始まりの最後
タイトル道理のお話です
このシリーズは長編ですが、1話ごとに主人公の違う短編集です。
続く話もいくつか作る予定です。
下手ですがどうぞ!
明日世界が終わる
「じゃあ悔いのないようにしないとね」
ーなんでそんなのほほんとしてるんだよ
なんて返すと、咲由は
「だって最後は笑顔がいいもん」
と、不安と恐怖と悲しみを感じさせない顔をした。
2222年2月2日、世界に異変が起きた。
ちょうど2が揃っためでたいのか難しい日に。
最初は月が爆発したところから始まり、地球の氷が溶けた。と、思えば砂漠は緑に変わり、不治の病が治る人もでてきた。
雪と思えば雲が落ちてくる。
雨かと思えばなぜか塩が。
それから1ヶ月後、咲由が家にやってきて言い放った。
世界が終わるらしい。
世界はまだ在った。よく持ちこたえたほうだ。超常現象の連続だったのだから。
今じゃなにが起きても不思議じゃなくなった。
だから明日世界が終わってもありえなくない。
ーでも終わりは怖い
咲由は幼馴染みだ。16年間の付き合いで長いものだ。
「でもよかったね~。この町はなんにも起きなくて」
「そうだな、でも明日でを終わることは変わんないじゃん」
「忍はネガティブすぎるよ!ほら、笑顔笑顔!」
人差し指を俺の頬に突き刺して咲由はそう言った。
「わかったよ!わかったから痛い!!」
咲由は満足そうに指を離して背中を向けた。
ーまったく、あぁでも、咲由の言う通りだな
昔から彼女の言う通りにすると最後は上手くいくものだった。
「で、『悔いを潰せ★実行委員会!?』ってのをすると」
「そうだよ!」
なんだこのネーミングセンスは
「でも散歩しか考えてないじゃん」
ピンクの文字で『悔い改めよ手帳』と書かれた手帳は1ページ目に真ん中に『散歩』としかなかった。
「え、ちょ、忍庶務よ、散歩こそが我が委員会の生き甲斐であろうぞ」
「まて、設定が100レベルぐらい難解だ」
「あ、書記のほうがよかった?」
「そこも含めて全部だよ」
「Let's go 」
「話し聞いて!?」
そのまま咲由は男子学生顔負けのスピードで家を出た。
「懐かしいね、公園」
「いや帰り道いつも寄ってるからね?」
わんこ公園、イヌの散歩で寄る人が最高で30人を超えたらしい。
「ドッジボールとかしてたねー」
「小学生のころだろ?」
小学生のころ0距離で咲由のボールを顔に受けたことを思い出した。あれは痛かった。
「じゃあやろっか?」
「おいまてどっからだしてきた」
「愛から」
-なにそれこわい
案の定、顔にくらいはしたがまぁスポンジ製で危機はのがれた。
「すばしっこいこいなぁ忍は」
「やっぱ狙ってたのかてめぇ!?」
「落ち着こうぜほらお茶」
-だからどっから出してんの!?
「ほら!時間ないよ!つぎは相撲だ!」
「なんか今日キャラ違くない!?」
疲れた。あの後は学校の帰り道や近所のスーパー、通ってた塾、昔かってに決めた秘密の場所。
どれも彼女の振り回されながらだったけど、懐かしくて、楽しくて、
涙が止まらなかった。
思い出した、小さい頃を、
咲由と学校に通ったこと
咲由と放課後に話し合ったこと
咲由とケガしたネコを助けたこと
咲由と中学生になったら疎遠になったこと
咲由と高校が同じだったことに喜んだこと
家に帰ってきた。よく泣いた、よく笑った。
時間は深夜なのにさっきから夕方のままだ。いよいよ終わりが近いらしい。
「…ねぇ、忍」
「どうした?」
彼女の声は先ほどとは別人のように弱弱しく、
「あのね、いきなりでごめんなんだけど」
泣いてる。声でわかる。
「アタシね、もう会えなくなるの」
-なんだそんなことか
「心配するなよ、最後まで一緒にいるよ」
俺はそういって咲由を抱きしめた。
「…うん、ありがとう」
彼女は笑顔にならなかった。
ここも終わりが近い、太陽が歪んでとけたように見える。
俺もさっきから体がうまく動かない。世界の終わりってのは人体にもくるのか。生物も含めて世界らしい。
「咲由」
動かない口を精一杯開ける。
「なに?」
-そういえば、咲由にちゃんと言ってなかったな。
愛してる
暗い顔だった顔がとてもきれいな可愛い笑顔になった。
よんでいただきありがとうございます
この一作は一応この終末の原因にかかわった話です
これから短編を挟みながらこの話を続けていくつもりです
どうか!つぎもご覧になっていただければうれしいです
次回もよろしく!!