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怪盗クロウ

はじまりました、怪盗もの。

よろしくお願いします!!

 その日、とある美術館は大変な騒ぎになっていた。

理由は、この世界では知らないものなどいない大怪盗、『クロウ』からの予告状が届いたからだった。

美術館の前にはいつもの2倍3倍もの人が集まっており、その人たちの狙いはもちろん、クロウだった。

ご丁寧に予告状まで出して盗む時間まで提示してきていると言うのに、警察の目を欺き、監視魔法すら難なく潜り抜ける凄腕の大怪盗クロウに、世界中が湧いていた。


 魔法が存在する『レクヴァル』と呼ばれるこの世界で、現在人気急上昇中の彼、クロウは、実のところ誰にもその正体は知られていない。


 声、顔、年齢、そのどれもが謎に包まれているクロウについて、たった一つわかっていることは、いつも黒い衣装を身にまとっていることと、白い仮面をつけていること、そしてある一つの目撃証言、翼を生やして空を飛んでいたということ。その外見の特徴から『クロウ』と呼ばれている。


 そんな彼は、今、いつものように黒い衣装で身を包み、美術館の上空から人々が集まって自分の呼び名を呼んでいる様を眺めていた。


 時計を確認して、予告の時間まで残り3分というところで、彼は一気に地上に向かって急降下した。

美術館の屋根にやわらかく着地すると、クロウはそのまま屋根をすり抜け、美術館の中に潜入した。


 そしてすばやく目的の絵画がある部屋の前まで移動すると、そっと中を覗き込む。絵画は武装した警察によって厳重に守られており、そう簡単に盗らせてくれそうもない。が、クロウは普通に中に入った。警官達の顔が一気に険しくなる。


「来たぞっ!!」


「クロウだ!!」


クロウは仮面の下でにやりと笑うと、その場で指をパチンとならした。


「なっ…!?」


瞬間、警官達の足場が凍る。


「くそっ!!魔法だ!魔法で防ぐんだ!!」


 警官達がいっせいに詠唱を始める。しかしクロウは少しも慌てた風を見せず、そのままテクテクと絵画まで歩いていき、絵画に触れた。途端、絵画はポンッという音を出して手のひらサイズにまで小さくなった。それを装束の中に入れる。


 警官達が皆驚きの表情をしている。クロウは仮面の中で、いい表情だと笑った。しかし、警官達は驚きながらも詠唱を続けていた。そしてついに、


「『ライトウィッジ』!!」


彼らの声が重なり、クロウの足元に魔方陣が浮かび上がる。それを見てヒュウ~と口笛を吹いた。


「どうだクロウ!!お前の盗みもここまでだっ!!!」


ところがクロウがその場で右手を天高くあげたかと思うと、クロウの足元にあった魔法陣がクロウのその右手の上にまで上がっていった。そしてそのまま、クロウは右手を警官達に向かって振り下ろした。


 魔方陣はそれに従うように警官達の足元に飛んで行き、結果的に彼らに発動した。


「な、なな、何をした!?」


戸惑い、もがくも、5人の魔法師が詠唱して召喚した上級魔方陣。そうやすやすと解けるはずもなかった。


 クロウは彼らに向かって手を振り、一枚の紙を彼らの足元に落としていった。書いてあったのは、



    残念でした!

    俺を捕まえるんなら、もうちょっと魔法の腕を上げるんだね。

    それじゃ、今回の品はいただいていくよ♪

    まったね~!



という内容だった。


「…あんの…くそ怪盗!!!」


美術館内に、警官達のむなしい叫び声が響いた。




 + + + + +




 今回も簡単に望みの品を手にすることができたクロウは、堂々との(・)から歩いて出てきた。

集まっていた民衆がクロウの姿を確認すると、一斉に割れんばかりの歓声を上げた。


「キャーーーーーーーーーー!!!」


「クロウ様ーーーーーーー!!!」


「待ってたぜクロウ!!!」


「いかすぅうううう!!」


老若男女関係なく、クロウを一目見ようと身を乗り出すものやぴょんぴょん跳ねるものまで、様々だった。そんな彼らに、クロウは片手をあげて応える。


 外で見張っていた警官達は、「いつの間に…」と驚きを隠せないでいる。クロウは美術館から堂々と出ると、そのまま高く飛び上がり、夜の闇へと消え去った…。



クロウの正体は次回、明らかになるかも…?

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