2/2
覚醒
人の視覚と自分の視覚を比べることは難しい。
ましてや表現手段に乏しい子供には、自分の見えている世界を説明することは出来ない。
物心ついた頃から、私は風景が所々欠損して見え、平面が坂に見えたり、直角に見えたりしていた。
疲れてくるとモヤが見え、街灯の明かりは乱反射してら見えた。
私の生まれ育った地方の田舎では、田んぼに水を引くための用水路があったが、日が落ちて暗くなれば、
道と用水路の見分けがつかず、何度も用水路に落ちた。
学校側は要目の検査。メガネの使用をすすめたが
「子供のうちからメガネしてると。私がお父さんにおこられるから!」と、治療はしてもらえなかった。