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ゲームハイスクール ~遊びの牢獄~  作者: 愛守
Chapter1‐3 人狼
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人狼二戦目

「……よくも騙してくれたな! お前ら、人間サイドのくせして!」

「当然だ。これはそういうゲームなんだからなあ。お前らなんて全員で協力するおにごっこでさえ仲間を騙していただろう」


 ナハトとマオが睨み合っている。

 数分前まではこの場から消えていた二人。

 マオは人狼であることが占いによって暴かれ、即吊られた。

 対するナハトは、最初の夜にマオの襲撃を受けている。


 脱落者は彼らを含め他の空間にまとめて移され、一戦目が終わるまで勝負の行方を見守っていた。

 その全員が元の議論部屋へと戻されている。


 今は先程のゲームを振り返る時間だが、圧勝だったため村人側には特に反省点も見当たらず……。


「それにしても、随分と動揺していたからなあ。お前らが人狼だというのはわかりやすかった」

「何だと!?」


 人狼側の敗因も、けんかの種としてしか機能していなかった。


「やめてください! 確かにマオさんたちには僕も思うところがあります。でも、今はまだもう一戦残ってるんですから」


 メヌエの仲裁を聞き、ナハトは舌打ちをした後にそっぽを向いた。

 一戦目終了後にGMから二戦目を行うと告げられている。

 ゲームはまだ終わっていない。

 ナハトとしても、ゲームに私怨しえんを持ち込むことは望んでいないため、ここは大人しく引き下がった。


「GMさん。反省会はもう済んだみたいですし、次のゲームに移りませんか?」

「……皆様が同意見でしたら、私としては問題ありません。よろしいですか?」


 皆がそれぞれに反応を示した。

 マオのように「ああ」と一言ぶっきらぼうに答える者もいれば、ジムのように頷くだけの者も。

 だが、その意味は一致した。


「了解しました。それでは、役職を配布させていただきます」


 再び別々の空間へと移されるプレイヤーたち。

 そして、元の議論部屋へと戻された。


「それでは、人狼ゲーム二戦目スタート」


 GMの宣言後、プレイヤーは他の者たちの顔を見回した。

 だが、顔色だけでわかるはずもなく、ただ疑心暗鬼に陥っているのみ。


「……で? 今回はどうするんだよ? さっきみたいにゲームを上手く進行してくれよ」

「言われなくてもそうするさ。今回も先程同様、まずは占い師に好きなタイミングで出てきてもらおうと思う。が、お前らが反対するかどうかは正直どうでもいい」

「はあ? 何でだよ!?」


 マオたちだけでなく、他のプレイヤーもあまりよくない反応を示した。

 が、やはりナハトは気にする様子がない。


「何故か? それは、今回こそ本当に俺が占い師だからだ」


 プレイヤーはそれぞれ異なる反応を示した。

 先程の敗者である三名及びフーガは警戒を抱き、メヌエたちは半信半疑。

 前者四名はもちろん、騙されたことがフラッシュバックしたからだ。フーガ自身は人狼側ではなかったものの、個人的な仲間意識やナハトへの敵意から同様の感情を抱いている。

 一方、メヌエたちは先程の策のおかげで勝利を得ている。だが、時折見せるナハトの非情な一面から、完全に信用はできていない。


「対抗する者は出てこい。一斉に挙手させてもいいが、あまり意味がないからな」

「どうしてですか?」

「同時挙手制で二人目しか出てこなかったとしても、三人目が後から現れた際に切り捨てることはできないからだ。むしろ、二人も既に名乗っているのに出てくるのは信憑性が高い」

「確かに……。人狼サイドとしては、なるべく少ない人数で役職を騙るべきですからね」

「そういうわけで、対抗がいなければ次に移ろうと思うが……」

「待った、俺が占い師だ」


 ナハトの言葉を遮り、ミズカミが名乗り出た。


「ほう、お前が対抗者か。俺視点では偽物だけどな」

「俺からすればあんたが偽物だ。さっきみたいに、村人で何か策があってのことかもしれないが……」

「いいや? 今回は本当に占い師だ」

「そうか。じゃあ、俺視点ではあんたが人狼サイドと確定だ」


 両者の間に火花が散る。

 ピリピリとした空気。

 他の者たちはどちらを信用すればいいかわからず、今後の指針を見失っている。


「ええと……。確か、こういう時は霊媒師が出るべきでしたよね?」


 沈黙の中、メヌエが恐る恐る声を上げた。


「占い師が二人いる以上、人狼もどちらが本物かわからず襲いにくいですし。万が一わかっても、襲った時点で他のプレイヤーにもバレますから」

「そうだな。騎士もどちらを守っていいかわからないし、それならはっきりとした護衛先を作るべきだ」

「では、名乗らせてもらいます。僕が霊媒師です」


 メヌエが宣言し、皆が注目する。

 だが、そんな中……。


「いや、俺が……」


 ぼそりと呟くジム。


「どうしました?」

「……俺が本物の霊媒師だ」


 震える手をゆっくりと挙げ、消え入りそうに宣言した。

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