プロローグ
こんにちは、呉服屋といいます。初投稿なので、拙いとは思いますが、読んで頂ければ幸いです。
目を開けると、そこは異様な空間だった。
ただただ暴力的なまでの純白に囲まれている。その場所は、その異様さも消してしまいそうな、独特な雰囲気を持っていた。
辺りに目を向ける。
やはりと言うべきか、あるのは純白だけだ。距離さえも、あやふやだ。しかし、紛れもなく自分は立っている。
妙な感覚だった。立っているようで、浮いている。浮いているようで、立っている。
上も下も同じ純白ばかりで、体を少し捻ってしまえば、それも分からなくなりそうだ。
「ここは、どこだよ」
呟く。かなり、遅まきながらだが。
『えっと、ここはね』
何処からか、声が聴こえてきた。
中性的なアルトボイス。男と言われても、女と言われても納得してしまいそうな、作意を感じさせるものだった。
「・・・・・・・・・・・・何処?」
『ここ、ここ。ほら、見えた?』
問い掛けると、答えはすぐそこから返ってきた。 しかし、聞こえた方向へ目を向けても、何もない。
『だから、よく見て!』
先程と同じ向きからだ。今度は、しっかりと目を凝らす。
「あぁ、いた」
右前方5メートルほどのところに、それはいた。
蝿だったが。
何だろうか。無性に、自分をほめたくなってきた。
周りを見回す。広がる白色は、目視100メートル。蝿は、3ミリぐらい。よく、みつけられたものだ。
『やっと、見えたみたいだね。思ったよりも早 くて、まぁまずまず優秀だよ』
「そう。それで、誰?」
蝿のくせに偉そうに、と思ったがとりあえず無難にスルーする。そんなことよりは、今の状況を知る方が優先だ。
『えっ、僕?』
お前以外に、誰がいる(以下略)
「うん、そう」
『そんなに、僕の事が知りたいんだ。じゃあ、 仕方ないね。教えてあげようじゃないか』
うざい。自分の一番嫌いなタイプだ。
「ありがとう。できれば、簡潔に」
言葉に多少刺がはいったが、悪いのは僕ではない。うざい蝿が、悪いのだ。
そう、心のなかで責任転嫁しておく。
『簡潔に、ね。・・・・・・そうだね。僕は、 君達が言うところの神って奴かな』
その答えに、少し首を傾げつつ聞き返す。
「神様?」
『そうそう、それ』
嘘臭い。が、確かにこの空間を説明するには、それぐらい突飛な単語が必要だろう。
それでも、
「本当に?」
怪しいのは、変わらないけれど。
『もう、・・・・・・うたぐり深いな』
当たり前だ。
『君達の世界では、蝿がしゃべるのかい?』
「いや」
そんなのが、そうそういてたまるか。
『でも、僕と会話していることに違和感がある かい?』
「全くというわけではないが、それでも、さし てないね」
この空間よりは、普通だし。
『それが、僕の力さ!』
「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
ナルシストか。それとも、中二病乙と言うべきか。
致し方ない。話を変えるか。
「それで。何で僕は、ここにいるわけ?」
ご意見、特にご指摘、アドバイスがありましたら、よろしくお願いします。