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嘘の日に生まれ
私が生まれた日は、4月1日火曜日。4月バカの日。嘘をついてもいい日。
そんな日の午前1時、私は「犬より楽なお産」と、後に祖母に繰り返し笑われるほど、じつにあっけなく母の股ぐらからこの世に顔を出した。
ワケの分からない神道にハマっていた父は、41歳にして初めて授かった娘の誕生を喜び、ゴミ捨て場で拾ったご神体にうろ覚えの般若心経を何度も唱え、柏手を打った。先に我が家にいた施設育ちの6歳の養女は、〝妹〟と呼ぶべき存在に複雑な心境を覚えただろう。
すでに夫婦仲の冷め切っていた母は、私に初乳を含ませることもせず、退院後すぐに私を実家に預けた。