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あの日僕は死んだはずなのだが  作者: さかなクン
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〜俺が見るのは真実か、綺麗事か〜

不当解雇、家族崩壊、言葉の虐待・・・

自らを"不幸"だと捉えた主人公岡島泰介は、ある冬の寒い日に自らの命を絶つ決断をする。

「もう全部、辞めよう。」


決意と行動とは裏腹に、思いもよらない出来事に遭遇し、彼は自らの人生を客観的に見つめ直すことになる。

目にしたのは、"真実"なのか、"綺麗事"なのか。

それを目にした彼はどういう選択をするのか。

死のう。

できるだけ痛みの伴わない死に方がいいだろう。そう、練炭とか。

飛び降りや首吊りは痛い上に苦しい。

痛いのは、もう、こりごりだ。


「明日から、来なくていいから。来ても席はないし、君の居場所なんてもうここにはないのだからね。」


ー・・・忘れもしない。


とても冷え込んだ冬の日の朝。

ふと上司に呼び出されたと思えば、突然の解雇通知。訳も告げられず、詫びもなく、弁明する機会も僕には与えられず、ただ出された指示に呆然としながら退職届にサインをしたのを覚えている。

「私岡島泰介は、本日をもって○○社を退職致します。」






解雇だなんて、ドラマだけの世界だけと思っていた。

フィクションの中で繰り広げられるだけのはずの幻想か、今自分に降りかかっていることが理解できなかった。

あぁ、某ドラマではこの後嫁に支えられ、友人に励まされ、独立を成功させた末幸せな家庭と人生を手にするって話だったはず。

ってことは俺もそんな感じか。


この先語るには悪くない話だ。

「俺、昔解雇にあったんだけど、その後たくさんの人に支えられてここまで来たんだ。だからみんなには、本当に感謝しても仕切れないよ。

みんながいてこその俺だからな。」

なんて、かなりのスターがいいそうな名言を、地元のやつらにサラッと話せる。

そんな未来なら悪くもない。


「…そう。今日はもう、部屋で休んだらどう?明日から考えましょう。」

失業して帰宅した俺に対する妻の言葉は、予想をはるかに超えた穏やかなものだった。

案外想像通り、俺はドラマチックな人生がこの先待っているのかもしれない。


失ったのは、翌朝のことだった。

「アナタには未来が見えないわ。さようなら。」

見覚えしかない筆跡で書かれた言葉を理解するまで、あんなに時間がかかったことはない。

キチンと片付けられた部屋、あんなにあった靴が1つしかない玄関、何も干されていないベランダ。

妻は、出て行ったのだ。娘を連れて。

やはり、現実世界はドラマのようにうまくいかないらしい。


まだまだ続きます。面白いなーとか、続きが気になる方はコメントいただけたら嬉しいです。

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