第六話 「手をとり合って -Let us cling together-」 02
Middle Phase
01◆ プレゼント シーンプレイヤー:八雲明星
GM: では次! 八雲のシーンです。
八雲: (ダイスを振る)はい、出てきたよ。
クリスマスを間近に控えた街を歩く八雲。町中が着飾っており、華やかな雰囲気だ。
ふと見ると、ブランド系の服飾店で男物のマフラーを物色している女性の姿があった。
八雲: 牡丹ちゃーん! と後ろから声をかける。
GM: 「えっ!? あ、いや……これは……っ!」と、おろおろする蓮根牡丹。
八雲: それ、尊君にあげるの?
GM: ボッと赤くなります。動揺してるのか、珍しく言葉が出てこない蓮根。
八雲: こっちも黙って、にやにやしてます。
GM: 蓮根は一つ二つ深呼吸をして、平静を装います。
八雲: それでもなお、黙ってにやにやしてます。
冬也: 悪い子がおる……(笑)。
GM: では蓮根は思い切った表情になって、恐らくもう一時間以上前には決めていたであろうマフラーをレジに持っていって購入し、何事もなかったかのように店を出て行きますね。
八雲: ちなみにどんな柄なの?
GM: 暗色系のシックな感じですね。
八雲: 私はそれを見て、もしかしたらこれは嬉野さまに似合うかもしれないと思い立った! ので、牡丹ちゃんにちょっと待ってて! と言って、私も買う。
冬也: ……神前とお揃いとか、ヤだな。(一同笑)
GM: 待っててと言われたので、蓮根は律儀に待ってますね。
八雲: これは嬉野さまにあげるんだ~。ふふふん♪ と言いながら、牡丹ちゃんと二人で、ざわつく商店街を歩きます。
GM: ではそんな中、蓮根牡丹が反芻するように言います。「――――あの時の戦いで分かりました。私にはやはり、あの形の空間が最も好ましい。私はこれからも全力を以て、この関係を維持しようと思っていますし、それを邪魔する存在は徹底的に排除するつもりです。
八雲: なるほど。……ちょっとブッ込むか。――チュウしたいとか思わないの?
GM: 「(間髪居れず)ブフゥッ!!」(一同笑)
八雲: かわいいな。
GM: 「ちゅ、チュウ……ですか? いや……あの――――っ。」
八雲: にやにやしながら見てます。
冬也: なんかちょっと、性格変わったよね? 明星。
豊前: ね(笑)。
GM: 「い、いつになく質問が厳しいですね……八雲明星。」
八雲: ま、そうね。
GM: 「逆に、あなたはどうなのですか? 八雲明星。」
八雲: すると私は突然不定形の生物に――――(一同笑)。
冬也: ここではまずいだろ!
GM: せめて《ワーディング》をはってくれ(笑)。
八雲: ……正直者の私は、実はもう辞令が下ってて、近々この町を離れるということを牡丹ちゃんに打ち明けます。
GM: 「(驚いて)嬉野冬也はどうするのですか?」
八雲: どうするって何? チュウしろってこと?(一同笑)
GM: 「いえ、そうではなく。――――好き合っているのでしょう?」
八雲: んーとねー……。それはないかな。
GM: 「それは何故ですか? 八雲明星は嬉野冬也が好きなのでしょう?」
八雲: それは間違いないわね。
GM: 「では何故離れるのですか?」
八雲: 何故――――ん……ごはん食べるため?
冬也: あー……まぁね。
八雲: 私はUGNの中では鬼っ子扱いされて、色んなところを盥回しにされてきて、今回もその続きがあるだけなの。此処に居続けたいって言って、居られるような組織だったら良かったんだけど、査察部ってそうじゃないんだ。
GM: 「…………ならば、そのマフラーは買わなくても良いのでは?」
八雲: なんで? だってクリスマスなんだよ? クリスマスは、サンタさんがプレゼントをくれる日なんだよ?
GM: 蓮根牡丹には、その心の機微は理解できないようですね。
八雲: んー……あのね。付き合うっていうのも難しいことだと思うんだけど、私は心底付き合いたいと思ってるの。だけど、それだけでは恋愛って成り立たないと思うのよ。
GM: 「…………。」
八雲: 要は、相手が応えてくれないのに、自分だけが盛り上がったって、それは片思いというものよ。片思いをしてる女が、好きな男にマフラーをあげる、それだけのことなの。
GM: 「嬉野冬也は八雲明星のことを嫌いなのでしょうか?」
八雲: さあねぇ……。少なくとも、あの人は私のことを必要だと言ってくれたよ。
GM: すると、蓮根牡丹はにやりとします。(一同笑)
八雲: あ! イルミネーションが出てるね! と強引に話題を変える。
GM: では蓮根はちょっと含み笑いをして、「綺麗ですね。」とその話題に付き合うね。……ということは八雲は、このまま時間が過ぎて支部を去ることになっても、それには粛々と従う感じ?
八雲: ですね。現状では。
GM: わかりましたー。
02◆ パートナー シーンプレイヤー:一ノ瀬豊前
GM: では次に、豊前のシーン!
豊前: よし、登場(ダイスを振る)。
GM: 時間的には、さっきの八雲のシーンと同じ頃だと思ってください。君のところに尋ねてくる人物が居ます。
豊前: ここはUGN支部? それとも学校?
GM: 学校ですかね。なるべく静かなところで話したいので、中庭とかかな?
豊前: じゃあ昼休み。俺は一人、中庭でコーヒー牛乳を飲みながら、……うーん、そろそろUGNで事務やりながら学校にも来るっていう、この激務はキツいなー。もう学校はいいか。冬也も大丈夫そうだし……。ってなってます(笑)。
GM: そんな君に、すっかり怪我も治った神前が話しかけてきますね。
豊前: お、神前じゃないか。
GM: 「君には色々な意味で世話になったからね。節目やけじめという意味で挨拶に出向いたわけだ。」
豊前: それは一ヶ月前に済んだんじゃねーか?(笑)
GM: 「いやいや。ボクの中でちょっとした区切りになったからね。」
豊前: そうか。まあ、何はともあれ、良かった良かった!
GM: 「正直、君がお父上のことをどう思ってるかとか、そもそも息子だとかっていうことに嫉妬――――じゃないんだけど、ちょっと、鬱屈とした思いがあってね。」
豊前: ふむ……。
GM: 「ぶっちゃけて言うと、八つ当たりに近いことをしてしまったわけだけど……。」
豊前: まあ、気にすんな気にすんな! 終わり良ければ全て良しだ! 今あるものを利用しろ!
GM: 「そう言ってくれると、僕としても嬉しいよ。」実際、一皮向けたのか、生来の明るい顔に戻った感じですね。
豊前: おー、良かった。
GM: 「一応、君には言っておこうと思うんだ。」
豊前: お?
GM: 「僕には、僕を慕ってついてきてくれる者達が居るみたいだからね。面倒を見る責任があると考えているよ。――――ゆくゆくは、会社という形で組織を起こしてやるつもりさ。」
豊前: お。いいじゃないか!
GM: 「新学年になった際には、一度渡米するつもりでいる。」
豊前: なるほど! まあ、俺には向こうに、非常に強いネットワークがあるからな! 何かあったら連絡してくれ。と名刺を渡す。
GM: マーセナリーとかセキュリティガードとかの本場で学ぼうという心積もりのようですね。
豊前: おお。なら、いいところを斡旋出来るぞ。
GM: 「宜しく頼みたいね。」
豊前: ああ。で、勿論4人揃って行くんだろ?
GM: 「ん?」
豊前: んん? …………ちょっと、確認しようか。4人で何かをやりたい。その為に会社をやろうと思っている、と。そこまではいいだろう。――――で、4人で勉強の為に渡米するんだろ?
GM: 「……?」話が通じてないようですね。
豊前: お前、まさか一人で行く気なのか?
GM: 「ああ。」
豊前: じゃ、残りのメンバーはどうすんだ?
GM: 「彼らには学業というものもあるしね。わざわざ渡米してもらうわけにはいかないよ。」
豊前: 学業なんてどーでもいいだろ。
GM: 「…………。」
豊前: 正直、お前らは一緒にいなきゃダメだと思うぞ? それが仲間ってもんだし、特にFHを抜けた連中だったら、個々人で狙われる可能性がある。お前ら4人揃ってりゃ何とかなるとは思うが……なぁ? まさかここでUGNに庇護を求めるわけにもいかんだろ。
GM: 「ただ、これ自体は僕の我侭だから、彼らを巻き込むわけにも……。」
豊前: 巻き込む? つれねーコト言うなよ。仲間じゃねーか! 向こうにだってハイスクールはいくらでもあるんだし。と、ちょっと説得するよ。
GM: 「…………じゃあ、ちょっと考えてみるよ。」
豊前: おう、そうしろ。で、行くときは俺も一緒だ! 俺もそろそろアメリカに戻ろうと思ってるんだよ。
GM: 「(驚いて)豊前は、日本に留まるんじゃないのか?」
豊前: いや? 向こうにはいくつも支社があるし……。ああ! そういや言ってなかったっけ。俺、向こうではエグゼクティブやってて、こっちには支部の建て直しってことで来たんだよ。
八雲: そっか、そうだったっけ!(一同笑)
豊前: そ。で、FHも大人しくなったし、支部の建て直しにも目処がついた。俺がこれ以上此処に居る必要はないんだよ。
GM: 「…………。」
豊前: ただ、あと一人ケツ引っぱたかなきゃいけねー奴がいるから、そいつのことが何とかなったら、俺はもう別の所に行こうかと思ってた矢先に、だ。ちょっと面白そうなビジネスの話があるじゃねーか(と、神前を見る)。
GM: 「もしも一緒にやれたら、これほど面白いことはないね。」
豊前: だろ?
GM: 「その引っかかっていることとやらを解決して、君が一緒に来てくれるというなら、それほど心強いことはない。」
豊前: ああ、そうだな! ってことで、ここで神前にロイスを結びます! □尽力/憤懣で! じゃ、またなー。ちょっと俺はまた、しばらくぼーっとするわ。……で、UGN支部で事務仕事してるオコジョのほうに、俺の意識がいきます。(一同笑)
03◆ 決意 シーンプレイヤー:嬉野冬也
GM: では嬉野冬也君のシーンです。……平和なシーンはこれで終わりだよ。
冬也: え?
GM: さて、時間は学校で春日部と話をした日の夜ですね。
冬也: ……はい。
繁華街に面した広場。
白い息を吐きながら、呼び出した人物の姿を冬也は探す。
周囲を見渡すと、時計のモニュメントの下に、春日部が立っていた。
GM: 春日部は君の姿を認めると、「おう。わざわざ呼び出してすまねーな。なんか、学校じゃちょっと話し辛くて……。」と言いますね。
冬也: 別にいいよ。どうしたんだ?
GM: 「とりあえず、謝っておこうと思ったんだ……。すまん!」
冬也: ん?
GM: 「一ヶ月前のとき、さ。助けてくれただろ?」
冬也: ああ。…………それで、なんで『すまん』?
GM: 「あー……そっかー。(頭をかきながら)じゃ、『ありがとう』かー……。」
冬也: ま、あの時は力を使いすぎてるっぽいお前のことが心配だったけど、ヘンなことにならなくて、良かったよ。
GM: すると、あったかいコーヒーを君に渡して、自分もプルタブを開けると一口飲んで、喋りだしますね。
冬也: 黙って聞いてるよ。
GM: 「色々、嫌になってたんだ。――――祥子があんなことになって、俺もその理不尽に巻き込まれて……。」
冬也: うん……。
GM: 「あのとき、お前にそっくりな奴に殺されそうになって、正直怖かった。多分祥子もこんな感じだったんだろうなと思ったら……やっぱり死ねねーなと思ったんだ。」
そう言って、夜空を見上げる春日部。
冬也がつられて見上げると、街のイルミネーションに照らし出された空に、よく映える色合いの、宣伝用の飛行船が浮かんでいた。
GM: 「とりあえず、UGNとやらはもうちょっと続けてみようと思ってる。」
冬也: そうか。
GM: 「祥子みたいに、よく分からないうちに殺されちまう奴が居るような世界なんだろ? だったら、これ以上俺みたいな奴を増やしちゃならねーと思うんだ。」
冬也: ちゃんと、やりたいこと見つけたみたいだな。
GM: 「(頬をかきつつ、笑いながら)やべ。今、俺ちょっとヒーローっぽくね?」
冬也: (同じく笑いながら)ぽいかも。
GM: 「……あの時お前が言ってた、生き別れの弟? も、見つかるといいな。」
冬也: ――――……うん。
04◆ 布告 Master Scene
砂と岩だらけの中東風の――――居住者が二十人程の人里。
そこに居る人達は、貧しいながらも笑いながら日常を過ごしている。
その時、空が急に翳ったかと思うと、上空で破裂するような音がした。
住人達は何事かと空を見上げるが、空には何も異常は無い。
だが、映像を通して、何かが「降りてくる」のが直感的に分かる。
と、手を掲げながら上空の様子を伺っていた住人のうちの一人が、突如苦しみだす。
すると他の住人達も、急に痙攣を起こしたり、喉をかきむしったりし始めた――――。
…………気がつくと、その付近には、まともな人間として動くものは無かった。
そこでは、一人は地面まで伸びた手を振り回して隣人を打ち下ろし、一人は口から炎を吐き隣人を焼き殺し、また別の一人は鉤爪で隣人を引き裂くといった惨状が繰り広げられていた。
GM: といった映像が、UGNに対して送られたと思ってください。
冬也: ディレーム、だろうな。多分これは。
八雲: うん……。
05◆ 八重樫 シーンプレイヤー:嬉野冬也
GM: ということで、次は冬也のシーン!
冬也: はーい(ダイスを振る)。
GM: 冬也の携帯にメールが入ります。文面は『私の墓前にて待つ。』とありますね。
冬也: じゃあ、八重樫の墓の前に行きます。
夕刻。メールにあった場所に冬也が向かうと、そこには八重樫の墓に寄りかかっている夏樹が居た。
冬也: ……夏樹か?
GM: 「いや、すまないね。居るのは僕だ。」
冬也: (軽く息を吐いて)――――何の用だ。
GM: 「とりあえず、一度仕切り直すと言ったからには、ちゃんと説明する時間が必要かと思って来たよ。」
冬也: …………。
GM: 「こっちの準備が整ったから、説明の場としてここを用意したよ。一応、宿主の顔も立ててあげないとね。」
冬也: てっきり夏樹が説明しに来ると思ってたんだけどな。
GM: 「んー……彼から言うのもなかなか酷かなと思ってるよ。」
八重樫は続ける。
「僕の目的は、以前言ったとおり。UGNが居るからFHとの戦いが起き、不必要な犠牲が出る。この不条理を是正する。――――ただ、生前の僕は観鏡支部を使って社会的なダメージを与えるという方法をとっていた。」
身振り手振りと共に話をする八重樫。
その仕草は生前の彼のものと何ら変わらず、冬也は過去に受けた八重樫からの授業を思い出した。
「同じ轍はもう踏まない。今回は完全にUGNを潰す。その為の布石は打ってある。」
そう言うと八重樫はすっと空を指差した。
そこには、クリスマスの宣伝用飛行船が浮かんでいる。
八重樫は今までに見せたことの無いような厭らしい笑みを見せ、くつくつと喉の奥で笑うと、こう告げた。
「UGNは、主要都市にいる全ての人間の人生と、アクシズの解体……どっちを選ぶんだろうねぇ?」
冬也: (八重樫を睨みながら)……何、考えてる?
GM: 「(笑んだまま)あの飛行船の中には、ディレームの改良型が充満させてある。それが人口密集地に落ちたら――――どうなる?」
冬也: 八重樫の胸倉を掴む!
GM: 掴まれたまま、八重樫は笑みを浮かべ続けますね。
しばらくそのまま八重樫を睨んでいた冬也だったが、目を瞑り、自らを落ち着かせるように数度呼吸をすると、胸倉を掴んでいた手を離して呟いた。
冬也: ……やっぱ、アンタは八重樫じゃねーや。
GM: すると八重樫は乱れた服を直しながら、「いや。僕は八重樫だよ。元々三年前から考えていたことを実行しようとしているだけだしね。」と言います。
冬也: まあ、厳密に言うと、アンタは『八重樫の過去』ってことになるのかな。
GM: 「…………。」
冬也: アンタが拘って留まってるそこに、正義はないと思うぞ。
GM: 「君の言う正義とは、何を指している? 子供っぽい反抗心で僕の邪魔をするのはいいけれど、何故そう思ったかということを良く考えた方がいい。」
冬也: …………っ。
GM: 「ま、僕がやろうとしていることの概要は以上だ。多分これが実行されれば、少なからずUGNという組織は瓦解するだろう。」
冬也: …………アンタ、三枝櫻のことは忘れちまったのか?
GM: 「――――忘れる? 忘れるわけが無いだろう。僕に刃向かってきたその拳は、誰の大切なものを守る為にあるのか、それを考えて、答えをちゃんと見つけなさい。」
その八重樫の言葉は、観鏡支部の支部長だった頃のもののように、冬也の心に響いた。
06◆ おっさん シーンプレイヤー:一ノ瀬豊前
GM: では次に、豊前のシーンいきます!
豊前: お、はーい(ダイスを振る)!
GM: 時間は冬也と八重樫が話をしている頃。場所は、現UGN観鏡支部の屋上ですね。
豊前: ――――ったく、またここか。おい、おっさん!!
GM: すると、また菅野が煙草を吸っているんですが、以前見た亡羊とした姿ではなく、何か決意じみたものが垣間見える表情を浮かべています。
豊前: お。なんか、久々におっさんの無精ひげがかっこ良く見えるが、どうした?
GM: 「無精ひげについては、あるんだね。おっさんは(一同笑)。――――一ノ瀬君。君はおっさん……俺に父親を殺されたことに対するわだかまりは、既に無いのか?」
豊前: ああ、それについてならもう答えは出ている。……感情的なものは別として、UGNがFHを叩くこと自体は間違ってないし、それはそもそも俺がやりたかったことだ。
GM: 「なるほど。」
豊前: 許せねぇのは、奴がどこで策を誤ったか、だな。あの先にあったものについて想像出来なくはないが――――それは下策だと思うぞ?
GM: 「……いやはや。君は大人だなぁ。真っ直ぐ過ぎるきらいはあるが、よくそこまで判断出来るものだ。」
豊前: グダグダおやじが多かったからな! そういう奴らが嫌いだっただけだよ。
GM: 「そのグダグダおやじの中には、俺も入ってるのかな?」
豊前: ああ。そうだぞ。
GM: 「……まあ、仕方ないよねぇ。」
豊前: 当たり前だよな? はぐらかしたり、肩透かし食らわせたりしてんだから。ま、いいんだ。そんなのはどうでも。
GM: 「歳だけ食っちまって俺のようになっちまうと、積み重ねた年輪の分、迷いが深くなっちまって、何をするにも腰が重くなっちまう。」
豊前: あー、確かにそれはあるかもしれねーな。
GM: 「少年――――冬也に伝えたことはなかったんだが……。」
そこで、菅野は一つ煙を吐くと、独白のように続けた。
「俺の親友でもあり同僚でもあった奴さんは、いつも正しかった。ま、頭良かったしな。……ただ、あいつは一個だけ――――一個だけ間違ったんだ。それが、三年前の事件だったワケだ。」
豊前: ……なるほど。
GM: 「実際、そのことは生前の奴も言っていたことなんだ。だが、奴さん何をトチ狂ったか、また同じ間違いをしようとしてるやがるんじゃないか――――それを止めてやるのが、俺の役目……俺のやりたいことなのかなー、と考えてるんだ。」
豊前: おお、いいじゃねーか。止めようぜ。
GM: すると菅野は何か吹っ切れたような表情になって、「一ノ瀬君。君と話せて良かったよ……少し考えがまとまった。」
豊前: (笑って)それのどこが悩んでんのか、俺にはさっぱりわかんねーけどな!
GM: 「いやぁ、話をしないとまとまらないこともあるんだよ。」
豊前: ああ、それだったらいつでも呼んでくれ。話し相手にはなる。――――だがな、おっさん。別に悪いことしてる奴を止めるのに、何か悩む必要があるのか? 悩むべきは、止めるか止めないかじゃなくて、どうやって止めるか、だろ?
GM: 「いやー……奴さんをどう止めたもんだか……。」
豊前: そこで悩むんだったら、別に俺もいくらだって話し相手になってやるし、方法を考えてやるよ。ただな! おっさんがグダグダしてるだけじゃ何も始まんねーんだよ!!
GM: 「…………。」
豊前: よし! じゃあおっさん。一月前に仕切り直しだとか言って雲隠れしてるあいつを、燻り出すところから始めようか!
GM: 「――――そう、だな。」
豊前: ということで、ここで菅野への表の感情を厭気から同情に変えます。
GM: はーい。
07◆ 露見 シーンプレイヤー:八雲明星
GM: では次は、八雲のシーン。
八雲: 登場(ダイスを振る)!
UGN観鏡支部に戻ろうとしていた八雲の耳に、ガサガサッという物音が届いた。
八雲: 誰?
GM: そこから出てきたのは、蓮根牡丹ですね。蓮根は魔眼を変形させて、一人の人物を捕縛しています。
八雲: 何が起こってるの?
GM: 蓮根もよく分かってないようで、「とりあえず、怪しい人物がいたので捕縛しました。」と言う。
八雲: 捕まってるのは誰?
GM: UGNのエージェントですね。
八雲: あなたは、山田太郎さん!(一同笑)
GM: 「な、何故キミが僕の名前を!?」
八雲: こんなところで一体、何をしているの?
GM: 「…………。」黙り込みますね。
八雲: ――――ねえ、山田さん。歯医者さんの恐怖、って考えたことある?
GM: 「は、歯医者さん……?」
八雲: うん。あれって、実は痛み自体はそんなにないのかなって思うんだけど、待合室で歯を削る甲高いドリルの音を聞くことが、痛みを増していると思わない?
GM: 身震いをします。
八雲: ……と言いながら、私の脇腹から一本の骨が伸びていきます。
GM: 恐怖に震えていますね。というか、エキストラなので抵抗する術はないです(笑)。
八雲: (にっこり笑って)ここで何をしていたか、教えて?
GM: 「……嬉野冬也を、見張っていた。」
八雲: 嬉野さまを? なんで?
GM: そのとき、八雲の携帯端末に大神から連絡が入ります。
八雲: あ、大神さんだ。もしもし?
GM: 大神は非常に慌てている様子ですね。『あ、あの! あのですねっ!?』
八雲: どうしたの、大神さん? そんなに慌てて。
GM: 『今、何処にいらっしゃいますかっ!?』
八雲: 支部だけど。
GM: 『至急、支部長室に来て欲しいんですけど……!』
八雲: じゃあ、そのまま支部長室に向かう。
GM: で、同じ連絡が豊前にもあったと思ってください。
豊前: はい。じゃ支部長室に行きます(ダイスを振る)。
八雲と豊前が支部長室に入ると、おろおろする大神と数人の事務員が居た。
大神は、八雲と豊前の姿を認めると、慌てた様子で話す。
「ああ、明星さん、豊前くん! こ、これを見て欲しいの……!」
大神の手には、一通の封書が握られていた。
豊前: 大神さんがこんな慌てるなんて、珍しいな。
八雲: うん。
GM: 封書の中には、殴り書きの文面がありますね。『悪いが、支部長職を辞める。後は豊前や大神さん、明星くんで都合の良いようにしてくれ。責任は全て俺にある。』と書いてあります。
八雲: ……でも、今名前が挙がった中で、ここの所属エージェントって大神さんだけだよね?
GM: そうなんですよ。
豊前: ――――あいつ、俺に丸投げしていきやがった……。表の感情が厭気に変わります。
GM: 「菅野支部長が居ないと、どうしていいか分からなくて……(おろおろ)。」
豊前: まあ、とりあえず落ち着け。今は菅野が支部長を辞めたって状態なだけか?
GM: いや、それがですね。日本支部長の霧谷雄吾から連絡が入っていて、応答しなきゃいけない状態なんです。
豊前: じゃあ、ピ。――――俺だ。どうした?“リヴァイアサン”。
GM: 『観鏡支部――――というか、菅野さんにお願いがあって連絡したのですが……。』
豊前: そいつはもう辞表を出している(と、封書を見せる)。だからこれから建て直しをしなきゃならねえ。アイツを連れ戻すなり、新しい支部長を立てるなり、だ。……で? お願いってのは何なんだ? ここじゃなきゃ出来ないことなのか?
GM: 『そうですね。観鏡支部にお願いしたいことが一つあります。』
霧谷は、明星と豊前の姿を認めると、続けた。
『とりあえず、彼の捜索は一旦措きましょう。』
そして、霧谷はスクリーンに世界各地のリアルタイムの映像を映す。
そこには、上空に飛ぶ飛行船がアップで映し出されていた。
『今、日本――――観鏡市や上海、ワシントン等、世界の主要都市上空に、細菌兵器である新型ディレームが搭載された飛行船が滞空していることが分かりました。本事象の計画立案、実施者はVTRを送ってきた本人である八重樫明仁氏と目されています。』
豊前: なるほど。
GM: 『彼は、ある要求をしてきました。――――中枢評議会の48時間以内の即時解体、または、中枢評議会を12名から6名に削減すること。これらいずれかの要求が聞き入れられない場合、48時間後に各国上空にある飛行船を落とす……とも言っています。』
豊前: ほう……。
GM: 『中枢評議会は現状、二派に分かれました。一つは良識のある方々。この方達は、投票を含めてその権利を放棄。各位の持つ勢力にて、不測の事態に備えようとしています。』これは、少数派。ちなみに、前回出てきたオールドワンは、この少数派です。
八雲: だろうね。(←前回、オールドワンの部下だった)
GM: 『もう一つは、工作・説得により、残る6名の評議員となるべく、暗躍する方々。……残念ながらこちらの方が多数派です。既に、それぞれの思惑で勝手な行動を始めているようです。』
豊前: ふむふむ。
苦笑して、霧谷は続ける。
『結果として、中枢評議会は沈黙。――――機能不全に陥っています。』
顔には笑みを張り付けているが、組んだ手にはかすかに力が入っており、それが彼の感情の高ぶりを感じさせた。
霧谷は続けて、更に悪い知らせをもたらす。
『今事件の首謀者・八重樫明仁氏を捕縛、あるいは殺害による事態への対処という意見が出たようですが、八重樫氏の申告によると、彼が持つ発信機からの定期的な電波の送信が途切れた場合、即座に飛行船が爆破されるそうです。』
豊前: ま、そうだろうな……。
GM: 『これだけ手の込んだことを計画された八重樫氏です。これがハッタリということは無いでしょう。――――ちなみに、八重樫氏の居場所は、はっきり判っています。』
豊前: ほう?
GM: 『観鏡市郊外の廃館に居ます。いくら郊外とはいえ、外部からミサイルのような戦術兵器を用いて強引に処理することも出来ません。――――そこで、観鏡市支部へのお願いなのですが、実は今、中枢評議員の一人が勝手に兵を動かし、八重樫氏を襲撃しようとしています。』
豊前: うん。
GM: まあ、そういうところでポイントを稼いで、6人に残ろうと目論んでいる、と。
八雲: ……八重樫が死んだら6名にする必要もないのでは?
豊前: ま、そのとおりですね。
八雲: ――――つまり八重樫は、そういう動きも含めて、UGNを混乱させて解体させようとしていると。
GM: その通りでございます。
八雲: 状況は分かったわ。で、私にはまだ聞かなきゃならないことがあるの――――と、さっきの山田太郎君を引っ張り出します。
GM: はい(笑)。
八雲: さあ、正直に言いなさい。あなたは誰に言われて嬉野さまのことを監視していたの?
GM: えー……判定してください。<交渉> で。
八雲: (ダイスを振る)9!
GM: では、喋りますね。まず、直接命令を出してきたのは、八雲昴。その背後にいるのは、中枢評議会の一人。前回のキャンペーンにも出てきた、アレイスター・ランカスターです。
八雲: ……なるほど。これは調べる必要がありそうね。
豊前: あともう一つ。鉄砲玉がもう一人居るんだが……。と、おっさんが残した封書を見せる。あいつは一人で行った――――この手紙はそういうことだろう。
GM: 霧谷も、その意見には賛同するね。
豊前: いつでもそうだ。あいつは、いつでも一人で行く。そして、いつでもクライマックスに一人で横たわっている。(一同笑)
GM: 今回は分からんよ?
豊前: ――――という状況だ、というところで、大神さん達の様子は?
GM: おろおろしていますね。支部を纏める菅野が居た状態で今まで支部があったわけで。どうしたもんかと。
豊前: まあ、落ち着け。自分たちの戦力を把握して、各国のブラックドッグ部隊の奴らに、八重樫が出してるっていう電波を定期的に送る方法を解明してもらったりしつつ、その上で情報収集をしろ、という指示を出す。
GM: はい。
豊前: で、だ。その上で、この支部がまずやるべきことは、中枢評議会のアタックチームを説得なりして止める、ということですよね?
GM: そうです。
豊前: ってな話も大神さん達にして、いいか、混乱している時間は無いんだと言う。
八雲: そんなことが画面の後ろの方で行われている間、シーンプレイヤーの私は憂いに満ちた表情で、頭の中で考えを巡らせています。――――要は、今離間を仕掛けられている状態で、私達は何をすべきか。確かに、戦略的に動くことも重要なのかもしれないけれど、今回はそうじゃないんじゃないかと、私の直感が言っているのです。
GM: なるほど。
八雲: ということで、珍しく皆の方に向き直って一言言います。……みんな。凄く大変なことが起こっているけれど、きっとこれは解決するわ。だって――――朝の来ない夜は無いんだから。
GM: すると、大神さんはそんな八雲を驚いたように見るんですが、頷きます。「……そうですね。私達でもやれることをやりましょう。」ということで、ぎこちなくも支部が動き出します。
◆ ◆ ◆
八雲: とりあえず、見失わないようにタスク出しをしておこう。今起こっていることとしてはまず、八重樫がUGNの解体を目論んでいることが、一番大きな問題としてあるよね。
GM: そうですね。
八雲: これを、止める方法を考える必要があるんだけど……。
GM: 八重樫をそのまま止めると、夏樹死にますけどね。
豊前: ゴメン。俺、そこはもう仕方ないって思ってた。
八雲: なんで八重樫が今回こういうことをしてるのかっていうのは、冬也じゃないと暴けないよね。八重樫の動きの、本当のベースになっていることって、実はまだ分かってないよね?
豊前: もうジャームなんじゃねえかな?
冬也: 俺もそう思ってる。
八雲: じゃあ、そうなったときに夏樹のことを諦めるのか、とか。
GM: ぶっちゃけた話、八重樫を放置してもシナリオは終わります。ただ、八重樫をどうするかっていうのも1つポイントで、単純に倒す、ってすると、恐らく夏樹は死にます。
冬也: …………。
GM: その辺もきちんと考えとかないと、厳しいかもしれないですね。
八雲: あとは、ランカスターの指示で動いてる部隊のこともあるよね。
GM: そうですね。これを放置して、仮に八重樫がやられてしまったりすると、飛行船が落ちます。……まあ、それはそれで本末転倒だろうって気もしますけど。
八雲: 要は、そこまでしてでも自身の保身を考えている輩がいるってことだ。
豊前: それに、プラス菅野もいるからなー。
八雲: それを踏まえた上で、どうするのかってのを考えよう。……今回は個人戦になるのかな? もしかして。
GM: えへへへへ(笑)。
豊前: とりあえず、八重樫の意識をなんとかする方向かな。その為にはまず、八重樫に向かってる戦闘部隊を止めて、八重樫の意識をどうにかして、飛行船も落とさないようにする、と。
八雲: 飛行船をなんとかするには、八重樫が自分の意志で「やらない」ってことを選択しない限り、何らかの形でディレームは散布されると思うんだよね。
豊前: んー。そっかー……。
八雲: だから、八重樫に根気強くアプローチをかけていくしかないと思う――――んだけど、それをやるのは八雲の役目じゃないと思うから、私はお兄ちゃん方向から調べようと思う。
豊前: 俺は、さっき言ったように物理的に何とかする方法を探ろうと思うよ。
八雲: で、嬉野さまは?
冬也: 今ねー、あの八重樫を説得しうるものってのが全くないんだよね。
八雲: 誰か、キーになる人が居るかね?
冬也: 基本、八重樫は家族の為に動いてるけど……ね。
豊前: ま、方針は決まったし、とりあえず動こうや。
◆ ◆ ◆
豊前: ってことで、冬也にはメールで今の状況を伝えるよ。一緒に来てくれと。
GM: さっきのシーンも踏まえた上で、冬也は戦闘部隊を止めに行きますか?
冬也: んー……。
豊前: あ、ちなみにこの支部で動けそうな人員ってことで、春日部にも声をかける。
冬也: 春日部にも!? ……じゃあ行きますよ。
八雲: 私は行かない。
豊前: それじゃ勝てないよ。戦闘でしょ?
GM: 戦闘用スキルを使った判定、ですね。
八雲: 私としては、嬉野さまに会うの恥ずかしいから、そのシーンに出たくないんだよねー……。
豊前: ――――いいよ、分かったよ。じゃ、俺が頑張るよ!
GM: では、戦闘部隊を止めるシーンに行きましょうか!
08◆ 強襲阻止
GM: では、登場してください!
豊前&冬也: 登場(ダイスを振る)!
観鏡市の郊外にある森林公園の中を、UGNの精鋭達が、ぬうように走り込んでいく。
豊前: 待て、お前ら。俺のシマで何やってる?
GM: 現れた豊前と冬也の前で、全員が一旦立ち止まるんですが、リーダー格の人間が手で合図をし、進軍を再開します。君らを排除すべき者として容赦なく向かってきます。
冬也: …………。
GM: 1ラウンド、戦闘が行われる扱いとします。戦闘用スキルを使って、達成値の合計80を出してください。
八雲: これ、私居ないと無理だな……。登場していい?
豊前: 出てくれるならありがたい!
GM: 登場してもいいですが、別に、ここで失敗しても話は進みますよ。後がキツくなるけど。
八雲: ……登場(ダイスを振る)! だけど、物陰に隠れてる。
GM: 冬也に直接は会わないんですか?
八雲: うん。会いたくないなって思ってる。
GM: 分かりましたー。では、<白兵><射撃><RC><交渉>等、戦闘に関連するスキルで振ってください。ちなみに、失敗すると何人か取り逃がすと思ってください。
八雲: 《コンセントレイト:バロール》《漆黒の拳》で! くらえ!! 肋骨ヘビーローテーション!!(ダイスを振る)今、23……。
豊前: 《妖精の手》!
八雲: じゃあ(ダイスを振る)46!
豊前: 次は俺だな。能力値強化【社会】、強化ビジネススーツを使って<交渉>で振るぜ。《天性のひらめき》(ダイスを振る)!! 15……だと厳しいね。《妖精の手》!(ダイスを振る)これで、27!
冬也: これで今、73……か。
豊前: これならいけるべ。
冬也: ……<白兵>で判定します(ダイスを振る)。7っ!?
豊前: ギリギリっっ!! あぶねーなー……。
冬也: だから、仕掛けるのは得意じゃないんだってば!!
GM: ふっふっふ。今回はギリギリで組んでますよ。35%くらいで失敗するように設定してる。
冬也: 恐ろしいことを……(笑)。
GM: では、相手も非常に鍛錬された動きで突破を試みるんですが、君らの妨害により、捕縛されます。
八雲: じゃあ、さすまたバージョンで捕らえます。
GM: で、一息ついたところで、八雲は出てくる?
八雲: ううん。
豊前: ちょっと、八雲に声をかけよう。なんで俺――――いや、あいつをか。あいつをそんなに避けてるんだ?
八雲: …………乙女心、ってやつ? と言って去ります。
豊前: オーケー。八雲に何かがあったことが分かるだけで、充分だ。
冬也: 八雲さんのロイスの表の感情を不安にしておきます。
GM: 冬也としては、深く突っ込まないの?
冬也: うん。八雲さんの中で何かがあったんだろうなとは思うけど、それに対して俺が何か出来るとは到底思わないから。
GM: なるほど。では隊長格の人物が言います。「まさか、我々が止められるとは……。」
豊前: お前らの所属も目的も分かっている。とりあえず、2日間は大人しくしててもらおう。
GM: 「…………。」
豊前: ということで、観鏡支部のゲストルームに、皆様をご招待します(笑)。




