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ゲームハイスクール ~遊びの牢獄~  作者: 愛守
Chapter1‐2 おにごっこ
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裏切り

 丁度その頃、マオたち3人を除くメンバーへメールが届いていた。


『マオ、フーガ、ワイゼンの情報は信用するな』


 他のメンバーは元々マオたちを信用していない。なので、そのメールの内容を受け入れることは容易たやすかった。

 その後、しばらくしてマオたちもメールを送信する。


『おにが1階へと向かったから、2階へ逃げた方がいいぜ』


 送り先はアイネ。当然、そのメールのことは無視する。

 引き続きマオたちは手当たり次第虚偽の情報を流し続けるが、誰も引っかかろうとしない。

 そればかりか、ナハトはメンバーに届いたメールの内容を聞き、マオたちの裏切りを確信づけていた。

 そして、新たに指示を出す。


『マオたちには今後一切情報を渡すな』


 一方、マオたちは……。


「あいつら、やっぱり気づいてるみたいだな」

「ああ、ナハトとかいう奴、相当頭がよさそうだぜ。最初はGMにケンカ売ってたしバカだと思ったけど、実際あいつの作戦と指示は的確だ」

「どうする……?」

「大丈夫だ。あいつには隙がある」

「隙……?」

「頭はよくても信頼がないのさ。メンバーをどこか見下すような態度、自分の主張を曲げない傲慢ごうまんさ。それに、そもそも俺たちをグループに入れなければよかったものを、あいつは勝手に決めた」

「なるほどな! あいつらは疑心暗鬼になっているだろうから、俺たちに対してだけではなくナハトへも不信を募らせてるかもしれないってわけか」

「その通りだ。早速揺さぶりをかけてやるぜ!」


 マオは不敵な笑みを浮かべ、携帯を操作し始めた。

 そして……。


『ナハトがおにを尾行してるところを見かけたけど、何か情報もらってねえか?』


 虚偽のメールをアイネへと送った。

 しかし……。


「おい、返信遅くね?」

「ダメだったみたいだな」

「よし、次行くぞ!」


 マオは同様のメールをミズカミとメヌエ、それからウィリアムへと送った。

 しかし、同様に返信は来ない。


「意外と信用されてるのか? ナハトの奴」

「そんなわけあるか! 誰か1人くらい引っかかれ!」


 続いてマオはカノンへとメールを送った。

 すると……。


『それ、本当なの!?』


「来たぞ! 食いついた!」

「後はおにのいる方向へ誘導するだけだな」

「さっき階段を上がっていくのが見えた。多分そう遠くないはずだ」

「よし! 早速呼び込もう!」


『さっき1階Aエリアへおにが向かった。そろそろ2階へ上がる頃かもしれねえな』

『そんな……! でも、1階にはアイネちゃんがいるのにどうして情報が……』

だまされてるんだよ。ナハトたちのこと信用してると負けちゃうぜ?』


 マオはさらにメールを送り、ナハトの信用を落としにかかる。

 そしてついに……。


『わかった。全部話すわ』


 カノンはナハトたちとのやり取りを全て教えた。


『ありがとな。姉ちゃん早めに3階へ逃げてくれよな』

『うん、わかった』


 こうして、カノンは罠へとはまり、そして……。


「キャアア!」


 3階から悲鳴が響き渡る。

 そして、直後メンバーの携帯にはシステムメッセージというタイトルのメールが届いた。


『カノン様が脱落しました』


 それを見たナハトは全てを理解し、小さく舌打ちをする。


「あのバカ……」


 ナハトは思わず声を漏らした。


 それから時間が経過してゆき、おにごっこは終了した。

 外へと戻ったメンバーたちは、脱落して先に戻っていたカノンと合流する。


「……ええと、次はがんばりましょう」


 メヌエがはげますも、カノンは座り込んで俯いたまま話さない。


「許せないよな。せっかくグループに入れたのに騙すなんて!」


 ミズカミもカノンをフォローするが、やはり顔を上げなかった。

 その一方で、マオたちはニヤニヤと笑っている。


「バカだなあ……。他のみんなは引っかからなかったのに、お前だけはナハトより俺を信用したのか」


 マオたちは大声で嘲笑あざわらう。

 と、その時。彼らの前へとナハトが歩み出た。


「あ? 何だよ?」


 マオの挑発的な態度に対し、ナハトはただ黙ってにらみ返している。


「何か文句でもあるのかよ?」

「ある」


 ナハトは即答した。


「へえ……。意外と仲間思いなんだな」

「いいや? 俺が問題視しているのはそこじゃない」

「……は?」

「お前が俺に敵対したという点についてだ。他のことはどうでもいい」


 他のメンバーたちは凍りつき、マオたちも顔を引きつらせる。


「……は、はあ?」

「俺は俺が勝つこと意外に興味はない。次も邪魔するようなら容赦ようしゃなく潰す……!」


 ナハトは静かに言い放った。

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