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ストーリーが分からない逆ハー乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、無事溺愛モードに突入しました  作者: 水錵 咲


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19、エミューの花


「しかし最深部は一体、何階なんだ?」

 ロジェが誰にともなく訊ねる。


 今日も私たちは順調に探索を続けていた。

 かなり最深部まで来ていることはわかっているものの、魔石の気配は一向に見えてこない。


「それはわかりません。ダンジョンによって変わりますからね、特にS級ともなれば」

 エリーがハキハキと答える。


 そうなんだ…


「ああ、わかったら苦労しないな。だからこそ俺もそなたもS級ダンジョンの探索をしているのだろう?」

「はあ……めんどくせえな」



 何か良い含められているのを感じた私がその会話を見て不思議そうな顔をしていたのが分かったのか、ミカエル様が説明してくれた。


 ミカエル様は魔石を見つけることができれば、本来は2年間過ごさなければならない学園生活を免除となり、すぐに執務だけの生活に戻っていいという国王との約束を取り付けたのだそう。

 

 シリルはそんなミカエル様を手伝うことで、褒美として王室から最強と呼ばれる魔法剣をもらえることになっているらしい。

 責務に忠実な彼はより王国の役に立つために剣を手に入れたいのだろう。


ロジェの場合は、もうすぐ魔塔を束ねる立場となり、ただでさえその能力の高さから多忙な身であるため、ミカエル様と同じように魔石を見つければ学園生活免除をしてもらえるということで、仕方なく参加したのだという。



 その話を聞いて、これほどにもまとまりのない人たちが集まった理由がよくわかった。

 それほどに魔石の価値は高いものだと改めて知る。

 

 そうだよね、私だって呪いを解くためには絶対に必要だもの。


「せめてエミューの花が見つかればゴールの兆しが見えてくるんだけどな」

 そう言って、ロジェがため息をつく。


「エミューの花って?」

「S級ダンジョンの最深部に程近い場所に咲く花だ」

「ああ、なんでも青く光るという珍しい花らしい」


 私の質問にロジェとシリルが答える。

 それってもしかして……神官さんが言ってた花のこと?!


「私、それ欲しい!」

 一気にやる気が出た私は思わず叫んだ。

 そういえば忘れてたけど、もうすぐ3回目の満月がやってきしまう。

 エミューの花を煎じて飲んで、痣が定着してしまうことを防がなくては……!



「え? エミューの花が欲しいってことは……ルーチェは想い人でもいるのですか?」

 エリーが驚いたような表情で私にそう言った。


「え?」

「エミューの花を煎じて想い人と一緒に飲むと、愛が深まるという言い伝えがあるんですよ」

「そうなんだ」

「ルーチェの想い人って誰なんですか?!」

「ち、違うよ、いないよそんな人!」


 焦ったように言った私を、ミカエル様は考え深げな様子で見ている。


「ルーチェはそういった相手がいるのか?」

「!」

 真面目な顔で質問してくるシリルに思わず息を呑む。


「おい、どいつだよ」

 ロジェまで深刻な様子で私を問い詰めてきた。


 ちょっと、みんなどうしちゃったの……?

 あっ、もしかして――


「ひょっとして、エミューの花ってひとつしかないの?」

「ええ、各ダンジョンにひとつだけです」


 やっぱり!だからシリルとロジェはこんなに焦ってるのね!ミカエル様もやけに考え深げな表情で見てくるし。


 そうだよね、3人ともエリーと一緒に飲みたいよね。

 うーん、やっぱり早いところエリーの逆ハールートを成立させないと。

 そうしたら3人とも喜んでエミューの花を譲ってくれるだろうし。


「やっぱり皆さんもエミューの花欲しいですよね」

 私が愛想笑いを浮かべながら言うと、ミカエル様もロジェもシリルもハッとしたような表情をしてから咳払いをする。


「俺は興味は無いな」

「い、いや、僕も必要ない」

「俺だって、そんなの使わなくたって――」


 あれ?そうなの?

 でも、無理してそう言ってるだけなのかもしれないし……。


 ここはやっぱり、私が逆ハールートを後押ししないとね!

 ここのところ色々あって肝心の逆ハールート達成への行動を忘れてたから、ちゃんと応援しないと!


 そう決意を固めた私は鉱石の採取もそこそこに、エリーの逆ハールートを完成させるべくみんなの様子を伺っていた。


 と言っても、もう別にやることはなさそうだよね。

 私はエリーと3人のやりとりの様子を見て満足げに頷く。


 最初から能力の高いエリーは3人と協力し合っていたし、誰にも分け隔てなく接してくれるミカエル様やすでに信頼関係が出来ていたシリルはもちろんのこと、ロジェともそつなく交流している。


 障害になりそうなソニアにいたっては、3人ともほとんど相手にしていないようなものだから、心配はないだろう。


 エリーの横で彼らに笑顔で愛想を振り撒きながら歩いているソニアを見て思い返す。


 私は3人に物凄く嫌われてたけど、ソニアの場合は最初から空気みたいな扱いなのよね。

 ソニアが近寄ろうとしてもみんなさりげなく上手に交わしているところがやはり社交界に慣れた貴族を感じさせられて、思わず苦笑してしまう。



 まあ、そんな感じだからきっとゲームのシナリオ通りに進んでいるということだよね。

 あと必要なのは、私が邪魔をしないように大人しくしてることくらいなのかな……。


 考え込みながら一番後ろを歩いていると、落ちていた石につまずいてしまい身体がよろけた。


「わわっ……」


 バランスを崩した拍子に、採取袋の重みに耐えきれず横の方へ数メートル引きずられる。


 うわ!これ以上よろけたら湖に落ちちゃう!


 必死で体勢を整えようとしていたところに、気づいたシリルが瞬時に走り寄って湖の淵で私を支えてくれた。


「……!」

 た、助かった。


 シリルのがっしりとした身体に抱きつき冷や汗を拭った。


「大丈夫か?」

 そう言いながらシリルがこちらを心配そうに見下ろしている。


 ん?あれ?この体勢は――――


 そう思った瞬間、ソニアがこちらを必死な形相で睨み据えているのが目に入った。


 うわっ!なんか勘違いされてる気がする!

 っていうか、なんで私はシリルに抱きついてるのよ!


 ちゃんと大人しく邪魔しないようにしようと思ったばかりなのに。はあ〜。

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