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死にたがりの英雄 〜俺の間違いだらけの人生〜  作者: 武天 しあん


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18.新たな伝説の始まり



「明日からはまた、解放されちまった奴らを回収に行くのかと思うと面倒だな。」

「人質は全部ここにいるんだ。あいつらも大人しく従うだろ。」

「そうだな。楽な仕事か。」


なるほど、人質は全員ここにいるのか。

いい情報を話してくれた。


「早くこっちに全員連れてこようぜ。街に長居するのは危ねぇ。」

「そうだな。街の拠点は2拠点とも潰れたし、ここに直送させるか。その方が確実だろ。」

「それがいい。」


なるほど。今はここだけということか。

それならここを潰して、矢の奴を回収すれば俺の役目も終わるな。

そうと決まればすぐに動くか。



俺はすぐに建物に忍び込み、人質らしき者が捕えられている場所に向かい、牢の前にいた見張りを声を出す間も無く無力化した。


「静かに。組織を全て無力化したら迎えにくるから待っていてくれ。」


牢の人たちにそう告げると、俺は先ほど悪党どもが話していた部屋とは別の人が集まる部屋に向かった。

その部屋にもドアの外に見張りが2人いる。ここが捕らえられて働かされている者がいる場所だろう。



見張りはまた声を上げる前に音を立てないよう無力化すると、ドアを開けた。

そこには15名の人がおり、俺に向かってくる者は誰もいなかった。


「みな、人質を取られて働かされていた者か?」

「は、はい。全員そうです。」


「他の部屋にもいるか?」

「いえ、今日の仕事が終わって、皆この部屋に集められているので他にはいません。」


「分かった。組織の奴らを全て無力化したら迎えにくるからここで静かに待っていてくれ。」

「はい。あなたは?」


「俺はデリオーだ。」

俺は部屋を出て、人数が少ない部屋から制圧していった。



あとは最初に外から話を聞いた奴らの部屋だな。

踏み込むと、奴らは酒を飲んで半分は寝入っていた。

すぐに奴らを全員無力化すると、まず牢に向かい、人質はたちを働かされていた者の部屋に連れて行った。


「処理をしてくるからこの部屋で少し待て。」


そう告げて、無力化した組織の連中を担いでどんどん牢に放り込んでいった。


全て放り込むと、牢の入り口を閉じ、鍵をかけて、その上で鍵穴を潰しておいた。

これで例え誰かが鍵を持っていても出られないだろう。



馬車はあったが、捕らわれていた全員を乗せることはできないか。


部屋に戻ると、朝を待って移動してもらうことと、組織の人間は全て牢に入れたことを告げた。


「俺は街の衛兵に報告をして、馬車などの手配をしてくる。

連中から奪った武器をここに置いておくから、朝までこの部屋は鍵をかけて、何かあれば武器を取れ。なるべく早く戻る。」


そう告げると建物を出て、街へ向かって走った。



夜なので門は閉じられていたが、門の横の詰所には灯りが漏れていたので、そっちに向かった。


「夜分にすまない。

犯罪組織についての報告があるんだが、話してもいいか?」

「あんたもしかしてデリオーか?」


「そうだ。」

「昼間のことは聞いている。俺はここの隊長だ。話を聞こう。」


俺は犯罪組織が廃村に拠点を構えていたこと、制圧して組織のものは牢に、捕らわれていた者たちは解放して一つの部屋に待機してもらっていることを話した。



「分かった。矢の奴はすぐに捕縛しよう。

デリオー殿はこれからどうするんだ?」

「俺は拠点に戻る。彼らは戦える者たちではない。魔獣の心配もあるし、奴らの仲間が他にいないとも限らないからな。」


「そうか。こちらではとりあえず組織の連中を連行するための檻や、捕らえられていた者たちを乗せる馬車を用意して、夜明けに出発する。」

「分かった。じゃあ俺は戻る。」


俺はすぐに詰所を後にすると、廃村へ向かった。

どうやら敵は来ておらず、魔獣に襲われてもいないようだ。



彼らは飯を食ったんだろうか?

拠点を探ると食料庫を見つけた。

食料を持てるだけ持つと、みんなの部屋に向かった。


「デリオーだ。食料を持ってきた。ドアを開けてもらえるか?」


そう言うと、鍵を開ける音が聞こえドアが開いた。


「俺がいない間、何もなかったか?」

「はい。」


「食料庫から食料を持ってきた。

腹が減っていれば食べてくれ。足りなければ言ってくれれば適当な魔獣でも狩ってこよう。」

「ありがとうございます。」


「衛兵には報告した。

あなた方を乗せる馬車や、犯罪者を収容する檻を用意して夜明けに街を出発するそうだ。不安だろうが朝までは耐えてくれ。」

「いえ、あなたがいれば不安はありません。」



そんなはずはないだろう。

俺も犯罪者と大差ない。俺が同じ部屋にいては彼らも安心できないだろう。


「俺は建物の外で見張りをする。何が来ても俺が対処するからあなた方はゆっくり休んでいてくれ。」


そう告げると俺は部屋を出て、そして建物も出た。



俺は空に輝く星に向かって、彼女への懺悔と祈りを捧げた。

これで俺の役目は終わった。あの親子への脅威も去った。朝になって衛兵が到着したら俺は消えよう。

せっかく平和を取り戻した街に、俺のような悪人が長居してはいけない。


地図は次の街で図書館に寄ればいい。



今回は誰も斬っていないし血の匂いもないからか、魔獣は来なかった。

空が白み始め、朝日が見えた頃、衛兵が馬車と共に到着した。


俺は夜に話をした隊長のところに行き、牢と捕らわれていた人たちの部屋を案内した。

そして、衛兵が忙しなく動き出すと、そっと森に向かい、西を目指して走り出した。




「あれ?デリオー殿は?」

「いませんね。」


「彼は旅をしていると言っていたからな。お礼などをしたかったが、旅立ってしまわれたか。」

「そのようだ。もっと話を聞きたかったが残念だな。」


「報酬も受け取らずに。

あの人はきっと神が遣わせた救世主だったんじゃないか?」

「そうかもしれん。」


閲覧ありがとうございます。

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