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ストーリーが分からない逆ハー乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど、無事溺愛モードに突入しました  作者: 水錵 咲


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17、学園の噂話

 今日もシリルと一緒に学園に来ると、生徒たちからの視線をやけに感じた。


 あれからというもの、シリルとこうして一緒に学園に来ることが日課となっている。

 生徒たちも今ではその様子にもすっかり慣れていたというのに、この注目の集め方は一体何なのだろう。


 シリルとA1教室へ向かいながらそんな疑問が頭を掠めると、廊下の端にいた数人の女子生徒たちの話し声が聞こえてきた。


「あなたもお聞きになりまして? ノバック公爵令嬢の話」

「ええ。ひどいですわね」

「最近やけに大人しいからおかしいと思いましたのよ」

「わざと呪いにかかるなんて」


 え……?

 聞こえてきた内容の衝撃に思わず足を止めると、シリルも表情を変えて女子生徒たちを見据えた。

 

「殿下を籠絡しようと企んでいると聞きましたわ」

「ソニア様にエリー様を呼び出して責め立てるよう指示したんだとか」

「ええ、そこに魔獣をわざと呼び寄せて」

「まあ、なんと恐ろしいこと」


 女子生徒たちは私たちの姿に気づき、あっと声を上げる。

 シリルの存在に気づいた彼女たちは、すぐに散り散りに去って言った。


 そんな……なんでまたそんな根も葉もない噂が出回っているのだろう。そんな嘘、一体誰が……。

 軽く眩暈がしつつ、シリルの方へ顔を上げると、彼は息を呑んで私を見ていた。


 あ……やっぱりシリルは信じてしまうよね。

 もともとルーチェを嫌っていたもの。悪女の私の言うことなんて、きっと信じられないはず。


 私はその場から離れたくて、早足でA1教室へ向かった。


「ルーチェ……っ」

 呼び止めるシリルを振り返らずに走り、辿り着いたA1教室の扉を開けて入ると、すでに教室にいたロジェとミカエル様、そしてエリーが一斉にこちらを見た。


 後から追いかけてきたシリルは何も言わない。


 みんなの表情を見る限り、もうすでに学園中に噂は出回っているのだろう。

 私が何も言えずにいると、ロジェが荒々しく私の傍までやってきて、私の腕を掴み見下ろした。


「お前……やっぱり俺たちを利用しようとしたのか……」

「違います!」

 顔を上げてきっぱり告げると、ロジェの怒りと悲しみに満ちた瞳が目に入った。


 そんな表情を見ると、弱気になる。

 ああ、やっぱり悪役令嬢ルーチェの言うことなんて誰も信じてくれないよね。


 涙が溢れてきそうになってしまった私は、耐えきれずその場から駆け出して外へ飛び出した。




◇◇◇




 A1教室から走り去るルーチェを、廊下の片隅で見ていたソニアは勝ち誇った顔でニヤリと笑う。


 一方、ルーチェの去ったA1教室内はしーんと静まり返っていた。


 ミカエルの声が沈黙を破る。

「ふむ、やはりルーチェは俺を籠絡したいのか」


「っぷ、ふふ。殿下ったら嬉しそうですね」

 エリーがカラカラと明るい声で言う。


「何が可笑しいんだ!」

 ロジェは2人の和やかな様子に苛立ちを隠せず叫んだ。


「そなたは何をそんなに怒ってる?」

 ミカエルが子供をあやすような態度でロジェに問いかける。


「あいつはあんな嘘までついて俺たちを利用しようと――」

 ロジェは吐き出すように言って俯く。


「ルーチェは恋がしたいと言っていたしな」

「「?!」」

 納得したように話すミカエルに、シリルとロジェは咎めるように疑問符をぶつける。


「そんなに俺に嫉妬しなくても――魔術師殿」

「は?! 誰がお前に嫉妬なんか!」

 ロジェはからかうような口調で言ったミカエルを睨み据える。


「まあ、この話が事実だとしても、俺たちを利用するくらいのこと可愛いものだ」

 ミカエルは涼しい顔で言う。


 その様子を見ていたエリーは少し考えてから口を開いた。

「うーん、でもルーチェは発作があってすごく苦しい思いをしてます」


 シリルがエリーの言葉に反応する。

「発作?」


「はい、ロジェ様が魔力を注いだあの時のような症状がわりと頻繁にあるみたいなんです」

「そうかあの夜のアレは発作だったのか……」

 シリルは納得したように頷く。

 

「それが全て仕組まれていたなんてあり得ないと思いますよ。だって――」


 そこまで言って、エリーは辺りを見回しソニアがいないことを確認して続ける。


「あの日、ソニア様に私を責め立てようって言われたルーチェはハッキリと断って険悪な雰囲気でしたし。その……ルーチェは魔法が得意でないので、あの珍しい魔獣を呼び寄せるのは難しいかと」


「確かにルーチェは魔法が使えない。我がノバック公爵家でそれは紛れも無い事実だ。そんなことできるわけがないな」

 シリルが言いながら深く同意した。


「舞踏会のときだって、私を庇ってくれたルーチェを見てますよね? みなさんがあの場にいたこと、ルーチェは全く気づいていなかったですよ。魔法が使えないから気配に気づけるはずもないですからね」


「なるほどな」

 ミカエルは納得したように上品に頷く。


「発作はすごく苦しいみたいなんです。私のせいなのに、気にしないよう心を配ってくれてとても素敵な人です!」


「「「……!」」」

 ミカエル、ロジェ、シリルは、エリーの言葉にハッとする。



「でも――そんなの信用できるかよ……」

 ロジェは項垂れながら呟く。


「そうか、それならそなたはそう思っていればいい」

「そうだな……」

 ミカエルとシリルはそれぞれ、気持ちを固めたように言った。

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