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死にたがりの英雄 〜俺の間違いだらけの人生〜  作者: 武天 しあん


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15.デリオーの誕生


北へ2日ほど進むと、国境だろう森を超えて隣国に入った。

リオという名がどうやら一人歩きしているらしい。

しばらくはギルドに寄らず、ギルドカードも使わず、名乗らなければならない時にはデリオーと名乗ろう。


リオはショートソードを使っているということで、街に入るとショートソードを手放してダガーにしようと思ったが、森を歩く時に枝や草を払うのにダガーでは不便だと思い、ショートソードより少し短いマチェットを購入した。


また再び森に入ると、更に西へ西へと進んだ。

10日ほど進み、金を払って街に入ると、門番に地図が確認できる場所がないか聞いてみた。



「地図?旅でもしているのか?」

「そうなんだ。だから今どの辺りなのか確認したくてな。」


「商人ギルドか、冒険者ギルドか、金を払ってもいいなら図書館だな。」

「そうか。助かった。ありがとう。」


図書館か。それは盲点だった。

本は貴重だから入館する際に金がかかるが、図書館ならカードなどを出さなくてもいい。

俺は図書館に向かった。



「助けて」


すると路地から子供の助けを呼ぶ声が聞こえた。

彼女のことが頭に浮かんですぐに路地に入って子供を探す。

すると、奴隷商が雇った者だろうか、嫌がる女の子を連れ去ろうとするのが見えた。


俺は一瞬で距離を詰めると、女の子を奪い取り、男たちを無力化した。

やはり子供の前で流血沙汰などは避けたいからな。



「大丈夫か?何もされてないか?」

「うん。」


「お母さんかお父さんは?」

「分かんない。」


「じゃあ衛兵のところに一緒に行って、お母さんとお父さんを探してもらおうか。」

「うん。」


「この悪い人たちがまた悪いことをしないように縛るから少し待てる?」

「うん。」


できるだけ優しく声をかけた。

連れ去られそうになったのに、俺のような男に声をかけられたら恐ろしいだろう。


男を縛ると、女の子の手を引いて衛兵の詰所に向かった。



「この子が奴隷商が雇ったらしき者に連れ去られそうになっていた。両親を探してあげてほしい。

それと、連れ去ろうとしていた男2人は捕縛して置いてきたから回収してくれると助かる。」

「分かった。この子はここで預かろう。犯人の元へはすぐに人を向かわせる。案内してくれ。あんた名前は?」


「俺はデリオーだ。」

「身分を証明できるものは?」


「無い。俺は旅をしていてさっき街に来たばかりだ。街に入る時も金を払って入った。」

「そうか。分かった。では案内してくれ。」


俺は先ほどの路地に衛兵を案内した。



「こいつら。」

「ん?なんだ?」


「いや、探していたんだ。こいつらのことを。」

「そうか。見つかってよかったな。」


「感謝する。こいつらは奴隷商に雇われた者ではない。犯罪組織の一員だ。

なぜあの子を攫おうとしたのか吐かせる必要があるな。

そうでないとあの子はまた狙われることになる。」

「は?なぜだ。あの子はまだ子供だぞ?」


俺は嫌な予感がして、その場に犯人と衛兵を置き去りして詰所に戻った。



・・・遅かったか。


詰所を何者かが襲った跡があり、女の子は消えていた。

倒れた衛兵たちは幸い打撲程度で、気絶しているものはいたが、死んだものはいなかった。相手は素手で攻撃を加えたんだな。

武器を持っていないからと衛兵たちも油断をしたんだろう。


「女の子は?どんな奴に連れ去られた?」

「すまない・・・。守れなかった。グレーのローブを着てフードを目深に被った細身の、子供か女みたいに見えた。」


「分かった。どっちに向かった?」



俺は衛兵が指差す先に向かって走った。

あの幼い女の子が彼女と重なった。


そして、どうしても助けなければならないと思った。



それほど遠くに行ってはいないだろう。

あれか?

一見、眠ってしまった女の子をおんぶしているように見える、細身で小柄なグレーのローブの者を見つけた。

撒かれないよう索敵を起動させて奴をマークする。


自然な様子で街に溶け込み、とある建物に入っていった。

その中には奴と女の子の他に人影が7人ほどあった。


縄が足りないな。索敵でマークしたまま俺は縄を買いに行き、その店で紙とペンを借りてあの建物の場所を記し、簡単な文章で状況を書くと、この紙を衛兵の詰所に届けてもらうよう金を握らせて頼んだ。



建物の外に見張りらしき者は見当たらない。中の者に気付かれないよう静かに足を踏み入れ、中の様子を伺う。

何かを相談しているようだ。


そしてあの子が狙われた原因が分かった。

それは、あの子を人質として薬を研究している両親を誘き出し、組織に取り込み働かせる算段だったようだ。


やはりあの子にはなんの罪もなかった。

俺はすぐに踏み込むと、女の子をまず確保して、風の刃とマチェットを使って一気に制圧した。

薬で眠らさせている様子の女の子を抱えながら、ロープで1人ずつ縛っていく。


死んだ者はいないが、この流血の惨状はこの子に見せたくない。どうか起きないで。

そう願いながら捕縛が終わると、衛兵が到着した。



「デリオー殿、これは?」

「全部敵です。捕縛しておきました。

この子が狙われた理由だが、どうやらこの子自身ではなく両親が目当てだったようだ。」


「両親?」

「この子の両親は薬の研究をしていて、この子を人質に取ることで、両親を組織で働かせようとしていたようだ。

また狙われるかもしれん。それにこの子の両親の安否も気になるところだ。」


「なるほど。今、詰所は安全が確保できない。おそらくデリオー殿の側が1番安全だと思う。なるべく早く両親を見つけるから、その間この子を預かってくれないか?」

「それなら、俺もこの子を連れて両親を探そう。」


「いいのか?」

「乗り掛かった船だ。それに探すなら人手は1人でも多い方がいいだろう。」



閲覧ありがとうございます。

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