21本目
さて、無事にレアスキル『鷹の目』を手に入れた俺はギルドの近くにある無難な値段の宿屋に宿泊していた。
昨日はギルドに寄って、依頼達成の報告をするついでにオーク達の侵攻について聞いてきた。
すると前回の侵攻がちょうど、1週間前にあったそうで次の侵攻もそろそろなのではと受付嬢が言っていた。
なので準備の為、防衛戦用のスキルに入れ替えをしたのだ。
《スキル》
1.『弓術Lv:8/10』
2.『命中Lv:1/10』
3.『火魔法Lv:1/10』
4.『夜目Lv:―』
5.『体術Lv:7/10』
6.『鷹の目Lv:―』
7.『無魔法Lv:8/10』
8.『クリティカルLv:7/10』
9.『健康体Lv:8/10』
10.『無限収納』
替わったのは命中に火魔法、鷹の目だ。
防衛戦が始まれば、弓士の俺は防壁の上からひたすら矢を射ることになるのでそれを考慮したスキル構成になっている。
夜目が入っているのはオーク侵攻が昼間とは限らないし、夜間にも対応する為である。
まあ、昼間の侵攻だったら違うスキルに入れ替えるかな。
これで準備は整い、余裕しゃくしゃくなので朝食でも摂ろうと思う。
やはり、一流の男には余裕がなければ。
たっぷりと時間をかけて、朝食を摂った俺は冒険者ギルドに向かう。
爺さんの依頼と防衛戦の依頼以外にもう1つ受けておきたい依頼があるのだ。
ギルドに着いた俺はゴミのような冒険者達には一切、目もくれず好みの受付嬢のもとへ。ぐへへ
少し垂れ目なくっきり二重まぶた。愛らしい笑顔は弾けて、黒髪セミロングの長さの髪にゆるふわなウェーブ。今日のジュリアンもバッチリ、決まっている。
「今日はどういったご用件ですか?」
俺が受付の前に立つと愛想の良い笑顔で応対してくれる。
「今日は見張りの依頼を受けたくてきました」
俺が見張りの依頼なんて、正気なのかと思った奴、手を挙げろ。
「はぁ、確かに見張りの依頼はなくはないのですが・・・」
この煮え切らない態度には訳がある。
現在、冒険者ギルドに見張りの依頼は掲示板に貼り出されていない。
ならなぜ、知っているのか。それは俺だからである。
経緯を説明するとこの依頼は軍司令部から出された依頼であり、魔眼保持者向けの特殊依頼の為、ギルドから指名されて依頼を受けるのが本来のかたちになる。
この隠し依頼を受けるには当然、魔眼系のスキルが必要になってくる。
じゃなければ、見張りなんて普通の兵士で間に合うからね。
「大丈夫ですよ。俺、これでも鷹の目のスキルを持っているので」
「えっ!?そうなんですか?そういうことなら是非ともお願いします」
この依頼の発生条件は魔眼系のスキルを装着したまま、防衛戦に1回以上参加すると発生する。
先取りしてやったがな。
「それでは受付しますのでカードを出して貰えますか?」
言われるがままにカードを渡して、しばし待つ。
俺が見張りなんていう地味な依頼を受けるなんてまだ、腑に落ちないというあなた、教えて差し上げよう。
この依頼を続けていくと、魔眼系スキルの『千里眼』を覚えることが出来るのだ。
受付が終わると名残惜しいがジュリアンを後にして、司令部に向かった。
司令部は冒険者ギルドの隣にあるので移動は楽だ。
滅多に入ることのない司令部に入り、此方でも受付で手続きを済ませてから、担当者に付き添われて、やっと防壁に向かえる。
◇
やはり、高い所からの景色は違うな。
俺は防壁の上、ちょうど、南門の真上にある監視塔から大森林を一望している。
「おいっ!後輩、しっかり頼むぞ!」
見張りの兵士がなんか言っている。そもそも、軍に入ってもいないので後輩はおかしいと思う。
いや、この兵士の頭がおかしいのか。そうに違いない。
真面目に立っているのも面倒くさいので防壁の外側にある凸凹、たぶん矢から身を守るやつに腰掛けてぼんやりと眺める。
「(暇だから早く、オーク来ないかな・・・)」
俺の心の声をもし兵士達に聞かれたら、怒鳴られそうだ。
この防壁から大森林の始まりまでは目測で500メートル。
防衛の邪魔になる木は全て切り倒おされて、オーク達が身を隠せるような障害物はない。
『鷹の目』の有効範囲は直線で2キロメートル。
しかも、上空から見下ろすように見ることが出来る。
俺はぼんやりと使い勝手を確かめつつ、見渡していく。
すると、大森林のある場所で鳥達が一斉に飛び立つのが見えた。
もしやと思い、凝視してみれば木々の隙間からデップリとしたお腹を持つ豚面の集団。
念の為、その周りも確認してみればウジャウジャといるわいるわ。
早速、報告だ。
「オーク共が来たよ~」
俺の報告を受けた兵士はすぐに鐘を鳴らし始めた。
これで暇しないで済みそうだ。




