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ゲームハイスクール ~遊びの牢獄~  作者: 愛守
Chapter1‐4 ウィズダム&ブレイブ Part1
13/17

初日スタート

 その後、食事を終えたプレイヤーたちは、案内に従いそれぞれの部屋を作成した。

 眠りにつく者、夜更かしをする者、皆それぞれに等しく朝は来る。

 校舎へと向かっていたアイネは、テラスで紅茶を飲むナハトと目が合った。


「おはようございます」

「ああ、おはよう」

「いつも、こんな早くから起きてるんですか?」

「まちまち、だな。常時監視されているとあれば、ゲームするにも興が覚める」


 ナハトは目を閉じ、紅茶を一口飲んだ。

 と、そこへマオがニヤニヤしながらやってくる。


「何だよお前、架空の食事がどうこう言ってたくせに、朝から随分優雅じゃねえか! 昨日だってごちそうたらふく食ってたしよお!」

「……静かにしろ」

「ああん? 痛いところを突かれて言い返せなく……」

「もう一度言う。黙れ」


 マオの言葉を遮り、ナハトが恐ろしい程静かに言い放った。


「朝からうるさいのは嫌いだ。どっかに消えろ」


 おぞましいオーラをまとっているかのような声音に、マオは思わず怯む。


「な、何だこいつ! 感じ悪いぜ……」


 舌打ちしながらその場を去るマオ。

 アイネも委縮してしまっている。


「え、ええと……」

「お前はいい。ああいうしゃくさわる奴だけだ、邪魔なのは。それで、昨日は眠れたのか?」

「あまり眠れませんでした。カノンさんのこともありましたし、これからどうなるのか不安で……」

「他の人間なんてほっとけばいいものを……」

「ダメですよ! そんなの、かわいそうです!」

「俺が卒業を勝ち取れば、自ずと全員救われるだろう?」

「そうですけど、そういうことじゃないんです!」

「わけがわからないな……」


 溜息を吐き、再び紅茶を口にした。


「……で、単位の方は心配ないのか?」

「そのことなんですけど、説明を見てもよくわからないんです。好きな時間に参加すればいいって、一体どういうことですか?」

「やっぱりなあ……。戸惑うのも仕方ない。ここで起きていることは非現実なことばかりだからな」


 ナハトが手を仰向けると、カリキュラムが現れた。


「……この説明のことだな。この世界では、元の世界との空間や時間が完全に断裂している。それだけではなく、この世界自体の空間と時間が無限に存在し、互いに干渉しない。ただし、生徒同士の混乱や日常生活の支障を避けるため、教室以外の時間は共有となっている」

「どういう意味ですか?」

「ものすごく簡単に説明すると、教室だけタイムマシンか何かで同じ時間に到着する、とでも思えばいい」

「何のためにそんな面倒な設定にしてるんでしょうか……」

「昼夜逆転している人や、徹夜でゲームを楽しむタイプ、他にもいろいろなニーズにまとめて答えるためだろうな。それに、お前にとってもこれは利用できる機能だ」


 キョトンとするアイネ。

 ナハトはおもむろに手を差し伸べ、携帯機器を呼び出した。


「例えばこのウィズダム&ブレイブ。お前はまだ興味がないかもしれないが、人気のゲームだ。周りの噂を耳にし、興味を持ったとしよう。普通なら、その段階で他のプレイヤーよりも大きくおくれを取ってしまうが、この世界なら充分に巻き返すことができる」

「なるほど! 後からスタートしても、初日の参加に間に合うんですね!」

「それだけじゃない。初心者で自信がなくても、ある程度練習してから実戦に参加できる」

「このカリキュラム……すごくややこしいことが書かれているようで、実は初心者に優しいんですね」

「まあ、そうでもしなければオールジャンルなんてとても扱えないだろう。ユーザーが先に音を上げてしまうからなあ」


 苦笑するナハト。

 アイネは彼の手にした携帯機器をじっと見ている。


「興味があるなら教えてやろうか?」

「いいんですか!? ナハトさんの貴重な時間を使ってしまって……」

「さっきも言った通り、この世界では時間が無限にある。気にしなくていい」


 そう言ってナハトは立ち上がった。


「さて、それじゃあ行くか」

「え……? どこにですか?」

「自習室だ。時間が完全に遮断されているから、文字通り好きなだけ遊ぶことができる。ここに戻ってきても1秒すら経過しない。……カリキュラムに書いてあっただろう?」

「す、すみません……」

「まあいい。それじゃ、行こうか」


 ナハトは携帯機器を操作し、自習室への転移を選択した。

 対象は自分とアイネ。その了承ボタンがアイネの携帯機器にも表示され、それを押す。

 次の瞬間、二人は自習室へと着いていた。

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