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高い城の男  作者: 白乾兒
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6話 親父の帰還

夏休みに入った。


俺は受験勉強に集中するため、予備校の夏期集中講座を取った。


特にセンター試験対策だ。


理系志望とはいえ、

社会は一科目きちんと取り直しておく必要がある。


歴史はやめた。


覚えることが多すぎる上、

俺にはもう一つ問題がある。


並行世界の知識だ。


あちらの歴史と混ざると、

かえってややこしくなる。


だから俺は


倫理・政治経済

そして 地理B。


この二つを選んだ。


理系志望の人間がよく取る科目だ。


もっとも――


どちらも俺が知っている世界とは

かなり違う。


例えばイスラエル。


向こうの世界では、


イスラエルは

ウクライナ南部、


オデッサ


にある。


ソ連もまた、

北方領土を得ていない。


理由は簡単だ。


ドイツ敗戦後、

日本はユダヤ人と手を組んだからだ。


彼らの金融ネットワーク。


その協力のもとで

日本はアメリカとの講和に成功した。


こちらの世界では習わないかもしれないが、


神戸にはかつて

ユダヤ人租界が存在した。


まあ――


それだけが理由ではない。


日本がドイツから引き継いだ


核兵器

そして化学兵器


これもまた

随分とものを言った。


向こうの世界では、


アメリカは


広島と東京中心部。

その二か所に新型爆弾を投下した。



だがそれは

こちらの世界で言われている


「原子爆弾」


ではない。


巨大ナパームに

マスタードガスを混ぜた


化学兵器だった。


実際――


こちらの世界で


広島と長崎に落とされたとされる

原爆も、


俺には

同じものに見える。


熱量計算をすれば

すぐ分かる。


もし本当に

核兵器が使われていたなら


さそり以外の生き物は

生き残っていない。




だから――



関東軍の731部隊


が、ドイツから引き継いだ

化学兵器を対ソ連戦に使っても


アメリカは

文句を言えなかった。


言える立場じゃないからだ。


こちらの世界では、


アメリカの嘘に

世界中が騙されている。


まあ――


日本の政治家たちも

薄々は知っているだろう。


だが


利権というものがある。


だから

その嘘に


同調している。


……笑える話だ。


並行世界の日本共和国は、

再生医療とバイオ技術で世界一だ。

金持ちはもちろん、共産圏の指導者ですら治療に来る。


そのため、日本共和国では

スパイは即死刑という法律まである。



そして、俺の母方の血にも、このユダヤ人の血が流れている。

そのせいか、身長は185センチあり、

顔にも西洋風の面影がある。

自分で言うのも何だが、正面から見ると、細面の中々の醤油顔イケメン(死語)だが、横顔は彫刻の様に整ったEラインを描く。


また体重も94キロあるが、極めてバランスの良い骨格に

“かなり特殊な身体構造”のためにせいぜい80キロ程度にしか見えない。

また軍学校では世界で一番着痩せする男と言われていた。

まあ、首の太さまでは隠せないが。


そんな俺をある日、親父を名乗る男が訪ねて来た。


——そして俺はその顔を知っていた。


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