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プロローグ
私は家庭教師をしている。
こう見えても結構な高学歴で、押しも押されぬ大先生なのだ。
今日は朝から親戚の高校生の元へ行く。
「おはよ・・・、どうした?」
「ゴホッ、・・・ガゼひーた・・・」
おでこに冷えピタ、花柄の半纏。
マスクをした顔にかけたメガネは咳の度に曇っていく。
「ありゃりゃ~、明日の試験、どうするの?」
「行くヨ?」
目の前を歩く男はよたよた、フラフラと右往左往している。
男がくると振り返った。鼻を垂らしながら男は言う。
「・・・オレがこの腐った世界を変えるんだ。この位で音など上げれるか」
「・・・つったって、フラフラじゃん」
「うるさい、早く勉強教えろ」
「もう、君に教えることなんてないヨ~」