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死にたがりの英雄 〜俺の間違いだらけの人生〜  作者: 武天 しあん


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03.リオという名の冒険者の誕生


仕方がないので冒険者ギルドというところに行ってみることにした。


冒険者ギルドとは何をするところなのか分からなかったが、中に入ると軍にいそうな体格のいい奴らが何人かいた。

とりあえず受付に行ってみる。


「リーベルタ王国の方角を知りたいんだが、地図を見せてもらえるだろうか。」

「ギルドの登録はありますか?ギルドカードの提示をお願いします。」


やはり冒険者ギルドというところでも、登録がない者には情報提供できないということか。



「登録はない。登録しないと教えてもらえないのか?」

「そうですね。登録がない方への情報提供はできないんです。」


「申し訳ないが冒険者ギルドというところが何をするところなのか分からないんだが、俺でも登録できるだろうか。」

「えぇ、登録は12歳以上であればどなたでも可能ですよ。

ただし、低ランクの場合は一定の期間依頼を受けないと、登録が抹消されます。

冒険者ギルドは依頼を受けてその依頼に見合った報酬をお支払いする場所です。

依頼は主に魔獣や野盗の討伐、護衛や街の手伝いなどですね。」


「そうか。では登録したい。」

「文字は書けますか?代筆が必要なら仰ってください。」


そう言いながら受付の女は紙をカウンターに置いた。

魔獣や野盗の討伐、護衛なら軍でやっていたからできるだろうし、街の手伝いというのは何か分からないが、できなければ討伐をすればいいだろう。


名前・・・ディシデーリオ、いやリオでいいか。

年齢・・・25

武器・・・今はショートソードしかない。剣でいいか。

魔術・・・魔術か。あまり使わないが風でいいか。


「書いた。」

「ではこちらのカードに血を一滴垂らしてください。」


「分かった。」

「これで登録完了です。見た感じ戦闘の経験がありそうですが、ランクアップ試験を受けてみますか?実績がないのでGから最大でDまでしか上げられませんが。」


「それは何をすればいいんだ?」

「試験官と戦ってもらいます。試験官がランクアップを判断しますので、希望のランクまで上げられるとは限りませんが。」


「分かった。やってみよう。」

「それでは試験官を呼んできますね。少しお待ちください。もし戦闘に自信がなければ、剣技などの講習を受けることもできますよ。」


「そうか。」


剣技の講習か。要らないと思うが、軍ではないところで戦ったことがないから分からないな。



しばらく待つと、試験官と思われる革鎧に身を包んだ男がやってきた。


「リオという者はいるか?」

「俺です。」


「さっそく練習場へ行くぞ。」

「はい。」


「防具は無いのか?」

「ない。俺には必要ない。」


防具は身を守るために着けるものだ。

死にたい俺には、そんなものは必要ない。

軍では義務付けられていたが、軍を出た俺には義務などない。


それに、そんなものを着けて、せっかくの殺される機会を無駄にはしたくない。



その男に付いていくと、小さな演習場のような場所があった。

周りには、剣技の講習を受けていたと思われる、まだ子供のような若い連中が数人と、見学者のような者たちがいた。



「武器は剣だったな。試験だから真剣は使わない。木剣で行うが長さはどうする?」

「どれでもいい。」


「じゃあショートソードを持っているようだから60センチのものにするか。」

「それでいい。」


木剣を渡され、その男も同じ長さの木剣を持った。


「もう始めるがいいか?」

「いつでもいい。」



俺はその男と対峙すると、戦闘モードに入った。


「ちょ、ちょっと待て。」

「なんだ?」


戦う前に男は待ったをかけた。

待ったをかけられた俺は、仕方なく戦闘モードを解除した。


どういうつもりだ?これも試験なのか?



「お前、リオと言ったな。今日登録したところだと。」

「あぁ、そうだ。」


「本気を出さなくていい。軽く手合わせする程度で来てくれ。」

「分かった。」


何がしたいのかよく分からんが、これが試験なのか。

本気でなくていい理由は分からないが、何か理由があるのだろう。



俺は再び男と対峙すると、戦闘モードには入らずに木剣を構えた。


「いいぞ。」


男の声に俺は一瞬で距離を詰めたが、男はなぜか動かない。

訳が分からないまま、俺は男の首にそっと木剣を当てた。



「・・・もう一度やるか?」


木剣を当てても動かない試験官に、俺は声をかけた。



「いや、どうやら俺ではリオの相手はできないらしい。ギルマスに頼もう。ちょっと待っていてくれ。」


「分かった。」


ギルマス?それは誰だ?人の名前か?




静まり返った練習場でしばらく待つと、さっきの男が、頬に傷がある大男を連れて戻ってきた。


「お前がリオか。セーリオが相手をできなかったという。

俺はここのギルマスのトゥアロだ。」

「ギルマスとはなんだ?」


「あぁ、ギルドのマスター、略してギルマスだ。」

「なるほど。リオだ。」


「さっそく相手をしてやろう。セーリオが相手できない者など楽しみだな。」

「また本気ではなく軽く手合わせをする程度でいいのか?」


「あぁ、まぁそれでいい。」

「分かった。」



俺が木剣を構えると、トゥアロは1メートルほどの木剣を構えた。


「いつでもいいぞ。」



軽く手合わせか。

さっきのは何だったんだ?相手できなかったと言われても、よく意味が分からない。

俺はどう動くべきか。


そんなことを考えていると、トゥアロが距離を詰めて剣を振り被った。

隙だらけだな。

このガラ空きになった胴回りに剣を当てていいものか・・・


迷いながら、とりあえず剣を交えた方がいいのではないかと思い、振り下ろされたトゥアロの剣を振り払うように交わした。


すると、トゥアロはこともあろうか剣を手放した。

勢いよく飛ばされた剣が見学者に向かう。


しかも彼らは避ける気配がない。危ないな。

俺は彼らに剣が届く前に、飛ばされた剣を風で地面に叩き落とした。


バキィィィィ



久々だったから、ちょっと風を強く当てすぎたようだ。

木剣は地面に叩きつけられると、粉々に砕け散った。


「・・・。」

「すまない。木剣を壊してしまった。」


飛ばされた剣を唖然と眺めていたトゥアロに向けて謝罪をするが、返答はない。



「壊してしまった木剣は俺が弁償しよう。いくらだ?」


「あ、いや、弁償はしなくていい。ちなみにリオ、魔術を使ったか?」

「使った。剣が飛ばされた先に人がいたし、そいつらが避ける気配がなかったからな。」


「そうか。風か?確か魔術の欄に風と書いていたな。」

「あぁ。しかし、軽く叩き落とすつもりだったが、風を強く当てすぎたようだ。

試験はやり直しか?」


「いや、実力は分かった。この実力だと・・・どうするかな。

D程度にしておくことはリオのためにもギルドのためにもならない。」

「・・・。」


あれで実力が分かったのか?

ただ剣を弾き飛ばしただけなのに。

さすがギルドのマスターという何か偉そうな地位にいるだけのことはあるか。



「リオ、人を殺したことは?」

「・・・。」


このトゥアロ、俺の何を知っている?まさか俺が彼女を殺めてしまったことを知っているのか?それとも、俺から人殺しの雰囲気か何かが出ていたのか?

俺は何も答えられなかった。


「いや、すまん聞き方が悪かった。野盗を相手したことはあるか?」

「ある。」


そういう意味か。


「そうか。それならとりあえず俺の権限でBまで上げよう。いや、しかしな、魔獣を倒すところは一度見ておきたい。

この後、用事がなければ森へ一緒に行って魔獣を倒してくれるか?」

「あぁ、構わない。」



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