暴力を超える暴力
三人が歩いていると、風にのって楽しい歌が聞こえてきた!
こんな楽しい歌を聴いたら、無防備に近づかずにはいられない!
涎たれ放題!
たまらねえぇえ!
「何だ?この歌は、楽しいなぁ」
勇者は剣を振り回して踊りだした!
人の迷惑を気にしない!
いちいち気にしていられない!
誰かを傷つけても、楽しく踊りたい!
そんな気分!
テラとコンセは斬られた!
剣を振り回す人の側にいれば当然そうなる!
斬られる方にも落ち度はある!
むしろ斬った方が損をしてるよ!
斬られた人は謝ってほしい!
「どこかでお祭りでもやってるのかしら?」
お祭りならば、この楽しい歌も納得がいく!
どんな名探偵も疑問に思わない!
「やることないから、この楽しい歌がするほう行ってみようぜ」
やることがなく、暇な勇者達!
楽しい歌を聴いたので、ドラゴンのことは忘れた!
忘れるってことはたいして重要ではない!
ほいほい歌の聞こえる方によっていく!
警戒心なぞない!
「待て、レイス!モンスターの罠かもしれないぞ!この楽しい歌で誘っておいて、待ち伏せて俺たちを倒すつもりかもしれないぞ」
罠かもしれない!
何時だって危険は待っている!
注意しないとすぐに何者かにやられてしまう!
勇者がやられると、世界は希望をうしなう!
みんな泣いちゃう!
おしっこも漏れちゃう!
恥ずかしいよ!
「あはは、あははあははあははー」
勇者は歌が楽しくて、テラの話なんて聞いてなかった!
そもそも常にテラの話は聞いていない!
何を喋っているかわからないから!
もう、歌しか聴いていない!
楽しい歌は人間の中枢神経を麻痺させる!
勇者の中枢神経も例外ではないのか!?
「ダメだ。歌が楽しくて、レイスは話が通じない」
勇者には話が通じないのだ!
「しょうがない。コンセ、ここは歌の聞こえる方に行ってみよう」
三人は歌の聞こえる方に向かって二十分、歩いて行った!
意外と距離があった!
休み、休みだけどね!
歌が聞こえた先には、おじさんがいた!
歌の正体はおじさん!
おじさんの正体は歌!
「お前か!この楽しい歌を歌っていたのは!」
テラが怒鳴った!
すぐに怒鳴るのはバカの証!
みんなの周りにも、こんな人がいたらバカといってやれ!
怒鳴っても何も解決しないんだからね!
問題を解決するには殴れ!
暴力だ!
暴力こそが解決方法!
「そうだよ。てか、あとちょっとで先生来るよ!!」
先生がくる!
まさかの先生登場!
「あ!!うん」
三人が少し待っていると、先生がきた!
何かの先生!
「超爆獄裂シュートンバックス!!!!」
勇者は剣を先生に向けて投げつけた!!!
これは勇者の奥の手なのだぁぁぁぁぁ!!!
この技までださせる先生の実力は計り知れない!
先生は爆発した!
ざまあみろ!
「レイス、どういうことだ?」
「テラ・・・気がつかなかったのか?こいつらは楽しい歌で人の心を操って、なんかしようとしていたんだ」
恐ろしい悪巧みを実行する前に、破壊した!
勇者はワザと罠にはまった振りをしていたのだ!
仲間も見抜けぬ演技力!
ハリウッドスター!
「ええええ!!!まさか・・・」
テラは驚いた!
バカはすぐ驚く!
「先生!!!」
楽しい歌をうたっていたおじさんは、ガクガク震えちゃってるの!
震えているのは怖いのではなく、別の病気!
おじさんの体は、不摂生によってポンコツになっている!
若いふりをしてみても、息はきれるし節々は悲鳴をあげる!