エピローグ
俺たちはレイを知らない土地で、
自分の周りにだけ集中するために海外に行くことにした。
レイは、寝ているとき以外思考を巡らせているので
ニュースを見ても最適解を考えて実行できないもどかしさに悲しんでしまう。
日本ではそこそこ有名なため、SNSなどで他の人に頼られたりもする。
とりあえず、そういうものが無い世界で暮らすことにした。
根本的解決にはなってはいないけれど、
ここは教育が無い分、先入観なしに教えると言うことが実行できた。
彼らは教えるとありがとうと言う。
教えてもらい、知識が増えることが、嬉しく、ありがたいことだと知っているからだ。
ここで、俺たちは先生になった。
医者でもあり、教師でもあった。
ここで俺たちは二人で一人。
レイは問題に対して、プロセスが無い。
答えだけが出てくる。
天才とは天性の勘なのか、考えるスピードが速いのか。
俺は例の答えの途中式を考えて、
皆に翻訳した。
どうしてそういう回答になるか。
人は納得して始めて自分の物にする事が出来る。
こうして、俺たちは目の前の世界を幸せにすることだけを考えて
それだけのために、進んでいる。
嫌なこともあるけれど、
レイはいつも幸せそうだから、それでいい。
少しずつ、俺たちの世界は変わり始めている。
だから、それでいい。
今日は、久しぶりの休日だから、海に行くことにする。
レイはいつも子供たちも連れて行こうとするけど、今日は強引に二人きりにした。
手をつなぎ、海を眺めて、ぼーっとする。
きっと、レイは俺みたくぼーっとはしていない。
常に、何かを思考している。
夕日を見ているレイをこっちに向かせて、キスをする。
「前に、言えなかったんだけど。・・・レイ、好きだよ」
レイは夕日のせいか何なのか、真っ赤になっている。
きっと、今だけは俺の事だけを考えてくれているのかな。
final end