親になる
新たな命を授かったとき
人は人の親となる
半生をかけて命を背負う
親も子も お互いを選べない
その出会いを運命として
子が巣を発つその日まで
命を懸けて負わねばならない
それが
「命を授かる」ということだから
親の都合で
親の気分で
親の身勝手で子を苦しめてはならない
幼子は振り回されるだけだから
幼子には何も選べないから
ときに守り
ときに助け
子の最後の砦とならねばならない
子は子として
確かに立派に人間だけれど
それは決して
親であることを誤魔化す言い訳にはなり得ない
命を授かるならば
命を預かる責任を持て
命を懸ける覚悟を持て
その責任がないならば
その覚悟がないならば
新たな命を望んではならない
その責は重い
往々にして辛い
投げ出したくなることもあるだろう
逃げ出したくなることもあるだろう
だが決して逃げてはいけない
棄ててはならない
親であることを投げ出すのは
人であることを辞めるということだ
そして
その全てを 誰に誇ることもできない
誉められるようなことでもない
全ては当たり前のことだから
その重責も
その覚悟も
膨大に費やす金も時間も労力も
全ては当然のことだから
情をもって
ゼロから立派に育て上げ
自らの足で立ち
自ら歩き始めた背中を
見送ることが親の務め
それが親の存在理由
それが
「親になる」ということだから