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第415話 果物島探検4、港町から島の中心へ。


 破船の中にお宝があるかも? と思いながら、破船の朽ちた板をアイテムボックスに収納しながら解体していったら、お宝は見つからず破船も完全に解体してしまい、跡形もなくなったでゴザル。


 こういうこともある。すでに有り余るほどの現金を持つ資産家の俺だ。お宝が見つからなかったことくらいでどうってことはない。


 ……。


 ……。


 ……。


 チクショーーー!


 心の中で叫んでも、全くすっきりしなかった。


「スカはスカとして、港町を探検してみよう」


 港町といっても今は屋根が落ちるというより消えてしまい壁の崩れた廃墟の連なりなのだが、なにか面白いものが見つかるかもしれない。


 華ちゃんのデデクトシリーズで危険のないことを確かめながら俺たちは探検を開始した。


 かつては岸壁があったと思われる海沿いは、石組が崩れてしまいかえって歩きづらくなっている。


 海沿いを歩くのは諦め、町中の崩れた石畳の上を歩いていき、目ぼしい建物跡はないかと探していたのだが、そういった物は見当たらなかった。


 そうやって歩いていたところ、廃墟の街角を抜けた先に広場があった。広場の真ん中にはまたあのゆらぎがあった。


「まただ。

 どうせ行き先のないゆらぎなんだろうが、確かめるだけ確かめてみるか」


 前回同様メタル大蜘蛛を放ってみたら、メタル大蜘蛛はゆらぎの中に消えて10秒ほどで戻ってきた。


「どこかに繋がっていた」


「どこにつながっているのか? それが問題なのじゃ」


 確かに問題だが、ゆらぎの先に行ってみればある程度のことは分かるだろう。メタル大蜘蛛も無事に帰ってきたところを見ると、ゆらぎの先が危険だということはないはずだ。


 俺は如意棒を取り出して、


「俺が最初に入って様子を見てくる」


「気を付けてください」


「了解」


「ゼンちゃんなら大丈夫じゃ」「お父さん、気を付けて」


「いってくる」




 ゆらぎを抜けた先は、さっきまでいた広場と同じような広場だった。振り返れば俺の出て来たところには黒い板ではなくゆらぎで、そのゆらぎの他に5つのゆらぎが横一列に並んでいた。



 広場はさっきの港町とおなじく廃墟のような家屋で囲まれていた。


 時間をとるとみんなが心配するので俺はすぐにゆらぎに取って返した。


「ゆらぎの先は、ここと同じような廃墟の町だった。それで、ゆらぎを出て振り返ったら黒い板じゃなくてゆらぎだった。それでそのゆらぎと合わせて6つのゆらぎが横一列に並んでいた」


「町自体の様子はどうでした?」


「ここと同じ廃墟そのもので、危険はなさそうだった」


「とにかく、みんなでいってみましょう」




 俺から順にゆらぎを通り、次に揺らぎから出てきた華ちゃんがデテクトなんちゃらで異常のないことを確認した。


「ゆらぎが並んでいるということは、ここをハブにしていろんなところに跳んでいってたんだろうな」


「きっとそうなんでしょう。

 向こうの方に丘が見えます。あれって、この前登った丘じゃ?」


「確かに。ということは、島の中の移動に揺らぎを使っていたってことだな」


「きっとそうですね。

 おそらく、他のゆらぎの先も廃墟だろうし。鬼ごっこをすれば面白いかもしれんが、今となってはそれ以外に使い道がないんじゃないですか?」


「確かに。しかし、コアの助けがないと、こういった形に都合よくゆらぎは並ばないよな?」


「そうですね。コアの自由意思で作られたものを後から利用したとは思えませんし」


「ということは、ここに住んでいた連中は、コアを利用することができたってことだ。

 言い方を変えれば、ダンジョンマスターの力を持っていた」


「さすがはゼンちゃん。それで?」


「いや、それ以上は全く分からない。

 しかし、ダンジョンマスターの力が使えたのなら、この島からいなくなる必要もないし、もっと広い土地だって手に入ったと思うんだがな」


「ダンジョンマスターといっても岩永さんのようなダンジョンマスターもいれば、ほとんどコアの利用法を思いつかないダンジョンマスターもいるんじゃないでしょうか。

 この廃墟の町は、千年以上前の町に見えるし、文化が進んでいないとその時代の発想から抜け出せず利用法も限られるかもしれません」


「なるほど。

 それと、そのころのダンジョンマスターは当然寿命で亡くなってるんだろうが、Zダンジョンの時みたいに、今このダンジョンにはコアはあってもダンジョンマスターは不在の可能性があるな」


「そうじゃな。

 しかし、これほど古いダンジョンのコアを守るガーディアンは生まれてそんなに時間の経っていないZダンジョンのガーディアンに比べ比較にならぬほど強いのではないのか?」


「あー、十分あり得るな。

 どうする?」


「どうするとは?」


「このダンジョンのコアの探索を続けて、ガーディアンと戦ってまでコアを手に入れるのかってことだ」


「わたしは、止めていた方がいいと思います」


「キリアは?」


「わたしは分かりません」


「アキナちゃんは?」


「ガーディアンといえどもタダのモンスターじゃ。魔神のような神ではない。われに秘策アリ!」


「ほう、いまその秘策について教えてもらえるかな?」


「良いぞ。

 モンスターを斃せばよいのじゃ」


「そのモンスターを斃す方法を知りたかったんだがな」


「わらわが神の怒りを発動するまで。1歳年を取るがそれだけの事」


「前回5歳も歳をとらせてしまって済まなかったと思っているんだ。神の怒りがどれだけすごいか分からないが、アキナちゃんそこまでする必要なんてないぞ」


「ゼンちゃん、ゼンちゃんは優しいの。じゃがわらわはもう決めたのじゃ。このダンジョンのガーディアンを斃すとな。

 とはいえ、それは最後の手段じゃ。うまくすれば普通に戦って勝てるかも知れぬ。ゼンちゃんは今ではメタルゴーレムドラゴンを無数に創ることができるわけじゃしな」


「確かに、今は小型のドラゴンだが、いくらでも大きく強くできるからな。よーしやってみるか。危なくなったら転移で逃げたいが、ボス戦だと大抵転移ができないからそこだけ心配だな」


「わらわが思うに、Zダンジョンのコアにゆらぎを作らせてはどうじゃろう? ダンジョンとダンジョンを繋げることができるならできるのではないか?」


「戦いの場からコアに連絡する手段がないだろう」


「だめじゃったか。まあ、逃げ出せない絶体絶命時には神の怒りを発動するまでじゃ」


「コアルームが見つかってからの話だけれど、アキナちゃんがそれを使わないで済む方法を思いつくまで、コアルームへの突入は見合わせだな」


「いたしかたないのじゃ」




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