穴だらけにしてやるぜ
「レイス見てくれよ」
テラはカラーおにぎりをパンツの中からだした!
大事な物はパンツに隠せ!
パンツはどんな銀行より強固だぜ!
何を忘れてもパンツだけは忘れるな!
パンツさえあれば何とかなる!
パンツしかない!
「おまえ・・・盗んできたの?そのゴミを?」
ゴミを拾う悪い癖!
ゴミ屋敷は小さな積み重ねで完成する!
「何かのやくにたつと思ってね」
絶対にやくにたたない!
本当に必要な物は、必要な時にしかわからない!
人生のどんな局面を考えても、カラーおにぎりの出番はない!
ゴミ!
勇者は、カラーおにぎりを豪快に雪崩式ブレーンバスターでテラにぶつけてみた!
べちゃり!!汚くなった。うひゃぁ!楽しい!!!
人に物をぶつける快感!
それはどこか美しい笑いだった!
「きゃーーーーーはははははははははははははははは」
楽しい時は笑え!
人が不快になるほどに!
正常な精神をぶち壊し、狂気の沙汰へ送り込む!
こんな世界で、まともな精神では生きていけない!
「やめてくれ」
と涙ながらにテラは訴えたが聞き入れなかった!
人の意見は参考にしない!
こちらの思うようにさせていただく!
「どういうつもりだ!レイス!!!なんでおまえ、そんなことするんだよ!非常に深刻な事故を招きかねないぞ!そんなことしたら!!」
理由などない!
ただとにかく、人を不愉快にしたい!
この一心!
心の奥底から湧き出るマグマのような感情に素直になり、身を任せたらこうなった!
理由なんてない、体が欲しているのだ!
DNAが叫ぶのだ!
「お前の喜ぶ顔が最大級に嫌いなんだ!」
テラにはいつも苦しむ顔でいてもらいたい!
心の中を悲しみで満たして、あふれ出させてやりたい!
「ああ、そうなの?」
急にテラは怒って襲いかかってきた!
過酷なトレーニングで肉体を作り上げた勇者が、そんなことで動じることもない!
勇者は毎日鍛えている!
心技体!
すべてを鍛えている!
つけいる隙などありはしないのだ!
「なんでカラーおにぎりをぶつけるんだよ!ばか!アホ!」
テラは怒りの罵詈雑言!
言葉は人を傷つける!
時にそれは拳以上の力を持つ!
「うるせえ!ばか!は、反乱か?今度は反乱か?」
真っ青になってガタガタ震えた勇者は、剣でテラをめったざし!
勇者にたてつく奴は許さない!
許されない!
神々の怒りを買う!
最強の力をもっていながらも、向上心を忘れない勇者の剣はまさに瞬殺マッハ2!
電撃居合い斬り炸裂!
人を超えた力を操る!
そしたら、テラはうつむいて!
「ごめん・・・」
謝った!
素直!
「こっちこそ・・・カラーおにぎりぶつけてごめん」
人を許す大きな心!
本当に強い人間は人を許すことができる!
「いいんだよ。この汚いの、結構気にいってるし。それより、また剣の腕をあげたんじゃないか?」
カラーおにぎりをぶつけられ汚れたが、その汚れかげんが気に入った!
剣による攻撃で全身穴だらけになりながら、勇者の剣の腕を褒めた!
人間は体の90パーセントが穴だらけになったら元気がなくなる!
テラは80パーセント強なので元気!
「え・・・そう?でも、テラ。直撃は一発もないんだろ?」
実は直撃はなかった!
直撃はないが穴だらけ!
直撃しなくても威力が十分あるのが勇者の攻撃!
「あ・・・バレてた?」
テラは穴だらけ!
「ははははははははははははは」
テラの体の穴にガムを押し込んだ!
綺麗な花が咲くといいな!
「ぎゃーははははははははははははははははははははははははは」
テラも勇者も笑った!
もうカラーおにぎりのことなんてどうでもよくなっていた!
人の心は傷つきやすい、どこまでも繊細にして弱いものかもしれない!
でも、だから強くなることができる!
信じあう心はたとえ離れようとも引き合う!
たとえ何も見えない暗闇だとしても、心だけは光輝き道を照らし出すのだ!