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たいして読まれないだろうしタイトルなくてもいいよね  作者: くろのわーる
田舎の村編

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17/37

17本目




 遠出から3日目の朝、清々しい気持ちで目を覚ます。


 父はしっかりと自分の役目を果たしたようで少しばかり疲労感を漂わせている。


「アガト、起きたならさっさと行くぞ。朝飯は移動しながらだ」


 なんだ?機嫌でも悪いのか?

 そんな疑問を持つ俺を置いて父は出発する。







 現在、森の中を移動中だ。


 それにしても暇である。そろそろ、この木しかない景色に飽きを感じ始め、集中力も落ちてきた。


 そうすると走るのが怠くなってきたので肉壁を呼び、その背に股がり、声をかける。


「肉壁、これも修行だ」


 肉壁は「ウォン!」と鳴いて颯爽と駆け始めた。


 肉壁が初めて役に立ったのではないだろうか。


 しかし、普通に座っていてはおしりに振動が響くはバランスを取るのにも苦労する。

 俺は前傾姿勢というよりも肉壁に貼り付くようにしがみつく。少しでも楽をしたい。


 肉壁の方も空気抵抗が減り、バランスが安定したことで勢いを増す。


 肉壁は父の後をしっかりと追いかけていく。

 最初から肉壁を使えば良かったと思っていると後ろを振り向いた父と目が合った。


 父は何か言いたそうな顔をしたがすぐに諦めたような顔をして前に向き直ると何事もなかったように走り続けていった。


 きっと、父も肉壁に乗りたかったのだろう。残念ながら定員オーバーだけどね。





◇◇





 陽が沈む頃、目的の村に着いた。

 村には誰も人が居ない為、荒れ出し始めているように見える。


 ちなみに肉壁は村に着く前にへばったので置いてきた。その内、来るだろう。


 この村には天使達を埋葬する目的で来たのだが今日はもう陽が暮れるので明日、埋葬することになった。


 今夜は一番まともな家を借りて、疲れた身体を癒す。




 その晩、家の扉をカリカリとひっかく音がしたが俺は無視をしてゆっくりと寝た。

 冗談だ。ちゃんと肉壁も室内に入れてあげたさ。

 外飼犬なのに室内に入れてあげる俺。この優しさを女の子が見たらきっと惚れられていたに違いない。




 翌朝、村にあった教会らしき建物の近くに天使達を埋葬してあげる。

 その際、父の段取りが悪く、埋葬に午後までかかってしまったのでもう1日、村に滞在して次の日の早朝、自分たちの村に向けて出発した。







 ちなみに家に帰った後、父が俺とは二度と遠出しないとか言っていた。

 連休なのにどこにも連れて行ってくれないグータラ父親宣言ってやつだ。




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