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第473話 たあいもない閑話。


 俺たちのこれからの冒険は2日目に入り、これまでほぼまっすぐ続いていた陸地が左手に大きくカーブを描いて大きな半島をなしていた。ロイヤルアルバトロス号はその半島を左手に見ながら回り込み、今まで進んでいた方向から丸1日かけて最終的には左に90度ほど転舵した方向に進んでいる。ドローンはロイヤルアルバトロス号の前方1000キロに対して左右ともに500キロの弧を描いて飛んでいる。左手に見える陸地ではなく右手に島や陸地を見つけたら、警報が鳴るようにしているのだが、一度も警報は鳴っていない。



 ロイヤルアルバトロス号で海の上を移動しているだけなので、ここのところ一心同体の活動は休止状態だ。



「海は広いな大きいな」


 メタルゴーレムドラゴンがときおり視界を横切る。


 俺はロイヤルアルバトロス号のテラスにビーチチェアを出し寝っ転がっている。


 俺の隣りでは、今日はマーケットはお休みというアキナちゃんが俺と同じようにビーチチェアの上で寝っ転がっている。


 2つのビーチチェアの間に小さな台を置いて、台の上に氷を入れた大き目のグラスに俺用にはコーラ、アキナちゃん用にはコーラフロートを置いている。


「ひまだなー」


「たまにこうしてゆっくりしておるのもいいものじゃ」


「そういえばアキナちゃんはこのところアキナ神殿に顔を出していないようだがいいのか?」


「神殿のことは爺に任せておけば大丈夫じゃ」


「ふーん」



 俺は空を見上がながら、ドローンのことを考えていた。


 今俺のアイテムボックスの中に入っているドローン1号機だが、時速100キロ近い飛行状態のままなので、修理や改修のためには、静止させなければならない。静止させるためには着陸させればいいのだが、ドローン1号機には着陸用の車輪などは取り付けていないので胴体着陸になってしまう。ドローンそのものはコピーしているので、停止状態のドローンを簡単に作ることは可能だ。使い捨てに近い運用方法なので、貧乏性の俺からすると何とかしたいが、着陸装置は飛行中はタダのデッドウェイトだし、飛行場があるわけでもない。あっ! そういえばマハリトでもらった土地は小型機の離着陸用の飛行場としては使えたな。とはいえ、土地の利用法とすればかなりもったいない。


 そうだ! 空中にダンジョンにつながるゆらぎを作って、ダンジョン側に飛行場を作ってしまうのも手だな。ゆらぎはロイヤルアルバトロス号の上空10メートルくらいでかなり大きくしておけばドローンが侵入できるだろう。ダンジョン内だと直接電波は届かないが、ある程度ドローンの頭脳で自律的に対処できるんじゃないか?


 着陸装置はむき出しの車輪でも超高性能ゴーレムコマエンジン搭載型なら十分な速度が出るだろう。


 ダンジョン側の飛行場はいくらでも大きく広くできるから、ドローンを数揃えてもいい。そうなるとロイヤルアルバトロス号は航空母艦だな。夢が広がるなー。


「ゼンちゃん、何がしたいのか分からぬが、メタルゴーレムドラゴンで十分ではないか?」


 確かに。


「そういえばアキナちゃんはスポーツジムは使っていないようだが、少しはトレーニングしたらどうだ?」


「わらわにはこの体つきを維持するという崇高な使命があるのじゃ。

 妙にトレーニングして、ゴツゴツの体型になっては爺に怒られてしまうのじゃ」


 確かに。


 アキナ神殿のアイドルでもあるアキナちゃんがムキムキになってしまえばイメージダウンだものな。信者の俺からしても今の体型を維持してもらった方がいいのは確かだ。


 アキナちゃんとそんな話をしていたら、珍しくはるかさんと後藤さんがテラスにやってきた。珍しくというか、初めてではないだろうか?


「ここがロイヤルアルバトロス号のテラスデッキですね。初めてきたけど本当に豪華ヨットですね」と、はるかさん。


「好きな時にきて自由に使ってもらっていいから、遠慮しないでくださいね」


「はい」


「岩永さん、船の上をドラゴンによく似た鳥が飛んでるんですが大きな鳥ですね。それに銀色。ダンジョンの中っていろいろな生き物がいるんですね」


 後藤さんが空を見上げながら俺に聞いてきた。後藤さんはまだ見たことがなかったのか?


「あれがいつか話していたメタルゴーレムドラゴンです。小さいけどドラゴン型のゴーレムなんです。

 今までこの大空洞ではモンスターに出くわしたことはないんですが念のためこの船の空の護衛用に飛ばしているんですよ。見えませんが海の中にはメタルゴーレムオルカといってシャチの形をしたゴーレムが泳いでいて、海の中で護衛してるんです。

 メタルゴーレムオルカはここだとアレだけど、メタルゴーレムドラゴンを近くで見てみますか?」


「は、はい」


「飛んでいるのを呼ぶのは面倒なのでアイテムボックスの中から1匹」


 そう言って、メタルゴーレムドラゴンを1匹テラスの上に出してやった。そんなに大きなものではないのだが、それなりに大きいことも確かだ。全長6メートルのうちしっぽの長さが3メートル近くあるので頭と同体で3メートルしかない。両足で立ち上がると頭の高さは4メートルほどになる。


 テラスの後ろの方でおとなしくしているメタルゴーレムドラゴンに後藤さんが近づいていく。後藤さんは後ろ手ではるかさんの手を握っている。


 メタルゴーレムドラゴンの近くに立って見上げて、後藤さんが一言「大きい」


 その後、後藤さんは恐る恐る手を伸ばしてメタルゴーレムドラゴンのうろこを撫でて「硬い」


 そして「こうやって見ると可愛いかも?」


「ねえ、真由美。感想は声に出さない方がいいと思うわよ」と小声ではるかさんが後藤さんの耳元でささやいたが、俺の耳にははっきり聞こえてしまった。アキナちゃんにも当然聞こえていたはずだ。


「えっ? どうして?」


「どうしても」


「ヒャッヒャッヒャ。面白いのじゃ。ゼンちゃんもそう思うじゃろ?」


「な、何のことかな?」


 その後顔を赤らめた後藤さんとはるかさんが、「ジムに行ってきます」と言って船の中に入っていった。


 俺はテラスでじっとしている大きくて硬いドラゴンをアイテムボックスの中にしまっておいた。俺まで恥ずかしくなってしまった。



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