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死にたがりの英雄 〜俺の間違いだらけの人生〜  作者: 武天 しあん


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07.ギルドにて


女が部屋を出てすぐ、別の者が訪ねてきた。


コンコン

「入るぞ。」

「あぁ。」


「なんだ?マルコの容態はどうだ?」

「マルコは問題ない。傷口はしっかり水で洗って薬草を塗ってくれていたから止血されて傷口も塞がっている。

それに、ポーションを使ったようであと1時間も休めば帰れるし、一晩寝れば明日から普通の生活ができる。

血がまだ足りないから、 念のため2日くらいはクエストを休んだ方がいいと思うが。」


「そうか。それを報告に来たのか?」

「いや、あの使ったポーション、上級だろ。それを確認しに来た。」


「は?上級ポーション?」


「確かに状態を見る限り上級ポーションが適していると思う。私も手元にあれば使っただろうし、初級では助からなかった。中級なら全治1ヶ月というところか。」

「リオ、お前マルコの知り合いだったのか?」


「いや、知らん。今日初めて会ったし、会話という会話もしていない。」

「それで上級ポーションを使ったのか?」


「使った。」

「上級ポーション・・・

そんな貴重なものを。俺たちやっぱりちゃんと稼いでポーション代を返します。」


「いや、俺が勝手に使っただけだ。返さなくていい。

さっきも言ったが、俺は旅の途中だからこの街に長期滞在するつもりはないんだ。」

「それならギルドが立て替えてもいいぞ。希望の翼はギルドに借金をすることになるが。」


「それはやめておこう。俺は別に金に困っているわけではないし、元々返してもらおうと思って使ったわけではない。彼らに負担を強いることはしたくない。

仲間を守ったマルコへの褒賞でいいじゃないか。」



まだ初心者の彼らがポーション代を稼ぐ頃には、俺はもうこの世にいないかもしれないしな。

それに死後の世界に金など持っていけないのだから、俺に金は必要ない。


「まぁ、リオがそう言っているんだ、お前らありがたく受け取っておけ。」

「分かった。リオさんありがとうございます。」



最近、人に感謝されることが多いな。

俺は人に感謝されるような人間ではない。

何の罪もない幼気な少女を死に追いやった悪魔のような人間なんだ。


どうか感謝など向けずに軽蔑してくれ。

俺は苦しんで、苦しんで、苦しみぬいて死ななければならないんだ。


そんな目を向けないでくれ。

やはりこの街にも長居はしない方がいいな。



「リオ、また明日ギルドに来てくれるか?」

「なぜだ?」


「オークを倒したんだろ?報酬を支払わなければならない。

今、回収に行かせているから、急ぐならここで2時間ほど待ってもらえるならそれでもいいが。」

「じゃあ待たせてもらおう。」


「じゃあギルド併設の酒場で待つか?」

「あぁ、それでいい。それと、地図を見せてもらいたい。」


「地図?地図ならギルドのクエスト掲示板の横に貼ってあるから自由に見てくれ。酒場代は俺が持とう。彼らを助けてくれたお礼だ。ここは拒否するなよ。」

「分かった。」


「俺たちもマルコを待つからリオさんと一緒に酒場に行く。」

「分かった。」


俺は希望の翼と呼ばれていたこの者たちと一緒に酒場に向かった。


冒険者ギルドには救護室もあるし酒場まであるんだな。

何でもありだな。



「リオさんもエールでいいですか?」

「あぁ。」


エールか・・・

軍に入ったばかりの頃、先輩からよく飲まされたな。

俺の胸の勲章が増えていくと、無理に飲まされることは無くなったが。


木のジョッキに入ったエールが懐かしい。



「リオさん、本当にありがとうございました。」

「いや、俺は別に大したことはしていない。」


「そんなことないわ。だって本当に私たち死ぬところだったし。

今こうして酒場でエールを飲めるのも全部リオさんのおかげ。」

「そうそう。すぐに旅立っちゃうの、残念だな。」

「・・・。」


俺のような人間に気なんか使わなくていいのに。

何だか居心地が悪くて俺は席を立った。



「俺は地図を見てくる。」


クエスト掲示板というのはあれか。

上にランクが書いてあって、その下に紙が貼ってある掲示板があった。


そのAランクと書かれた掲示板の横に地図は貼ってあった。



そろそろ国境だと思ったが、まだだったようだ。しかし、あと3日ほど走れば国境に着けそうだ。

国境でも冒険者のギルドカードを見せれば通れるんだろうか。

まぁ無理なら森に入って森から抜ければいいか。


国境を抜けてからはまだしばらく南へ行って、帝国には近づかないように迂回したい。5日ほど南へ走って、その辺りでまたギルドに寄って地図を確認するか。

そこでそのまま西に進むか、もう少し南に進むか考えればいい。



急いでいないと言いつつ、俺は彼女の側に行けることを楽しみにしている自分に気付いて、そんな自分に心底嫌悪した。

俺は何かを楽しみながら生きていい人間じゃない。

俺は、彼女の未来を奪った人間なんだ。そんな人間が何を馬鹿なことを。



いっそ腹でも切ってやろうかと思った。

ふぅ・・・

そんな簡単に死んではダメだ。もっと苦しまなければ。


苦しい。生きていることが。誰か、早く俺を痛めつけて殺してくれ。


閲覧ありがとうございます。

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