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第470話 3角測量2。発電所工事1


 宮殿にコミック図書館もできた。もちろんあそこに並べたコミックはコピーしているので俺も好きな場所で好きな時に読める。アキナちゃんのロイヤルアルバトロス号の図書館の蔵書とだいぶダブっていると思うが、そこは仕方がない。


 宮殿から戻った俺はロイヤルアルバトロス号のブリッジに上がって海を眺めたり、テラスに出てビーチチェアに寝転がって戴冠式の式次第を眺めたりして過ごした。式次第を見ているうちに式に出るのが何だか面倒な気もしてきたが、さすがにゼンジロウ1号を使うわけにもいかないだろうと思いガマンすることにした。当日になって気が変わる可能性がないではない。



 その日、夕食を食べながら、エレギルに養女のことを切り出した。


「エレギル、聞いているかもしれないがエヴァたちは日本に帰化して俺の養子になっているんだ。エレギルも俺の子にならないか? 俺の子どもになって何がどう変わるわけじゃないけどな」


「わたしが岩永さんの子どもになっていいんですか?」


「俺はその気なんだが、エレギルの気持ちを聞かずに勝手に手続き出来ないからな」


「お願いします」


「いいんだな?」


「はい」


「わかった。じゃあちょっと早いが、今からエレギルは俺の子だ。

 エヴァたちは姉妹になるな」


「はい」


「エレギルちゃん良かったね」「思った通り」「お父さん優しいから」「さすがはお父さんとエレギル」「じゃろ?」


「うん。みんなありがとう」


「「エレギルちゃん、おめでとう」」


「みんなありがとうございます」


「そういうことだから、これからエレギルは俺のことをお父さんと呼べばいいからな」


「はい。

 えーと、お父さん」


「うん」


 これから日本とのかかわりが多くなってくるから日本の国籍があった方がいろいろ簡単だし。明日防衛省にいったら、手続きしてもらうよう頼もう。


 エレギルの話の後、俺の戴冠式のことを話しておいた。その日は王女殿下エヴァたちの他、俺の屋敷にいる全員に式に出席してもらいたいと式次第の注意書きに書いてあったので詳しい日取りを教えておいたのだが、みんな知っていた。解せぬ。




 午後8時。三角測量のため、風呂上がりの華ちゃんに、ピョンちゃんをブリッジに連れてきてもらってコアの方向を確かめてもらった。


「真横を向いているように見えるな」


「そうですね。ピョンちゃんのくちばしの方向ですから、精度はあまり期待できないでしょうが、それでも今日の朝と変わってはいないような」


「ということは、思った以上にコアの位置が遠いってことだよな」


「朝方から660キロ移動して、ほとんど角度に変化がないということはそういうことでしょう」


「明日の朝、防衛省の会議に出る前にもう一度確かめよう。1300キロも移動してほとんど角度が変わらないということはないだろう」


「そうならいいんですが、もし角度が変わってないように見えたらこの大空洞って地球の面積より広いかもしれませんね」


「可能性は高そうだよな」




 翌日。


 朝食を食べて、華ちゃんとピョンちゃんとでロイヤルアルバトロス号のブリッジに移動した。


 ちょうど8時にピョンちゃんを舵輪の上に乗っけてコアの方向に向かせたところ、


「昨日の夜と全然変わってないよな」


「そうですよね」


「少なくともコアまでの距離が1万キロ以上あるってことだよな」


「でしょう」


「まっ、1万でも2万でもそのうちたどり着けるわけだし」


「岩永さんらしいです」


「ハハハハ。

 ここまで広いとこの海にも名まえをつけたくなるな。太平洋とかそんな感じで」


「そうですね」


「太平洋って名まえはピッタリだけど、先に使われてしまったから、そうだなー、大太洋だいたいようってどうかな」


大太洋だいたいよう。いいと思います」


「じゃあ、大太洋だいたいようにしよう」


 珍しく華ちゃんから1発OKを貰ってしまった。OとKの順番が逆だと大変なことになるとそのとき気付いた。



 俺はとりあえずピョンちゃんのくちばしの方向にロイヤルアルバトロス号の船首を向けて陸地に30キロ近づいたら陸地との距離を保って左手に陸地を見ながら進むようロイヤルアルバトロス号に指示しておいた。


 そのあと俺と華ちゃんはピョンちゃんを連れて屋敷に戻り、防衛省での会議に出席するため余所行よそいきに着替えた。




 今日は会議のあと11時から直径3メートルのメタルゴーレムコマを原動機とした12.5万kWの発電機の据え付け工事現場に業者を連れていくことになっている。工事は3日かかるそうなので、その間俺が作業員たちの送り迎えする。器材と作業員たちを乗せた業者のトラックは防衛省の駐車場にやってくることになっている。



 会議では、川村局長から、ゲートまでの道路が一応完成したとの報告を受けた。あとは切り崩したり盛ったりした道路わきの法面のりめんに対して補強工事をしていくだけだそうだ。だけ(・・)と言っても法面のりめんの補強工事の方が道路工事よりも時間がかかるという話だった。


 俺の方はハリト王国の話をしても仕方ないし、むこうのダンジョンの大空洞が実は超大空洞だったという話をしても仕方ないので、それ系統の話はしなかった。そのかわり、エレギルの話を切り出した。


「また少女を一人日本に帰化させて、わたしの養女にしたいんですが」


「前回は難民認定から岩永さんの養女という流れでしたが、既にわが国はオストラン王国を国として認めていますので、岩永さんが自分の娘であるとおっしゃれば、そのままその娘さんは岩永さんの娘さんになります」と、前回手続きをしてくれた野辺次長。


「そうだったんですね」


「今回もその辺りの手続きはこちらでしておきますから、お時間のある時娘さんをお連れください」


「それでしたら明日にでも。

 10時ごろこの部屋に連れてきます」


「了解しました。お待ちしています」


 あー。よかった。エレギルも名実ともに俺の娘で日本人だ。これでスッキリだ。持つべきものは親方日の丸との太いパイプだよな。


「お願いします。

 それじゃあ、ポーションとフィギュアを卸してきます」


 俺は駐車場に跳んで、特設テントの中にポーションと、フィギュアを卸したところ、今回発電設備を依頼している業者のクレーンの付いた大型トラックとトレーラーが1台ずつ駐車場に停まっていた。約束は11時の予定だったが1時間ほど早く到着したようだ。


 俺は会議室に一度戻って、これで失礼します。と、言って華ちゃんを連れて再度駐車場に跳んだ。




 どちらの車両にも運転手の他、2人乗っていた。意外と少ない人数だ。


 俺は、前回の打ち合わせの時に見たおっさんが大型トラックに乗っていたのでドアの窓を軽くたたき、


「岩永です」


「どうも、XXX電機製造です」


「会議は終わったんで、いつでも現場にお送りできます。ちょっと早めですがもう現場に送ってよろしいですか?」


「はい。お願いします」


「じゃあ、順番に送りますから、驚かないでください」


 大型トラック、トレーラーの順に発電所の中に転送し、その後で華ちゃんを連れて転移した。


 俺と華ちゃんが転移したのは屋敷の玄関ホールで、俺は華ちゃんを屋敷に残して、そこで待っていたアスカ2号を連れて工事現場に跳んだ。


 俺たちが現れた時、トラックとトレーラーに乗っていた連中は車の中から、発電所用のだだっ広い部屋の中を眺めまわしていた。


 車から責任者のおじさんが最初に降りてきたので、


「工事現場はここです。床は正確に水平だと思います。

 床に図面どおりボルトを撃ち込んでいます。

 あとはこの岩永アニカに聞いてください。

 迎えは何時にくればいいですか?」


「今日のうちに切りのいいところまで進めておきたいので、午後8時ごろお願いします」


「了解です。メタルゴーレムコマの方はいつお渡ししましょうか?」


「今日中にコマを設置できるところまで組み立てますから、明日の朝1番でお願いします」


「明日は午前8時で、防衛省の駐車場でいいですか?」


「はい。それでお願いします」


「それではよろしくお願いします。

 アニカ、後はよろしくな」


「はい」


 居ても何の役にも立たない俺は、アスカ2号あらため岩永アニカに後を託して屋敷に戻った。



 その日の午後8時、業者を迎えに工事現場に跳んだら、発電機の発電部分の据え付けが終わり、メタルゴーレムコマを入れる動力部の下半分の据え付けが終わっていた。


 作業が終わって一息ついていた責任者のおじさんと作業員が全員2台の車に乗り込んだところで防衛省の駐車場に転送し、その後俺もアスカ2号を連れて駐車場に転移して、作業員たちに今日の礼を言ってから屋敷に帰った。




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