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第三話 「合わせ鏡 -You and I-」 02

Middle Phase


01◆ 捜索          シーンプレイヤー:菅野道明


GM: では、ミドルに入るんですが、今回の話によって、今後の話の展開が色々と変わっていくのでよろしくお願いしますねー。

一同: はーい!

GM: まずは豊前と冬也を探すシーンです! シーンプレイヤーは菅野で、八雲は登場可能です。

八雲: 登場します!


 UGN新観鏡支部の支部長室。

情報収集が不得手な菅野の代わりに、大神が捜査結果を纏めている。


八雲: 天井の通気孔から登場します。(一同笑)ただいま戻りました。


 八雲が来たところで、大神が纏めた情報を口早に語った。

「現時刻を以ってしても、嬉野・一ノ瀬両名とはコンタクトが取れません。その性質から、誘拐や拉致といった類に巻き込まれたものと考えます。」


八雲: …………。

GM: 「ひとまず、市内のFHが関連しそうな施設の中から、公共性が高くそれなりに人目につく場所を排除したものをリストアップしました。」


 そう言うと大神はそのリストを机の上に置いた。

リストには、数十の施設名が載っていた。


菅野: 数十……。

GM: それだけFHが関連している施設が多い、ということですね。この三年間にFHがどれだけ勢力を伸ばしていたかという証左でもあります。


 「正直なところ、更に絞る為には時間が足りていません。もう少しお時間を頂ければ、更に絞り込んでみせます。」

目の下に隈を作った大神が、そう言った。


八雲: ここで、何か調べることって出来るの?

GM: はい。以下の情報項目があります。

 ・嬉野と一ノ瀬の所在について → <情報:裏社会> または<情報:警察>

 ・嬉野と一ノ瀬を誘拐した存在 → <情報:FH>または<情報:UGN>


菅野: じゃあまずは二人の所在について調べようか。

八雲: 私が<情報:裏社会>で振りまーす!(ダイスを振る)15!!

GM: それは分かりますね。

・市内のFHが関連しており、かつ最近人の出入りが増えた施設をピックアップした結果、観鏡市東部にある薬事一般企業の研究施設が該当。

・この施設に観鏡市立高校の制服を着た高校生が数人出入りしている。


GM: ということで、この施設を調査したりそこに潜入することが可能になります。

菅野: その研究施設の調査に使う情報項目は?

GM: <情報:裏社会>ですね。

菅野: ではこのシーンでそれも調べちゃおう。情報収集チームを使用!(ダイスを振る)4!!

GM: それでは分からないね(笑)。

八雲: 正直、正面突破が一番早いよ。―――――嬉野さま、待っててね!


02◆ 取引         シーンプレイヤー:八雲明星


GM: では次に八雲のシーンです!

八雲: はーい、登場!!

GM: 八雲昴から、君に一時出頭命令が出ました。

八雲: 私も丁度兄さんに会いに行こうと思ってたところだから、行くよ。ガラガラ(←引き戸を開けた)。で? 兄さん、用事って何?

GM: 「いや、元気そうで何よりだ。最近の調子を聞いておこうと思ってね。」

八雲: もう毎日が楽しくて楽しくてしょうがないよ!

GM: 「……君に頼んだ仕事、覚えてるかな?」

八雲: うん。

GM: 「…………。まあ、襲撃事件についての報告は読んだよ。正直君の目から見て、今の観鏡支部の状態はどうかな?」

八雲: 戦闘力で言えば並ってとこだけど、組織運営面では、大神さんがくしゃみをすると支部全体が風邪をひきます。

GM: 「なるほどね。」

八雲: ということで、組織としては脆弱といわざるを得ないだろうね。

GM: 「実は今、上層部には2つの意見があるんだ。」

八雲: そうなの? 例えばあそこを取り潰しにするとか?

GM: 「――――まあ、そうだね。役に立たない所に割ける人員は、今のUGNにはないからね。そしてもう1つは、FHに対する抑止力として支部の存続・増強を進めるべきという意見だ。」

八雲: まあ、今の時点でほとんどFH一強になってて、何をするにしても後手に回ってる状態なわけだから、兵力面で考えるなら他のところに統合しちゃったほうがいいと、私個人的には思うわ。

GM: 「つまりだ。」


 昴は言う。

「プロジェクト・エンブリオの件がある以上、あの地には潜在的にUGNに対する阻害要因が潜んでいる。あの件について少しでも表に出ると、UGNとしては厄介だ――――。」


GM: 昴としては、観鏡市にUGN支部があること自体が、UGNにとって不利益になるんじゃないかと思っているようだね。

八雲: …………。


 昴は眼鏡をくいっと上げると、窓から室外を眺めながら告げた。

「そこで、なんだが――――例えばだ。現支部に対して深刻なダメージ或いは不祥事があれば、支部の在り方について再考するという決定を下す必要もあると思うんだ。現場からそういった報告や上申があった場合には特に、ね。」


八雲: つまり、ありもしない不祥事をでっち上げろってこと?

GM: 「僕の口からそこまでは言わないよ。」

八雲: でも、大丈夫よ兄さん。あそこの支部長の菅野さんは、過去にプロジェクト・エンブリオに対する因縁があるらしくて――――きっと勝手に転ぶわ。(一同笑)

GM: 「ではもしもそういう事態が起こった際には、きちんと査察してくれたまえ。」

八雲: ――――兄さん、ここは取引をしましょう。私は仕事をする、兄さんは人事部に圧力をかける。OK?

GM: 「…………。」

八雲: 支部がなくなっちゃったらさぁ、今のメンバーってバラバラになっちゃうじゃない。

GM: 「ああ、よく気付いたね。……後で取引材料にしようと思っていたんだけどな。」

八雲: 私は嬉野さまと一緒に居られればそれでOKだからね?

GM: 「考えておこう。正直、戦力を求めている支部は沢山あるからね。……一緒ならいいんだろう?」

八雲: そう。バランスがいいのよ。

GM: 「ま、何かあったら査察を頼むよ。」

八雲: ん、わかった。


03◆ 先輩        シーンプレイヤー:一ノ瀬豊前


GM: さて、囚われ組のお二人、お待たせしました! なお、このシーンには、神前は出てきません。

豊前: とりあえず俺は、あのねーちゃんに駄菓子とかジュースを買ってきてもらって、寛いでます。

冬也: 適応能力高いな……。

豊前: ん? お前も食えるときに食っとけよ。

冬也: …………ま、真理ではあるな。


 呟いて、冬也は自分の手元を見る。

両手に嵌められた手錠の力で、エフェクトを顕現させることが出来ないようだ。

冬也のそんな思いを汲み取ったのか、豊前が平然と言った。


豊前: ついにFHはやったか。まあ、構想はしていた。――――で、問題はどうやってここから出るかだが……(と、紙に状況を書いて整理している)。

冬也: ……なあ。

豊前: ん? どうした?

冬也: 今の観鏡市の現状を考えると、菅野さん達が此処に辿り着くまでには結構な時間がかかると思うんだが、その辺はどう考えてる?


 問いかける冬也を見ずに、豊前は呟いた。

「この市のことを考えてくれる……それは非常に嬉しいことだ。」

そして、書き物をしていた手を止めると、冬也の方を向いて言う。

「奴らが俺らに合流するのは、時間を掛ければ出来ないことじゃない。問題はそれまでに俺らが殺されている可能性があるってことだったんだが――――神前は話をしたいと言っていたわけだし、もう大丈夫だろう。あとはお前が力を残しておけばそれでいい。だから、リラックスしておけよ?」


冬也: …………。

豊前: なんだなんだ、難しい顔しやがって! 何か聞きたいことがあるんなら何でも聞いていいぞ?(と、ジュースを差し出す)。

冬也: ――――実はな。エフェクトが使えなくなるっていう状態を、最近俺は別の場所で経験したんだ。

豊前: ほう?


 冬也は、自身が観鏡市に戻ってくるきっかけになった出来事を豊前に話す。

“イクリプス”と名乗る人物に襲われた際に起こったことと、夏樹の身体がなくなり、自身の頭の中に夏樹が居る状態らしいこと。

その原因を調べるために伊勢四郎の研究室に入り浸っていたものの、何も進展はなかったこと。


豊前: なるほどな。

冬也: あ、GM! 今、夏樹に話しかけられる?

GM: はい。話しかけると、「ん、寝てた。」って感じです。

冬也: 暢気な……。お前も当事者なんだぞ?

GM: 「いや、でも俺が何か出来るわけでもないし。」

冬也: そりゃそーかもしれないけどさ。

豊前: うわー…………マジか。――――でも、そうか。それでこっちに来たんだな。

冬也: ああ、そういえば言ってなかったな。――――正直、今のこの状態が何とかなったら、俺は観鏡市から出ようと思ってるよ。

豊前: そうか。――――ん? 最近学校に来なかったのは、もしかしてお前のせいで河合祥子が死んだとか思ってるのか?

冬也: ……ちょっと黙ったあと、目をそらす。

豊前: 一つだけ言っておくぞ。似たような事件は世界中至るところで起こっている。お前自身が事件の当事者になるかならないかって違いはあるが、俺達UGNってのは、それを救う・守るためにあるんだ。

冬也: …………。

豊前: お前が何処に逃げようが何をしようが勝手だが――――お前はそれでいいのか? 俺は河合祥子が死んだときにお前も俺と同じような感情を持ってくれていると思っていたぞ?

冬也: それ、は……。

豊前: 俺はお前に学校に行けって話をしてたよな? 何故かって言うと、お前にそういう感情を持って欲しかったからなんだ。UGNに属してるけど、ホントは戦うだけなんじゃん、とか思って欲しくなかったんだよ。

冬也: 豊前……。

豊前: 確かにどうしようとお前の自由だけど、俺はお前に、もっと人間関係についてとかを勉強して欲しい。俺が教えられることは教えたいと思うし、逆にお前から教わることもあるだろうしな。


 いつになく熱弁を振るう豊前。


豊前: ま、それはそれとして、お前が夏樹のことをなんとかしたいってんなら、協力はするぜ?

冬也: ――――なんで、そこまでしてくれようとするんだ? お前の父親に止めを刺したのは俺なのに……。

豊前: お前は色々と頭で考えすぎなんだよ。

冬也: ?

豊前: お前は俺の後輩だ。後輩のために何かやりたいってのは、先輩としては当然だろ? 俺のとーちゃんに止めを刺した? ンなもん、FHだからいーんだよ!

冬也: (自嘲気味に笑って)後輩……か。――――そこもなんだよな。

豊前: お?


 豊前を真っ直ぐに見据えて、冬也は問う。

「お前、気持ち悪くないのか? ……お前の年齢を追い抜いてしまった後輩、ってのが。」


豊前: ――――なるほど。その急激な成長スピードがコンプレックスになっていたのか。

冬也: ………………。

豊前: 正直な話、研究による事故――――によって、お前が生まれてきちまったってだけなんだろ? この先どういう成長速度になるかは分からんが、それでも、俺達がやってしまったことなんだ。――――だから、俺は受け入れるぜ? お前のことを。

冬也: 普通の人間も、それを受け入れられると思うか?

豊前: あ?

冬也: UGNでも何でもない普通の学生が、そんな事実を受け入れられると思うのか? 俺はそうは思わない。だから、俺は一般人との接触はしたくないんだ。


 独りごちるように言う冬也に向かって、豊前は怒鳴った。

「うるせぇ!! お前、何自分が特別だとかぐだぐだ言ってやがんだ? 中二か!? ンなもん、ちょっと成長が早いだけだろ!! まだまだオメーは経験の足りねーガキなんだから、大人しく高校行っとけよ!」


冬也: ――――っ!

豊前: だから、お前はお前のやりたいことをだな……。


 豊前がなお何かを言い縋ろうとしたその時、不意に部屋の扉が開かれた。

開かれた扉の向こうに居たのは、神前に言われて冬也を呼びにやって来た警備員だった。


豊前: “アイギス”! ぐちゃぐちゃ考えてねーで、素直にな。

冬也: ――――(ふっと息を吐いて)わかった。


            ◆       ◆      ◆


GM: なんていうか、今回の冬也って前回のキャンペーンのときにあった真っ直ぐさが無いよね?

冬也: 無いですねー(笑)。ザ・反抗期って感じです。

豊前: 三年でヒネちゃったんですよ(笑)。


04◆ 取引         シーンプレイヤー:嬉野冬也


GM: では次のシーンプレイヤーは嬉野君です。時間としてはさっきの続きで。


 冬也が通された別室には、質素な机と椅子が置かれており、そこに神前だけが居た。

手錠をしたままの冬也に向かって、リラックスした様子で神前は言う。


GM: 「まあ、そこに座ってくれたまえ。」

冬也: 素直に座るよ。

GM: 「(苦笑しながら)まあ、既に学校では会っていたんだけれどね。――――もう知っているとは思うが、僕はFHだ。」

冬也: そして“イクリプス”のリーダー、だろう?

GM: 「一応そういうことになってるね。」

冬也: 夏樹のことについて、何か知っているような口ぶりだったが?

GM: 「うん。夏樹君のことについて提供出来る情報はあるね。」


 神前はふっと笑って続ける。

「ただ、明らかに潜在的な敵であるUGNと関係している君に、その情報をみすみす渡すことは、あり得ないだろう?」


冬也: ――――つまり、俺にそちらにつけと?

GM: 「僕としては君に、とある対抗勢力になって欲しいんだ。」

冬也: どういう意味だ?


 神前は変わらぬ笑みを浮かべて言った。

「僕は今、ある人物と関係が上手くいっていないんだ。それに対応する為に君には味方になって欲しい。」


冬也: …………。

八雲: 「上手くいってない相手」って、わざわざぼかして言うってことは、その相手は神前が直接手を下せない相手であるFHの人ってことかな。普通に考えると。

冬也: なるほどね……。


 判断を下しかねている冬也を見て、神前が一歩踏み込んだ話をする。

「君の判断材料となる情報だけ公開しよう。最近、“レースノウァエ”の傍らに、急に一人のエージェントが現れるようになったんだ。」


冬也: それは、俺に似たアイツのことか?

GM: 「似てるというか……(苦笑)まあ、そうだね。――――“レースノウァエ”は彼のことを“嬉野夏樹”と呼んでいる。」

冬也: ッ!! ……その“嬉野夏樹”と直接話をすることは出来るのか?

GM: 「UGNに居る状態では厳しいだろうね。ただ、こちらに来ればそれも可能じゃないかな?」

冬也: そう、か……。

GM: 「正直に言おう。――――君には僕の腹心になって欲しいんだ。」

冬也: …………。


 神前の話によると、観鏡市のFHも現在二極化しているのだという。

本来“レースノウァエ”直属の配下として“イクリプス”がいたのだが、それを飛び越える形で“嬉野夏樹”が現れ、それを“レースノウァエ”が重用している。

神前としては、それが面白くないため、対抗手段として冬也を欲しているようだった。


GM: 「君は別に、UGNに居る理由はないんだろう?」

冬也: それはそうなんだが……お前は、河合さんの件を傍観していたろう?

GM「(不機嫌な顔になり)あれは、僕にとっても非常に残念な出来事だった。」


 悔しげな表情で、神前は続ける。

「あの事件は、僕の力の及ばないところで起きていたからね。あれは、“レースノウァエ”の命令で“グランギニョール”というエージェントと“嬉野夏樹”によって行われたことなんだ。」


冬也: そのことでお前は、“レースノウァエ”に不信感は抱かなかったのか?

GM: 「あくまで“レースノウァエ”は僕にとって雇い主だし――――僕らはFHなんだぞ? 慈善団体じゃない。まあ、やり方は非常にスマートじゃないと思うけどね。」

冬也: ……ま、それはそうか。

GM: 「さて、改めて聞くが、僕の掴んでいる情報を聞く気はあるかい? まあ、すぐに答えは出ないだろうけど、もし良い方向で考えてくれるのであれば、情報を提供してもいいよ。」

冬也: ……俺には俺の思いがある。だから全面的な協力関係には、なれないと思うが。

GM: 「僕の欲しているときに、動いてくれればそれでいいよ。」

冬也: ――――であれば、協力するのはやぶさかではない。

GM: 「(にっこりと笑んで)では、僕から話せることを話そう。実は――――。」


 神前は、冬也達と初めて邂逅したときのことを語り始めた。

「あの時、“レースノウァエ”にもらっていた命令はただ一つ――――『嬉野夏樹を生死を問わず確保せよ』、だった。結果的に任務には成功したんだが、実はその場では、君の姿を発見することは出来ず彼だけを回収するに至ったんだ。」


冬也: その時、夏樹は生きてたの?

GM: そのときは、いわゆる【HP】0の状態でした。その後どうなったかについては、神前も知らないようです。


 「だが、彼の身柄を引き渡した後すぐに、ひょんな形でヤツが現れた……。“レースノウァエ”からは、新しいエージェントだと言われたんだが、自分が仕留めた相手がいきなり現れたら――――それはびっくりするよね。しかもそいつが腹心として扱われているというんだから、ね……。」


冬也: お前は、そいつと直接話したことはあるのか?

GM: 「ないよ。どうやら“レースノウァエ”は“嬉野夏樹”と僕らを関わらせないようにしているらしくてね。」

冬也: …………そうか。

八雲: この感じだと、神前がこの観鏡市である程度の実力者になった場合、利害が一致している範囲内においては、協力関係を結べそうだよね。

豊前: そうかもねー。

冬也: ――――あ! あと一つ聞いておきたいことが!! ……この手錠の効果は、お前の能力によって作られたものなのか?

GM: 「ああ、それ? それは、最近FHが開発したものだよ。レネゲイドの動きを阻害するんだってさ。」ぶっちゃけて言うと、第一話の冬也のオープニングで起こったことと、この手錠の効果とはまったく別のものです。

冬也: わかりました。


 「ま、今までUGNに肩入れしていたわけだし、すぐには結論も出ないだろうからね。ゆっくり考えてくれよ。」

神前の言葉に送られて、冬也は部屋を後にするのだった――――。


05◆ 要請          シーンプレイヤー:八雲明星


GM: 次は、八雲のシーンです! 君の携帯に、日本支部長・霧谷雄吾から連絡が来ます。

八雲: おー! 霧谷さん、久しぶりー!!

GM: 「(苦笑しながら)軽いですね……。」

八雲: 珍しいですね。どうしたの?

GM: 「ちょっと近くに来たものですから。」

八雲: じゃあ、この近くのカフェ・ベローチェンででも会いましょう。(一同笑)


 その約束を取り付けた八雲がベローチェンに着くと、そこにはきっちりとしたスリーピースのスーツを着た霧谷が座っていた。


GM: 「ああ、お待ちしてました。」

八雲: これはこれは日本支部長様! 私のような下々の者に……。(一同笑)

GM: 「いえいえ、貴方の能力は聞いていますよ。お手柄だったそうじゃないですか。」

八雲: (すっごく嬉しそうに)にゅふふ♪(一同笑)ところで支部長! 私はもうすぐにでも潜入工作をしたいところなんですが、何の御用ですか?


 意気込む八雲に、霧谷は一葉の写真と、一枚の打ち出しデータを見せた。

写真には旧観鏡支部地下に存在する研究施設を写したものらしい。

データのほうには極秘と判が押されており、数多くの社名と数字が並んでいる。


菅野: それって、前回俺が手に入れたやつ?

GM: です。それを、霧谷が持っていました。

八雲: 私は初めて見る資料だよね。(資料を持って)これは?

GM: 「――――まず明星さん。プロジェクト“エンブリオ”については何処までご存知ですか?」

八雲: 知ってることを全て話す。

GM: 「正直、三年前の時点でプロジェクト“エンブリオ”というUGN内でも極秘事項だった計画は凍結されているというのが、僕の見解でした。」

八雲: うん。

GM: 「ただ最近、そのプロジェクトが継続されているという可能性が出てきたのです。それも――――日本支部長である僕が預かり知らないところで。」

八雲: …………。

GM: 「この資料を見て、おおよその内容は分かりますか?」

八雲: いえ。

GM: 「まあ簡単に言うと、各会社の出納帳ということにはなるのですが――――。」


 霧谷はそこで少し声を落とした。

「この資料によると、金の出元がUGN関連のペーパー会社で、その出先がFH関連の会社なんですよ。」


GM: 「つまり、UGNからFHに対して、相当額が移動しているということです。」

八雲: その金は普通に考えると“エンブリオ”に使われてるんだろうけど、その大元にUGNがかんでるってことだよね――――これ、霧谷が知らないってメチャメチャやばいんじゃない?

GM: そうだね。

八雲: (凄く慌てて)ちょ、ちょ! 何でそれで、私に白羽の矢が立つの!?


 思わぬ大きな案件が回ってきたことに戸惑う八雲に、霧谷は説明を続ける。

“エンブリオ”の件についてUGN内部で隠蔽されていることは分かっているものの、その隠蔽が霧谷の力が及ばないレベルで行われているらしく、霧谷自身が表立っては動けないこと。

その隠蔽に査察部が関係しているという想像まではついているので、情報を流して欲しい――――と。


八雲: (即答)うん、オッケー。(一同笑)

GM: 「いいんですか? 君のお兄さんの利害と一致しない可能性もありますが。」

八雲: 兄さんは大丈夫だよ。殺しても死なないタイプの人間だから。

GM: 「(苦笑して)では、“エンブリオ”関連で分かったことがあれば、教えて下さい。」

八雲: ……ん? 私って今、一応菅野の部下ってことになってるんだよね?

GM: まあ、出向って形ですね。で、丁度聞こうと思ってたんですが、まず君の所属である査察部があります。で、今、霧谷から振られた話があります。更に本来なら菅野が上に居ますって状況下で、どう動きますか?

八雲: 基本的に、お願いされたことは全部やる。

冬也: おー。すごい!

八雲: で、その結果については私は責任を取らないという方針を取る。

GM: おい(笑)。

八雲: 私が間に入って情報を行き来させることって、観鏡市でUGNがFHに追いつくのに絶対必要なことだと思うんだよ。

豊前: で、全部に所属すんのか。すげーな……。

八雲: ただ、菅野は飛ばした方がいいね。八重樫との繋がりでどういう動きをするか分からないし。

菅野: OK。

GM: ということで今後、突破口になりうるのは八雲かなといったところです。菅野が協力者を作らない限り、一人で調べきることは難しいでしょうね。

菅野: …………。


 「じゃあ、私ちょっと潜入してきますんで! 支部長、お疲れ様でした~。」

軽い調子で言い、去っていく八雲を、霧谷は複雑そうな表情で見送っていた――――。


06◆ 夢現        シーンプレイヤー:菅野道明


GM: では次に、菅野のシーンです! 他PCは登場不可で!

菅野: ほい。


 連日の激務の疲れからか、菅野は支部長室の机で居眠りをしてしまっていた――――。


GM: ということで、夢か現か、君の前に生前の八重樫が現れます。

菅野: ほう?

GM: 「(笑いながら)正直なところ、今の立場はガラにもないとか考えてるかい?」

菅野: いやー、あり得ないだろ。

GM: 「うん、僕もそう思う。」

菅野: お前の下に居た頃も、こういう方面にはなるべく関わらないようにしてたからなあ。

GM: 「ただね? 能力のある人間が上に立たないっていうのは、僕はあまりよくないことだと思うんだ。」

菅野: …………。

GM: 「別に支部長の適性って、上手く仕事が出来るとかっていうだけじゃないと思うんだ。」

菅野: ほう?

GM: 「君には君の良さがあると思うから、君を見ている人にそれらしい姿を見せてればいいんじゃないかな?」

菅野: …………。

GM: 「最近、何か悩んでたりする?」

菅野: んー……まあ、いきなり閂が出てきたりで、混乱はしてるかな。

GM: 「冬也に、UGNが必要かどうかって聞かれて、答えられなかったじゃん?」

菅野: 答えても良かったんだけど、対外的な答えしか出来なくてさー……。一応俺個人としての答えもあるにはあるんだけど、それを冬也に言うのもどうかと思ってな。

GM: 「(笑って)でも正直、あまり深くは考えてなかったでしょ?」

菅野: (同じく笑って)まあね。

GM: 「でも、普通そうだよね。UGNという組織が、僕らの目的を達成する為の手段にはなるけど、目的にはならない筈なんだ。」

菅野: …………。


 頭をかきながら、八重樫は続ける。

「確かに、三年前の僕は一極化を望んでいた。櫻が……あんなことになって、UGNを憎んでいたと言っても過言じゃないだろうね。ただ、それはあくまで状況であって、元々UGNに所属するときに、そんなことを考えて入るわけないじゃない?」


菅野: まあな。

GM: 「UGNの大目的であるオーヴァードと人間の共存、に共感して所属している人も沢山居るだろうしね。」

菅野: うん。

GM: 「――――あのね? 忘れないで欲しいんだ。今生きているのはあくまでも君で、今の観鏡支部をどうするのかという決断も君のものだ。それに文句を言える筋合いは、誰にも無いんだよ。」

菅野: ――――ま、個人的には止まる理由が無くてね。俺にはUGNは必要なものだ。お前が何を墓の下に持っていったのかを知るためにもな。

GM: 「あっはっは。……じゃあまあ、僕は行くわ。」

菅野: おう。また暇見て来いよ?

GM: 「うん。夢枕に立つよ。」(一同笑)


 八重樫が少し笑うと、その姿は段々と薄くなり――――……。

「――――寝てたのか。……さ、仕事しないとな。」

そう呟くと、菅野は再び情報収集を始めるのだった。

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