵だ。
効果は全ての属性に対して1.2倍のダメージを与えれるようになった。
職業については特に説明は必要ないと思うので次は能力値。
見たまんま跳ね上がりました。
次は本命のスキル。
上から順にいくとして、まずは『魔弓術』。
上級職業の魔弓士をマスターしたことにより、弓術が発展。
自身の魔力から魔力矢を創造し、放つことが出来るようになった。つまり、魔力さえあれば最早、物理的な矢は必要なくなったのである。
でも、俺はこれからも普通に矢は使うがな。
次は『原初魔法』。
この原初魔法は単純に火水風土の4属性魔法が統合されたスキルであり、4属性の魔法が使えるのにスキル枠がひとつにまとめられたことにより、枠を圧迫しなくて済む、素晴らしスキルだ。
お次は『雷魔法』と『氷魔法』だがこれは普通に上級魔法である。
サクサクいこうかな。
『神聖魔法』はこれも回復と補助魔法が融合した素敵スキルであり、『光魔法』もレベルが10になれば、ここに吸収されることとなる。
最後は『魔闘術』。
これは体術から進化した上級スキルである。
体術とは違いは近接戦闘時、体に魔力を纏って闘うことが出来るようになり、戦闘力が向上する。
そう言えば、スキル欄にはないが錬金術も覚えており、そちらはSPを使用して、レベル10まで上げてある。
さて、準備は万端なので次は王都で暴れるとしようかな。




