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逃げ出したタカラモノ

作者: 六花な

交わしたモノは何だっけ? 君と僕との秘めゴト

君は笑って、僕は泣いた

そんな僕を優しく包むのも君

「おいで、君は一人じゃない」―――独りじゃないよ

そう言ってほほえんだ君に、僕はまた泣いてしまった

そう独りじゃないんだ

最後に君と僕は笑って、丘を駆けた


投げ捨ててしまいたいモノ

逃げ出してしまいたいモノ

それらはたくさんあって、今もある

一人じゃ抱えきれなくて、大切なものまで落ちて堕ちてしまった

君は泣いて、僕は笑った

そんな君を優しく包むのは誰もいなくて

君は独りだった

ぼくは笑った 君に笑ってほしくて

けれど君は笑わなかった

落ちていったモノは君にとって大きすぎた

僕にとって小さすぎた

ひとりぼっちが二人

最後に二人は静かに泣いて、坂を下った


広がるはアカ

広がるはクロ

それらは静かにうるさくゆっくりはやく縮んで広がった

啼き声は鳴き声は泣き声は哭き声は途絶えて響く

耳を劈く音は失って、辺りに反響する

近づいて離れて離れて近づいて

僕は叫んで叫んで叫んで叫んで叫んで

「僕がいるよ、君は一人じゃない」―――独りじゃないよ

言葉は障壁に阻まれて あっさり消え失せる

それでも僕は叫んで叫んで叫んで叫んで叫んで

丘を駆け、坂を下り、君の居る()るいるイル場所へ

靴は脱げ、腕はひざは足は手は顔は傷だらけ

君の苦しみをわかりたくて、分け合いたくて、君を独りにさせたくなくて

僕は泣いた――――――――――――…



一人でいた君が僕の泣き面をみて、静かに笑った

「おいで、僕たちは一人じゃない」―――二人なんだね

そういってほほえんだ君に、僕はまた泣いてしまった

そう君と僕はずっと一緒だ

最期に二人は笑って、天を仰いだ




『逃げ出したタカラモノ』

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