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僕は今日頭を冷やします。

«一章»


彼女は皆から侮辱、軽蔑されていた。






もちろん僕も。






いや、正式に言えば僕はただ見ているだけだろう。







無視したり、小さなみんなが最低限度やってることは守っている。






僕は彼女みたくはなりたくないからね。









…また今日もガラガラという立て付けのあまり良くないドアが開いて教室内が一瞬だけ静かになる。









みんなこの瞬間が嫌いなんだ。








あいつが入ってくる、そう思うとさっきまでのあの和やかな雰囲気は消える。





みんなあいつを敵視するんだ。






あいつとは今教室に入ってこようとしている桜坂の事だ。






桜坂は一歩また一歩と教室内に足を踏み入れる。











それがみんな怖いんだ。






恐れている。












でも、少なからず桜坂の味方はいない。







というか、この教室内では誰もいない。











「おはよう」









誰も発しないことは分かっているのにどうして挨拶するのか僕には理解不能だ。




僕だったら、まず学校にさえ来ないな。



こんな居心地の悪いこところ。

でも彼女の場合は自分で自分の居場所をなくしたのか。





あれは衝撃的だった。



まぁ僕には関係の無い事だけれど。









「坂田、はよー」





口を大きく開けて、目がいつもの半分くらいしか空いていない中村が眠たそうに入ってきた。






入ってきてそうそう、机の上にカバンを放り投げて少し大きい音で皆一瞬こっち見たが、またあいつかという目で見ると通常に戻った。





まぁ当の本人は俺の肩を許可もしていないのに借りている。





まぁいつもの事だけど。







「ちょ…ヨダレつく」







ただ、中村は口を開けてすーすー寝るものだから中村のヨダレが俺に被害を与える。



本当に夜何をしているんだか。



この間なんてお昼ご飯と部活の時間以外は全部寝てた。






それに成績優秀。








ちょっと一旦天に召されればいいって思ったけど中村に言ったところで何も変わらないのが中村のスタイルだ。





仕方ない。










そう思いまた周りを見渡すと女子同士でアイコンタクトをとっていることに気がついた。








女子同士は特にバツが悪い。





直接いえばいいのに、と思う反面それに気づいてない彼女も彼女だ。













…ほら。










足掛けられて転んでる。







それを見て笑う。






言わばカーストの上位の人達。







カーストなんて今じゃどこにでも存在する。








それは教室という限られた空間の中で決まるもの。








一軍は人気者だったり女子でいえば…性格がひねくれてたり、おしゃれに興味がある人達。





二軍はとにかく普通。ただ普通に過ごしてやり過ごす。決して一軍がすることには何も手を出さない。





三軍はいじめられている人をみると自分はどういう立場にいていいか、迷う人。はっきり言えば決断力がない人。








その中でも一番酷いのは

軍という文字もつけれない、圏外という人。




まぁ僕のクラスには一人しかないけれど。









「うわ〜!蝶々だ!」




…でたよ。





いや、それ蛾だし。汚い。








そう彼女だ。桜坂だ。










桜坂はどうも可笑しい。


どうしてみんなに合わせる事を知らないんだろうか。









彼女が蛾なら皆は蜜蜂だ。






それくらい、彼女と皆には差がある。





蜜蜂は群れを作り、子孫を残し外敵から守るために針を刺す。




全ては自分自身を守るために。





そう、自分たちを守るために彼女を犠牲にする。







それに変わって蛾はどうだろうか。




汚い。薄汚れている。









僕達とは大違いなんだ。








先生にバレないからこそ、僕達は問題なのかもしれない。





生憎、僕達は教室外では何もしない。



ただただ、平凡な日常を送っているんだ。








「次科学だってさ」





「…坂田…まじか、だるいな」





中村はいい奴だけど。




一軍なのか二軍なのかがわからない。





僕もそうだけれど。



そういう奴に限って、裏切ったりするし。






そういうのは何があっても避けなければならないと考えている。




クラスの為にも。

みんなの為にも。

もちろん、自分自身の為にもね。





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