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ゲームハイスクール ~遊びの牢獄~  作者: 愛守
Chapter1‐4 ウィズダム&ブレイブ Part1
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ナハト(ミッドレンジソルジャー)VSマオ(アグロファイター)

 コンピューターに向かい合うプレイヤーたち。

 画面の奥では激戦が繰り広げられている。

 そんな中、ナハトは連戦連勝。ネットワークで繋がった現実世界の対戦相手を、次々と倒していた。


 その様子を眺めているマオ。

 しばらくは黙って見ていた彼も、舌打ちをした後にナハトへと向かって歩き出す。

 そうして、彼の背後に立つと乱暴にテーブルを叩き……。


「随分調子がいいみたいじゃねえか」


 すごみを利かせてそうささやいた。

 自らの楽しみに水を差した時点から、ナハトのことが気に食わない。

 そんな相手に見下され、められ、あまつさえ敗北もきっしている。

 そうでなくとも二人の考えは相いれない。

 勝つためなら手段を選ばないマオと、不正を嫌うナハト。

 水と油の関係だ。


 そんなマオにけんかを売られたナハト。

 ひるまずにらみ返すその目は、獣が牙をいたかと見紛う程の威圧感を放っている。


「用があるならはっきり言え」

「俺と勝負しようぜ。それとも、怖いか? 逃げたきゃ別に構わないぜ?」

「いい度胸だな。そんなにボコボコにされたいなら、遊んでやるよ」

「上等だ!」


 互いの挑発に乗る形でバトル開始となった。

 ステージに同時に降り立つ両者のアバター。

 と、いきなりマオが駆け寄った。

 二人の距離10メートルを瞬く間に縮め、連続攻撃を浴びせる。


 この間、わずか1秒にも満たない。

 それもそのはず。

 マオの今回のクラスはファイター。身軽で素早い格闘家だ。


 加えて防具は戦神の道着。

 装備者のスピードを3割増加させるボーナス効果つきだ。


 そして、装備している武器はバーサーカーグローブ。

 重量が軽い武器なので攻めの手数が増す。

 おまけに、装備中は打撃の属性が粉砕へと変わる。つまり、鎧による相手の防御力をある程度カットすることができるということ。


 対するナハトのクラスはソルジャー。武装した兵士だ。

 動きがのろい。


 その分ガードは高いが、先程の理由によりそれも半減。


 早くも主導権を奪われたナハト。

 襲いかかるマオの拳。

 一発一発はジャブ程度で威力も低いが、着実にダメージは積み重なってゆく。


 ナハトも抵抗すべく剣を振るうが、その斬撃はことごとく華麗に避けられてしまう。

 ただでさえ動きの速いファイターだが、それだけじゃない。

 レベル10のファイタースキル、スウィフト。装備している武器の形状タイプが爪もしくは拳の時、攻撃の隙が減少する。

 同じくファイタースキル、フットワーク。こちらはレベル15で習得。バックステップやサイドステップ時の速度が増加する。

 両方とも常時発動し続けるスキルだ。


「どうだ!? 俺様の速攻に沈め!」


 獰猛どうもうに攻め続けるマオ。

 対するナハトはアバター操作をオートに切り替える。

 それにより、マオへと狙いを定めにくくなる代わりに、カードやアイテムを操作する余裕が生まれた。

 今は反撃不可能と見て、この局面をさばくべく下した決断だ。

 だが……。


「おおっと! 見えてないと思ったら大間違いだぜ?」


 マオは不敵な笑みを浮かべつつ、背後に召喚されたミニアルミラージの突進をかわした。

 マップに生じた敵アイコン。攻撃中であっても、それを一瞬でとらえ対応する。


「人狼じゃ随分世話になったなあ? けどよ、アクションRPGになればこっちのもんだ!」

「……そうか。なら、これはどうだ?」


 ナハトは周囲にミニアルミラージ2体とワイルドウルフ1体を一斉に召喚した。

 だが、マオは動じる様子もなくニヤリと笑みを浮かべ、オートモードにすると同時にスキル使用の操作を行う。

 レベル35のファイタースキル、アジリティ。10秒間だけ自動で回避する。

 使用直後、マオは敏速びんそくな足捌きにより斬撃と突進全てをかわした。


「甘いぜ!」


 さらにカードの操作を行い、同種のモンスターを召喚し応戦する。

 その間、ナハトは剣を振るうのをやめ、盾をひたすら構えていた。


「わかるぜ? 怖いよなあ? カウンターの存在があるから、迂闊うかつに手を出せないよなあ?」


 レベル40のファイタースキル、カウンター。アジリティ発動中に限り、自動で反撃も行う。

 もし仮にナハトが攻撃を続けていたなら、かわされると同時に手痛いしっぺ返しをもらっていたことだろう。


「さて、また振り出しに戻ったな。どうするつもりだよ?」


 モンスターたちは相打ち。

 マオに攻撃は当たらない。

 唯一の救いとして、アジリティの再使用可能まで40秒程の猶予ゆうよがあるが、温存してあるスキルはまだたくさん。

 マオは勝利を確信し、口元をゆがめた。

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