第六話 「手をとり合って -Let us cling together-」 03
09◆ 決別 シーンプレイヤー:八雲明星
GM: では、八雲のシーンにいきましょうか!
八雲: (ダイスを振る)じゃあ、カンカンに怒りながら登場!! お兄ちゃんに直接会いに行く! ガラガラピシャッ!!
GM: 場所はUGN日本本部ですね。昴は、君が来ることを分かっていたかのような様子です。
八雲: 私が言いたいことは、分かってるね!?
GM: 「…………。」沈黙で肯定します。
八雲: どうして嬉野さまを監視するの?
GM: 「――――まあ、ここまで来たら隠すこともないだろうから言うが、やんごとなき御方からの命令だよ。」
八雲: …………。
GM: 「旧観鏡市支部長・八重樫氏が要求してきたことについては認識しているね?」
八雲: うん。
GM: 「正直今、中枢評議会は混乱している。(皮肉げに)中枢評議会の中で、生き残るべく暗闘が繰り広げられているわけだ。」
八雲: そのことと嬉野さまを監視することに、どういう関係が?
GM: 「仮に、八重樫が何らかのアクションを起こすとしたら、嬉野冬也に接触をすることはほぼ明白だろう。その際に嬉野冬也に近づいてくる八重樫氏を捕縛したい。」ぶっちゃけて言うと、点数稼ぎですね。
八雲: そんな兄さんに、平手打ちと見せかけてグーパンチします。(一同笑)
八雲の拳を食らい、黒檀の机から転げ落ちるように床に倒れこむ昴。
八雲: (激怒して)兄さん、それでいいのっ!?
GM: 殴られた頬をさすりながら、君の方を見ますね。
八雲: 兄さんも私も、査察部なんて汚らしい仕事をしてるけれど、自分達と周りの人達の幸せを考えて仕事をしていた! それなのに、今の兄さんは何だ!? 人としての心を持ってないの!? それじゃジャームと一緒じゃない!!
怒りをぶつける八雲に対し、昴は床から立ち上がり、真正面から八雲を見据えて言う。
「中枢評議会が解体――――もしくは混乱しているだけでも、UGNの力によって庇護されている人達はどうなる? その人達を守るという機能を存続させるだけでも、意味があるだろう。」
八雲: でも…………っ!!(あわあわ)
GM: 昴としても、道義に適っていないと思いながらも従っている、と。
八雲: 要は、手を汚してでも、現在の状態での最善を目指しているってことね。――――兄さんがそこまで言うなら、まあいいわ。ただ、嬉野さまのことは私が守る。
そう言うと、八雲は胸につけていた査察部のバッジを外し、黒檀の机の上に叩きつけ、部屋を出て行った。
八雲が去った後、殴られた頬をさすりながら、昴は呟く。
「あいつと兄弟喧嘩をしたのは、初めてだなぁ……。」
◆ ◆ ◆
GM: さて……。冬也君、悩んでる?
冬也: というか、確認したいことがあるんです。現時点で、八重樫ではなく夏樹の方にコンタクトってとれるのかな?
GM: あー……。
冬也: 八重樫には八重樫の意図があって動いているのは分かったんですが、夏樹が冬也の元を離れてまで何をしたいのかって、まだ聞いてないんですよ。
豊前: そうね。
冬也: あの時別に、対決に負けたから夏樹が消えたわけじゃなくて、夏樹が自分の意志で冬也の中から居なくなったわけだから、絶対に夏樹も何かを企んでるはずなんだよ。
GM: よく覚えてますね。
冬也: ええ! <意志>対決させてすらもらえなかったからね!!
GM: ん……じゃ、先にそっち行きましょうか。この情報が入った方が、冬也君もっと悩んでくれると思うので。
冬也: なんだと!?(笑)
10◆ 夏樹 シーンプレイヤー:嬉野冬也
八重樫を巡る一連の騒動が続く中、冬也の携帯に夏樹からメールが入る。
深夜に、人気のない公園で会おうという内容のものだった。
冬也: 指定された時間に、そこに行きますよ。
GM: すると、夏樹がベンチに座っていますね。
冬也: ……GM、今の夏樹の表情見て、表に出てるのは夏樹か八重樫、どっちか分かる?
GM: まあ、分かるでしょうね。夏樹っぽい気がします。
冬也の姿を認めると、夏樹は片手を挙げて話しかけてきた。
「大丈夫。今、八重樫は眠ってる。――――とりあえず、伝えられるだけ伝えようと思ってな。」
そう言うと、夏樹は隣に座るよう冬也を促す。
冬也: うん……。座ります。
深夜のベンチに並んで座る、夏樹と冬也。
夏樹が、白い息を吐きながらポツリと言った。
「一ヶ月前、八重樫が襲ってきた時に、あっちに意識を持っていかれた。……その時に、あいつと話したんだ。」
冬也: 一番最初に夏樹を取られそうになったとき、か。
GM: ですね。「あいつのやろうとしてることも聞いた。」
冬也: どうしてやろうとしてるのか、ってのも聞いたのか?
GM: 「(頷いて)あいつ……俺らのためにUGNを潰そうとしてるらしい。――――UGNというか、UGNのお偉いさんか。そいつらが、あの馬鹿げた研究を続けていて、それが俺らの為にならんと考えたらしい。」
冬也: うん……。
GM: 「何とかしようと、この三年間色々働きかけてくれていたらしいんだが、そこに今回の“オーバーライド”という研究が進んでいることを知って、あいつは自分自身の手で強引にでも終わらせようとしたらしい。」
冬也: …………ほう。
GM: 第一話で、八重樫が殺されたっていう話をしたと思うんですが、正確に言うと“レースノウァエ”が八重樫の意識を刈り取りに襲撃しにくるってときに、先に自殺しておいて、潜伏――――っていうのか、いわゆるセーブしておいた、という状態です。
豊前: レネゲイドビーイング化してた、ってことか。
GM: そして、その状態で夏樹の身体に意識を植えつけられたときに目覚めて、以降“レースノウァエ”に対しては目覚めていない風を装って、ずっと潜伏していた、と。
冬也: んーと……ホントは、“オーバーライド”は成功していた?
GM: です。で、“レースノウァエ”は、発現こそしていないものの、八重樫の意識を植え付けた、非常に優秀な素体である夏樹を、大切にしていたと。
冬也: あー……このまま傍に置いておけば、いつか目覚めるかもと思ってたんだね。
GM: そういうことです。
黙って聞く冬也に対し、夏樹は更に続ける。
「あいつ自身この間言っていたんだが、もう自分がジャーム化しているのかどうかも分からんらしい。」
冬也: …………。
GM: ただ、そんな状態になってまで、八重樫は嬉野冬也と嬉野夏樹をなんとかしようとしている、と夏樹には説明してるようだね。
冬也: 夏樹は、八重樫に協力したいと思ってるのか?
GM: 「ああ。」
夏樹は不意にベンチから立ち上がり、冬也の方に向き直る。
「恐らく、あいつは最後に一人で逝く気だ。……流石にそれは寂しいじゃんかよ。――――だから、一緒について行く気だ。」
冬也: …………。
「このままだと、あいつが何のためにここまでしたのかわかんねえ。俺とお前の為に、というのであれば、お前が残れば、その意味も残せるだろう?」
冬也: また、勝手にお節介なことしやがって……っていう感想。でも、これは言わないだろうな。
GM: ま、こういうことしそうな子でしょ?
冬也: そうね、しそうだね。俺が処分されそうになったときといい、ね。んー……そっかー……(悩)。
GM: ほら、悩んだでしょ?(笑)さて、何か言いますか?
冬也: ――――お前の気持ちは、分かった。
GM: 夏樹は真っ直ぐに君を見返しますね。
冬也: でも、悪いが今回は止めさせてもらうぞ。
GM: すると、夏樹は「しょーがねーなあ。そう言うと思ったぜ。」とでも言いそうな表情で笑います。
冬也: 俺は不敵に笑みを返して、――――そうそう何度も置いていかれてたまるか。と言って夏樹に背を向ける。
GM: 夏樹も「俺にも俺の、一世一代の覚悟があるからな。……そう負けるわけにはいかねーよ。」と言うと背を向けるね。
冬也: じゃあ、そのまま立ち去ります。
11◆ 手がかり シーンプレイヤー:一ノ瀬豊前
豊前: GM! 俺は調べたいことが沢山あるんだ!!
GM: では調べたいことがある豊前君のシーンです。
豊前: 登場(ダイスを振る)! まずは、八重樫を無力化する方法について調べます!
GM: それは、八重樫を殺す方向でいい?
豊前: どんな形であれ、八重樫を夏樹の身体から出す方法を探る!!
GM: では、<知識:エンブリオ>で判定してください。
豊前: 知識ぃ!? そんなのないから《天性のひらめき》(ダイスを振る)! 12!!
GM: それは、丁度分かりましたね。――――ということで、ちょっとシーンを演出します。
とある場所で、菅野がある人物に電話を掛けている。
「――――嬉野夏樹を救う方法は、あるのかねぇ? ……そうか。うん、分かった。ありがとう、伊勢さん。」
GM: ということで、この会話を通して、以下の情報を手に入れることが出来ます。
・現在、宿主である夏樹の身体の中に、夏樹の意識と八重樫の意識が同居している状態。
・夏樹を救うためには、八重樫の意識を引き剥がす必要がある。
・八重樫を引き剥がす方法は、以下の3つ。
・八重樫自身の意志で夏樹の身体から出る。
・八重樫自身が、自分の自意識の消失を望む。
・その意識を持つ人物が、他者から認識されている状態を「解消」する(ルール的に言うと、八重樫に対するロイスを全てタイタス化する)と、八重樫の意識は消滅する。
八雲: 今、八重樫にロイスを持ってる人ー?
冬也: 俺だね。あと、菅野さん。
八雲: あとは、夏樹もだろうね。
冬也: そうね。
豊前: 菅野の、八重樫に対するロイスって、タイタス化出来るかー?
冬也: どうかねー? それよりも夏樹が結んでるロイスが問題な気がする……。
GM: ま、そういう情報が出ました。
豊前: そんな感じかー……しかしまた、面倒くせーなあ。八重樫の本体持ってきて、ほーれ、お前の身体だぞー、って消失を狙うんじゃ駄目そうだなー……。
GM: 駄目でしょうねえ。
八雲: 3つ目のルートが、一番現実味ある気がするよねー。
豊前: んー……。ま、このシーンはこれで終わりでいいですよー。
12◆ 根回し シーンプレイヤー:八雲明星
八雲: ここはいよいよ、アレイスターの一派を抑えておかないと、大変なことになるよね……。よし、中枢評議会に行ってみよう!
GM: んー……中枢評議会について全情報が公開されてるわけではないので、具体的にどう渡りをつけるかを指定して欲しいですねー。
八雲: ――――霧谷さんなら知ってるかな?
GM: まあ、知ってるでしょうね。全部ではないにしても。
八雲: じゃあ、日本支部長の霧谷さんを尋ねます。登場(ダイスを振る)! これで今、81%になった。
GM: あんまり、八雲の侵蝕率が上がるのは好ましくないんだけどなー……。
八雲が尋ねて行くと、霧谷は待ってたかのように笑みを浮かべた。
GM: 「お待ちしていました。」
八雲: 霧谷さん、お願いがあるの。
GM: 「ほう。お願い、とは?」
八雲: アレイスターさんの一派を止めたいの。そうじゃないと、嬉野さまが大変なことになっちゃう! ふえぇぇぇ!!(一同笑)
GM: 「止める……のは難しいかもしれませんが、牽制することが出来る方は、居るかもしれません。」
八雲: うんうん。
霧谷が手元のコンソールをいじると、画面の向こうに、ぼんぼり頭で中華風の女の子が居た。
冬也: “オールドワン”だ!
GM: 中華娘は言うね。『待ちわびてた。』
八雲: じゃあ、その子に状況を説明して、何とかしてよって泣きつく。
GM: その言葉に、しばし考えている様子の、女の子。『まあ正直、奴らのやってることは気に食わんからね。』
そう言うと彼女は、自身が直接アレイスター氏を訪問し、動きを牽制することを約束してくれた。
GM: これにより、ほぼ邪魔が入ることがなくなります。
八雲: よしよし。
GM: 『――――ただ、状況が好転しておらんことは、わかっとるな?』
八雲: こくこく頷く。
GM: 『わしをここまで動かしたからには、それなりの責任を負ってもらうぞ。』
八雲: 責任とは?
GM: 『(含み笑いをして)それはそっちで考えて欲しいなぁ……。』
八雲: ありがとうございます。――――本来、偉い人にこういうことを頼んじゃいけないってことは、よく分かってるんです。
GM: 『……ふむ。』
八雲: ただ、私達UGNって何の為に居るのかなって考えた時に、例えば偉い人の椅子が欲しいとか、そういうことで動いちゃ駄目なんじゃないかって私は思うんだよ。
GM: 『…………。』神妙な様子で聞いてるね。
八雲: だからね――――。(素になって)うーん……でも確かに、こっちの利益でしかないんだよな……。
GM: 八雲が答えに窮していると、『UGNは元々、人間とオーヴァードの共存を理想として掲げておる組織じゃよ。少なくとも、今のこの状況は、その理念からはかけ離れていて、その場の判断で動いた結果、組織として弱体化したとしても、その判断が間違っていたとは、わしは思わんよ。』
八雲: ……なるほど。
GM: 『(誤魔化すように)とりあえず、現場の人間で何とかして欲しいな。』
八雲: ――――わかりました。……もう、難しいことは私には分からない! あいつは多分悪い奴だから、私がやっつける!!
GM: 『それでいいんじゃね?』
13◆ 対処法 シーンプレイヤー:一ノ瀬豊前
GM: さて、シナリオ的には、八重樫の居場所も分かっているわけで、そこに行けばクライマックスにはなりますが……。
豊前: まだやりたいことがあるよ!
GM: では、豊前のシーンいきましょうか。
豊前: はーい(ダイスを振る)これで侵蝕率は75%! 俺は、世界の空に浮かべられてる飛行船の無力化方法を調べて実行したいんだけど、どうすればいい?
GM: <知識:機械工学>で判定してください。
豊前: 《天性のひらめき》!(ダイスを振る)……12!
GM: ギリギリ分かりますね。結論から言うと、一発で無力化することは不可能です。ただ、方法が無いわけじゃないんです。
豊前: はい。
GM: というのも、今どういう仕組みでこれが行われているかというと、八重樫から特定の波長の電波が、観鏡市上空の飛行船に送られていて、そこを経由して世界中の飛行船に電波が送られているという状態なんです。つまり、観鏡市の飛行船が中心になってるってことですね。
豊前: ふむふむ。
GM: なので、観鏡市上空の飛行船を何とかするか、八重樫を何とかするかによって、無力化が出来ると。
豊前: じゃあ、観鏡市にある飛行船を無力化する方法を探るんだけど……。
GM: 送られている波長の電波を化かすことが出来る判定はあるんですが、今のままだと結構な達成値が必要です。暗号化された電波の暗号解読キーが必要、です。
豊前: その電波の暗号解読キーって、何で判定出来る?
GM: <知識:暗号技術>ですね。
豊前: 何だよ、<知識>ばっかりじゃんか! 情報収集させろよー!!《天性のひらめき》(ダイスを振る)! ……16!!
GM: では、電波を横からかすめとることで、暗号解読をすることが出来ました! 暗号化に使われていたのは、ある歌のようですね。きよしこの夜の原版が使われているようです。……ということで、止めるという宣言により、止めることは可能です。
豊前: OK。これはあくまで、八重樫がどうにか出来なかったとき用の保険だから。今止めちゃうと八重樫が何をするか分からん!
GM: よくお分かりで(笑)。
豊前: ついでに、八雲の情報もゲットしたいんだけど……。査察部辞めたこととか。
GM: それは判定なしで分かっていいと思いますよ。
豊前: お。じゃあ、その情報を手に入れた!
14◆ 衝突 シーンプレイヤー:嬉野冬也
GM: さて、冬也君はどうしますか?
冬也: ……何かね、もうぶつかるしかないかなって気はしてるんだ。
八雲: あとは、菅野をどうにかしないとね。
豊前: それだ!
冬也: じゃあ、菅野さんに会いに行ってみるか。菅野さんに連絡します。
GM: では、菅野から応答があって、八重樫が居ると目されている廃館の近くに呼び出されます。――――実は、話が進んじゃうんですよ。これ。
八雲: じゃあ、ちょっとその前にシーンをもらいたいな。
菅野に呼び出された廃館に向かう途中の河原で、冬也は一人で座り、川に向かって石を投げている八雲明星を見つけた。
冬也: どうしたの? 八雲さん。
八雲: 何かもう……色々、どうでもいいんです。
冬也: 投げやりな八雲さんは初めて見るので、隣に座って――――何かあったの? って聞く。
八雲: もう、色々ありすぎて疲れました。私だって疲れるんですよ?(一同笑)
冬也: 女の子だもんね。
八雲: ……嬉野さま、何処か行くんですか?
冬也: 実は――――と、八重樫が動こうとしてる理由が俺達の為だってことと、夏樹が八重樫と一緒に死のうとしてるってことを話す。
八雲: …………そんな結末は、私はイヤだ。
冬也: うん――――そうだね。
八雲: もっと皆ハッピーになれるはずなのに、なんで――――……。やっぱり人の心っていうのは、私達の思い通りにはいかないものなんだ。
冬也: …………。
八雲: 嬉野さまは、八重樫さんにどうなって欲しいんですか?
冬也: どうなって欲しい――――か……。
八雲: 嬉野さまにとって、八重樫さんっていうのは、お父さんみたいな存在だったんですよね?
呟くように言いながら、スナップを聞かせて川に小石を投げる八雲。
八雲の投げた小石が作り出す波紋を見ながら、冬也は訥々と話し始めた。
冬也: ……昔は、全てだったよ。
八雲: 今は違うんですか?
冬也: ――――うん。正直、だいぶ違ってきてるかな。
八雲: …………。
冬也: 勿論、大事な人だし、八重樫なしに俺を語ることは出来ないと思うんだけど――――今の俺には、すごく幸せなことに、他の人も居るんだ。
八雲: 他の人、ですか。
冬也: ――――誰にも、言ったことなかったんだけど……。三年前の、“エンブリオ”事件のときにさ。本当は俺が処分される筈だったって聞かされて……。ああ、俺って必要なかったんだなって思ったんだ。
GM: おお、なるほど!
冬也: 必要なのは夏樹で、俺は居なくても良かったんだ、って。
八雲: その発言を聞いて、すごく親近感を覚えています。
冬也: で、まあ――――調べたかもしれないけど、傭兵部隊に居た頃も、結局誰とも深い関係を築くことってなくってさ。(素になって)初期ロイスが八重樫と三枝櫻でしたからね。
GM: 八重樫が過去に囚われているのと同じように、冬也君もまた、過去に囚われているのかもしれませんね。
冬也: でも、今の俺には、戦力としてだけど俺を必要だと言ってくれる一ノ瀬豊前が居て、友達としての春日部が居て――――そして、こんな俺にずっと無償の好意を向け続けてくれてる八雲さんが居る。
冬也のその言葉を聞くと、八雲は立ち上がり、スカートについた草をパタパタと払って、神妙な顔で告げた。
八雲: 嬉野さま。実は私ね、この町を離れることになったんです。……査察部の辞令が下って。もう問題は解決しているので、私は次の現場に向かうことになりました。――――本当に短い間だったけど、お世話になりました。
冬也: (驚いて)えっ――――? ……行っちゃうの?
八雲: ええ、行っちゃうんです。
冬也: ――――それは、命令なんだよね……?
八雲: はい、命令なんです。
冬也: (すごく寂しそうに)…………そっか。
八雲: じゃあ、私、行きますね。と、去ろうとします。
冬也: ―――-八雲さん! と、思わず片手を掴む。
八雲: !! ……凄くびっくりします。
冬也: 俺も、自分の行動にびっくりしてます。
GM: 青いカップルじゃのぅ……傍から見ると(一同笑)。
冬也: ――――あ、ゴメン。……仕事、だもんね。…………仕方ない、よね。と、ゆっくり手を離す。
八雲: じゃあ、手が離れたところで、嬉野冬也がタイタス化して、シーンから退場します。
冬也: 俺も、八雲さんがタイタス化するな……。
心に棘を残したまま、冬也は菅野に会うべく先へと進む。
GM: 廃館に向かう小道のところで、菅野が待ってますね。「やあ、少年。少年からおっさんに話って、なんだい?」
冬也: 菅野さんは、八重樫を一人で止めるつもりですか?
GM: 「……ああ、そうだよ。」君の目を真っ直ぐに見て答えますね。
冬也: 八重樫を殺してでも、と考えてます?
GM: 「そうだね。正直、夏樹君を今のままで助ける方法がないことは、知っているだろう?」
冬也: (意外そうに)――――菅野さんは、八重樫の方を優先させると思ってました。
GM: 「いや、奴さんは基本的に頭が良いから、間違えた選択をすることはないんだ。……ただ、唯一間違えたのは、あの“エンブリオ”の件だったと思ってる。しかも奴さん、また同じ間違いを繰り返そうとしてる。」
冬也: …………。
GM: 「それを止めなきゃならんのは、あいつの友達だった、俺の役目なのかと思ってるよ。別に、UGNだからとかいうんじゃなく、俺の意志として、そうしてやったほうが奴の為だと思ってるんだよ。」
冬也: ……八重樫と、話はしましたか?
GM: 「一度ね。」これは、前回の話で八雲が覗き見てたシーンのことですね。あの時に八重樫の目的や意図を菅野は知っています。
菅野は宣告するように続ける。
GM: 「おっさん――――俺は、八重樫を止める。……嬉野少年。君には悪いけど、夏樹君をそのまま救うことは出来ない。なので、おっさんは夏樹君を殺すことになる。」
冬也: (寂しそうに)……結局皆、その結論にいっちゃうんですかね?
GM: 「んー……ひょっとしたら嬉野少年や他の人間なら別の答えに行き着いたかもしれないけど、おっさんはそこまで賢くないから、これしか思いつかなかったよ。」
冬也: …………。
GM: 「ただやっぱり、嬉野少年があいつとやり合うってのは、おかしい。――――だから少年。……これ以上、進まないでくれ。やるんなら、俺がやる。」
冬也: ……菅野さんが、ここまできちんと俺に向き合ってくれたのって初めてだよね。ここで菅野さんに□誠意/厭気でロイスを結びます! で、こう言う。――――申し訳ないですが、俺はここで止まるわけにはいきません。八重樫が俺達の為に動いている以上、止めるなら俺じゃないと……って思うんです。
GM: 「(苦笑して)――――まあ、そう言うだろうとは思っていたよ。ただやはり、嬉野少年を奴さんの元に行かせるわけにはいかない。何かしら、悲しいことが起きる……。少年に、そういうものを背負って欲しくないんだ。なので――――。」
そこまでを一息で言うと、菅野は肩幅に足を開き、戦闘態勢をとった。
「……少し眠っていてくれ。」
GM: ということで、戦闘になります!
冬也: ……俺、勝てないっすけど(笑)。俺も同じように戦闘態勢に入ります!
●第一ラウンド
GM: こちらの行動値は6です。
冬也: こっちも今回上がって、6なんだよね。……でも、メジャーですることないから待機! 菅野さんの出方を伺う。
GM: では、メジャーで《アタックプログラム》《雷の残滓》《コンセントレイト:ブラックドッグ》! 射撃攻撃です!!(ダイスを振る)42!!
冬也: マジか!? 《氷盾》でガード!
GM: (ダイスを振る)ではダメージは39!
冬也: それは全部弾く!!
GM: そしてバッドステータスの邪毒レベル4が入ります。
冬也: 邪毒!?
八雲: 本来の菅野なら、そんな伸ばし方しなさそう……。
GM: そうですねー(笑)。
菅野の放った銃弾を炎の盾で防いだ冬也だったが、高電圧が身体にまとわりつく。
冬也: くっ……!
GM: では冬也の番です。
冬也: ……マイナーで菅野さんにエンゲージして、メジャーでエンゲージを離脱。菅野さんの横を通り抜ける。
豊前: おお! それは出来るな!!
GM: です……ね。では、ここでクリンナップなので、邪毒を食らってください。
冬也: いてー……。
●第二ラウンド
「ここで逃がすわけにはいかない……。」
冷静に戦闘を回避し、八重樫の元に進もうとする冬也に対して、菅野は苦笑しながら言う。
GM: ではセットアップ!《加速装置》!! 行動値が14になります。
冬也: 《氷の城砦》!
GM: では菅野の番ですね。メジャーで《雷光撃》《Maxボルテージ》《アタックプログラム》《バリアクラッカー》《雷の残滓》《雷の砦》《コンセントレイト:ブラックドッグ》! (ダイスを振る)達成値は48!
八雲: 硬直がくる!
冬也: うお!? しかもガード不可か。……回避、しかない(ダイスを振る)けど17で止まった。
GM: (ダイスを振る)ダメージは36!
冬也: 《リザレクト》(ダイスを振る)! ボロボロになりつつ、言う。――――お願いです、菅野さん。俺に八重樫と決着をつけさせてください。
GM: 「……すまんね、少年。」あくまで、菅野は君を行かせる気はないようですね。ではクリンナップです!
冬也: また倒れるので《リザレクト》!
●第三ラウンド
GM: では、セットアップです!
豊前: 俺、出るよ。奴を説得しよう。おめー、何やってんだ!?
GM: 「一ノ瀬君か。申し訳ないけれど、一ノ瀬君も邪魔をしないでくれ。」
豊前: 何の邪魔をだ?
GM: 「とりあえず、ここから先には進まんで欲しい。」
豊前: 代わりにおっさんが決着を着けに行くってことか。
GM: 「ま、分かりやすく言えば、そうかな。」
豊前: こんなところで互いに侵蝕率を上げていても仕方ないだろう。
GM: 「だから、ここで退いて欲しいんだ。」
豊前: なるほど。確かに、その方が勝算は高いしな。……で? お前、あの飛行船やらのことはどうするつもりなんだ? お前が決着着けに行くって言ったところで、お前はあいつを倒す意外の選択肢はないんだろう?
GM: 「だから、倒すんだ。」
豊前: で、倒した挙句、ジャームが何人も生まれたらどうするんだ。
GM: 「それも全て倒すよ。」
豊前: あぁん!? ジャームになった人間達は全員死んでんだぞ! そういうのも含めて守りてぇんじゃねーのか!? おめーは!!
GM: 菅野は正直、そんな広いところまでは見られていない状態ですね。目の前の八重樫の問題を、とりあえず解決しようとしているようです。別に、ジャーム化してるわけではないですよ。
冬也: 拘っちゃってるんだね。
GM: ですね。支部長職を離れたのも、そういう意味です。
豊前: ――――なら、現支部長として、イリーガルの菅野に頼むんだが、もう少し待ってくれ。……って言ったら、菅野は戦闘止める?
GM: 止めますね。
豊前: じゃあ、邪毒は回復するよね?
GM: そうですね。
豊前: OK。まあ、性急に動く必要はないし、要はおっちゃんは、冬也が先に行かなきゃいいんだろ?
GM: まあ、そうなんですが、ここで冬也君が止まってくれるなら、菅野は一人で行こうとしますね。
豊前: ちょっと落ち着けよ、おっちゃん。48時間以内に俺達UGNが何らかの手段を講じるから、待ってくれっつってんだ。おっちゃんは剣となりたいんだろ?
GM: 「一ノ瀬には、何か策があるのか?」
豊前: 飛行船の無効化手段も考えてるし、八重樫を夏樹の身体から出す方法もいくつかある。八重樫のところに行くんなら皆で行くよ。一人で行ったって仕方ないだろう。
GM: えーと……ですね。菅野の中にはまず、皆で行くという選択肢自体がないんですよ。
豊前: ほう。
GM: 菅野は嬉野少年のことを憂いてて、彼を八重樫の元に行かせたくないんです。ただ、八重樫の問題はあるので、それをどう解決するのかっていうことを提示して欲しいなと。
豊前: ……俺としては、3つ目の選択肢の、八重樫に対するロイスを全てタイタス化っていうのは無理だと思うんだよね。これだけ菅野が強い想いで居るとなると、菅野は八重樫のロイスをタイタス化しないと思う。
GM: あー……実はですね、菅野はこのシーンが始まった時点で八重樫のロイスをタイタス化してるんですよ。
冬也: あ! 八重樫を殺す気で居るって時点で、タイタス化してるのか!
GM: そうです。元々はロイスを持ってたんですが、この話の最中に覚悟を決めたことでタイタス化しています。
豊前: おお、なるほど。じゃあいけるかな。
冬也: あとの問題は夏樹か……。
八雲: それと、冬也ね。
豊前: そうね。じゃあ……あとは菅野をどう説得するか、か。
冬也: ――――――菅野さん。俺、逃げていても何も解決しないと思うんです。
GM: 「…………。」
冬也: 確かに、ここで俺が直接八重樫と相対さないことで、負わない傷もあるかもしれないけど……結局それじゃあ、俺は前に進めないと思うんですよ。
豊前: …………。
冬也: 菅野さんの気遣いはありがたくはあるんですが――――(真っ直ぐに菅野を見て)すいません。正直、余計なお世話です。
GM: そう言われると、菅野は困ったように頭をかいて、「どちらにしても、八重樫なり夏樹なり……もしくはその両方を、失うことになると思うんだ……。そんなところに少年をやれないよ。」と、泣きながら言いますね。
冬也: (真っ直ぐに菅野を見たまま)俺だってUGNのエージェントです。それなりの覚悟は、持ってますよ。と言って、ここで八重樫のロイスをタイタス化します!
GM: おぉ……。そこまでしてくれると菅野は、足を引いて「じゃあ、奴さんのことは任せていいかい?」と言いますね。
冬也: はい。(苦笑して)ちょっと、親子喧嘩してきます。……GM、クリンナップなかったんだけど、《フェニックスの翼》使っていい?
GM: どうぞ。
豊前: じゃあ俺は、言われちまったな、おっさん。じゃあほれ、行くぞ。と、おっさんを小突きます。何、一人で終わった気で居るんだよ?
GM: 「いやあ、どの顔して奴に会えばいいか……。」
豊前: その顔して行けよ(笑)。
15◆ 決意 シーンプレイヤー:嬉野冬也
八雲: 私、クライマックスに行く動機が無さ過ぎて困ってるんだよね……。
豊前: そうだよね。途中までは嬉野冬也を通じて動いてたけど、さっき離別しちゃったから、そこで動機が切れちゃったんだよね。
GM: そうなんですよねー。
八雲: まあ、命令とか連絡とかが来たら、仕事だから行くよ。
冬也: ……八雲が査察部を辞めたって情報を知りたいな。豊前、ちょっと話してくれる?
豊前: お、OK! じゃあ突入前のブリーフィング中ということで。
冬也: 豊前。……八雲さんにも声はかけたのか?
豊前: おお、そういやまだだな。やっぱり戦闘には彼女の力が必要だしな。
冬也: それはそうだけど……八雲さん、査察部の仕事でここを離れるって言ってたし、な。
豊前: 査察部の……? ちょっと待てよ。少し前に聞いた話では、査察部を辞めるとかって言って、バッジを兄貴に叩きつけたってことだったが?
冬也: そうなのか。……じゃあ彼女は、なんで嘘をついたんだろう?
豊前: なんで、だぁ? お前、今まで彼女がお前に熱烈なアプローチをしていたことに気付かなかったわけじゃないよな?
冬也: ……まあ、それは……うん。
豊前: それに対するお前の返答はどうだった? どっかのおっさんみたいに、お茶を濁してたんじゃねーのか? いいか? 人生の先輩として一つ、教えてやろう!! 強引に誘えば、何とかなるもんなんだよ!!
冬也: …………。
豊前: ――結局、想いってのは口にしなきゃ届かない。
冬也: ……うん。
豊前: お前は、彼女とはどうなりたかったんだ? どうにもなりたくなかったんじゃないか? ずっとこのままの関係が続けばいいと思ってたんじゃないか?
冬也: ――――いや、それは、逆なんだよ。
豊前: 逆?
冬也: 俺にあんまり近づくと、彼女が幸せになれないと思ってたから、さ。
豊前: あーなるほどな。まあ、幸せっつーのは人それぞれだが……基本的に人は、やりたいことをやっているときが一番幸せなんだと思う。分かるか?
冬也: …………。
豊前: 彼女が一番やりたかったことは何だ? 多分、お前の隣に居たかったんじゃないか?
冬也: ――――俺が手を伸ばすことは、許されるのか?
豊前: 馬鹿野郎。最初から許されてるに決まってんだろ。お前がこの街に帰ってきたとき、俺が最初にお前にしてやったことは、ここに居場所を作ることだった。そうだよな?
冬也: (こくりと頷く)。
豊前: お前は別に友達を作ってもいいし、彼女を作ってもいい。ただの、一人の人間なんだって思って欲しかったんだよ。
冬也: …………。
豊前: お前に人並みのことをさせたくて、高校に入れたんだけどさ。今は別に、それがお節介だったとは思ってねーよ? 今、お前が守りたいって思ってる人達は、そういう場所で出来た関係だと思うし。
冬也: …………。
豊前: ケリつけて来いよ。俺とおっさんは、ここで待ってるからさ。
冬也: ん――――わかった。じゃあ八雲さんに電話を……。
八雲: あ、ここに私登場してもいいかな?
GM: いいと思います。
八雲: (ダイスを振る)……最後の仕事をしに来ました。
冬也: ――――八雲さん。今まで真面目に答えなくて、ごめん。
八雲: 謝らないでください!
冬也: 不安だったんだ……。普通の人間ですらない俺が八雲さんの隣に居て、八雲さんが不幸にならないか、って。だから、手を伸ばすことが出来なかった。
八雲の目を真っ直ぐに見ながらぽつぽつと話す冬也。
そんな冬也を、八雲もまた真っ直ぐに見つめていた。
冬也: でも、ちょっと欲張りになろうと思う。
八雲: (素になって)確かに、今まで冬也って、自分の欲みたいのって一度も言ったことなかったよね。
冬也: (同じく素になって)そうだね。自発的に動くことすら、初めてだと思う。
八雲: なるほどねー……。(八雲で)それは、どういうことですか?
冬也: 八雲さん。
八雲: はい。
冬也: 俺の隣で一緒に戦って欲しいんだ。
GM: (ポソリと)どうとでもとれる発言だ……。
冬也: でも、俺的にはこれを言うのが精一杯(笑)。
八雲: 分かりました。
そう言って頷くと、八雲はおもむろに懐から一つの包みを取り出し、中身のマフラーを冬也の首元に巻きつけた。
八雲: ちょっと早い、クリスマスプレゼントです……ね。ここで、嬉野冬也にロイスを結びます! □純愛/偏愛で(一同笑)! そしてSロイスにする!!
冬也: ――――ありがとう。クリスマスに、俺も何かプレゼント用意するから、この事態を止めて、戻ってこようよ。
八雲: 分かりました。ここで八重樫さんを止めて、皆の元に帰りましょ。
冬也: ……うん。俺もここで八雲明星にロイスを結びます! □執着/偏愛で!
八雲: 偏愛コンビだ。(一同笑)
豊前: ……このシーン、何も判定してないよね? 俺、調達しちゃおっかな。何か欲しいものある人居る?
八雲: 私は無いよ。
冬也: UGNボディアーマー……。装甲値が8上がるの。12出さないと駄目だけど。
豊前: それ、いいな。(ダイスを振る)はい、成功。おっさん、いいもの着てんな。ちょっとよこせよ。
冬也: 菅野さんから剥ぐなよ!?(笑)




