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テラデウス。
六つの大陸とその周辺一帯を皆そう呼んでいる。いわば大陸の総称。
中心に位置するのは様々な種族の者が富を得るために集まるヴァリアス大陸。四つの国がそれぞれの土地を統治する、主にヒューマ族(人間)の暮らす大陸である。
東に位置するはドワフ領プエル大陸。
鍛治職を主とするドワフ族(小人)の暮らす大陸である。しかしその技術の高さから、漏洩や独占、悪用を防ぐため鎖国状態にある。うかつに足を踏み入れた者は問答無用にドワフの刀で首を落とされると言われている。
西に位置するはビスト領ビスティア大陸。
狩猟一族であるビスト族(獣人)は、忠義に厚い性格で戦闘力に優れている。その屈強な体躯と義理堅さを活かし王族などの護衛や傭兵になる者も少なくない。
南に位置するはエルフ領アルバス大陸。
魔力を内に宿すエルフ族は農業を生業としている。彼らの作る作物はテラデウス全土に行き渡り、ヒューマ族や他の種族の食の基盤となっている。誇り高く穏やかな彼らだが、不死や長命になると言われている彼らの血肉を狙う輩が後を絶たず、そのため命を落とすこともしばしばあるという。
北に位置するはマーム領シレーニ大陸。
マーム族(魚人)の暮らす大陸は、しかし大陸と言えるほど広大な土地が広がっているわけではない。彼らは海上に家屋を作り漁をしながら生計を立てている。
この四つの大陸はヴァリアス大陸を中心に菱形を描くようにして、それぞれが東西南北に位置している。互いの国や大陸を行き来し、ドワフ族を除いては比較的友好な関係を築いていると言えるだろう。
しかし、テラデウスに存在する大陸は五つだけではない。ヴァリアス大陸から北東の方角に千里離れた場所には魔族領デモニウムが存在し、その周辺一帯、及び未踏の地を外界と総称している。
かつてヒューマ族と、忌み族とも言われた魔族との間で十年もの間壮絶な戦争が繰り広げられた。追い込まれたヒューマ族は禁忌に手を出してしまう。
永久の魔女をこの世に顕現させた。ヒューマ族に手を貸す条件はただ一つ。テラデウスを自由に生きる権利を与えること。その条件を飲んだヒューマ族は魔女の力を使い、魔族を大陸ごと外界に無理矢理移動させ結界を張った。これにより魔族は自らの土地から外に出ることができなくなり、魔族に脅かされることがなくなったテラデウスは平和を取り戻すことになる。