31本目
今、俺は翠に跨がり、美女エルフのキーラとエルフの里へと向かっている。
そのキーラと言えば、俺の後に跨がり、締めつける程の熱い抱擁で俺にしがみついている。
それにしても昨夜は実に楽しいひとときであった。
エルフの里から初めて出てきて、右も左も分からないキーラに手取り足取り腰取り、教えてあげるのはほんとに最高であった。
さて、俺が思い出し笑いしそうになった頃、襲撃された場所へと近付いてきた。
また、昨日のように襲撃されては面倒なので弓術アーツLv1.『早射ち矢』を発動。
俺の魔眼は既に昨日、襲撃してきたエルフを捉えており、射たれる前に射ってやった。
俺の放った矢はエルフの右肩を貫き、奴ごと後ろにあった大樹へと縫い付けた。
これで身動き取れまい。
キーラに至っては俺に惚けており、俺が矢を放ったことすら、気付いていない様子。
その後、5人程『男』のエルフの見張りがいたので同じ目に会わせてやった。これですんなりとエルフの里に入ることが出来るだろう。
何事もなく、エルフの里に着いた俺達は矢と精霊魔法の熱烈な歓迎を受けている。
主に俺がであるが。
「お願い、風精霊。敵を切り裂いて!」
『女エルフAのこうげき。▼
アガトに0のダメージ。▼』
「水精霊、敵を穿て!」
『女エルフBのこうげき。▼
アガトに0のダメージ。▼』
「我が弓術の奥義受けてみよ!貫通矢!」
『男エルフAのこうげき。▼
アガトに0のダメージ。▼』
俺の今の実力からして、こんなもんだろう。
なんせ、ここのエルフ達とはステータスの桁が違うのだ。
『女エルフC、D、E・・・X、Y、Zが現れた。』
▼
『男エルフC、D、E・・・X、Y、Zが現れた。』
▼
流石に鬱陶しくなってきた。
火魔法のスキルと雷魔法のスキルを入れ替える。
「ショックウェーブ」
俺から放たれた電磁の波はエルフの里を呑み込み、全ての相手を麻痺させる。
貴様らとは基礎能力が違うのだよ。基礎能力がな。
静かになったエルフ達を一ヶ所に集めるように翠に命令して、エルフのキーラに縛るように指示する。
これで話し合いが出来そうだ。
◇
「さて、俺が来たからにはもうオークに怯える心配はない」
「「「・・・」」」
現在、里の広場には縛り上げられたエルフ達が転がっている。
「俺がお前達の代わりにオーク共を殲滅してやろう」
エルフの里を守る俺、マジ英雄ではないだろうか。
「ふざけるなっ!俺達を解放しろ!」
「キーラッ!この裏切り者がぁ!」
「人間の力など借りぬっ!」
とりあえず、キーラを悪く言った奴は痛めつけておこう。
数時間にも及ぶ説得により、ビクビクとやっと落ち着いた彼らを解放して、里長との話し合いに漕ぎ着けた。
話し合いの結果、里長は物分かりの良い人物で俺が報酬として要求した、里の宝である『世界樹のしずく』と『精霊の腕輪』と『里長の娘エルフ』に『里一番の精霊術使いの女エルフ』を快く、前払いしてくれた。
流石、里をまとめる長、器が大きい。
世界樹のしずくは使えば、全回復の効果があるが錬金術の素材としても使えるアイテムだ。
精霊の腕輪は精霊術の威力アップの他に召喚用の媒体になる。
それから今回、精霊術を受けた影響で中級職業に精霊士が増えた。
・精霊士《最大Lv40》
《Lv毎INT+4》
精霊術
とりあえず、貰う物も貰ったし頑張りますかね。
里長の家でハーブティーを味わいながら、オーク共が来るのを待つ。
「オーク共が来たぞー!」
そしてちょうど、ハーブティーを飲み終わる頃合いによいタイミングだ。
ここ最近、オーク共は城塞都市の方には来なかったので腕がなるぜ。
ただ今回は魔法のレベルを上げたいので弓は使わずに戦ってやろう。
ある意味、縛りプレイだな。
実力の違いを見せつけてやる。
俺は翠と供にオーク共が迫って来ている方へと歩き出した。




