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第299話 ダンジョン・コア6、第20階層


 黒鉄のゴーレムを斃し、砂時計を手に入れた俺たちは、20階層に続いているはずの階段を下っていった。


 もちろん今回も、華ちゃんは手抜きなどせずデテクトアノマリーで異常のないことを確認しながらである。


「もう30段は下りてきているけど、まだまだ先は長そうだ。

 なんだか、いやな感じだな」


「300段の可能性がありますよね」


「ダンジョンの階層間隔は実際のところ階段の上り下りの高低差なんかよりよほど広いわけだから、別にこれ見よがしに300段なんて作らなくていいと思うんだがな。その辺り製作者に真意を問いただしたいよ、全く!」


 俺は意味もなく愚痴をこぼしていたが、キリアとアキナちゃんは黙って階段を下りていく。華ちゃんの頭の上のピョンちゃんもおとなしくしている。


 ちょっと大人げないと自省した俺は口をつぐむことにした。


 途中で華ちゃんが自分を含めてみんなにスタミナの魔法をかけてくれて、おそらく300段を下り切った。




 階段を下りていきながら階段の底がやけに明るいと思っていたのだが、階段を下りた先には楽園など比べ物にならない大空洞が広がっていた。上を見上げても天井は見えない。太陽が輝いているわけではなかったが明るく青空が広がって白い雲も浮かび、そよ風まで吹いていた。階段を下りた俺たちの目の前にはところどころに灌木が生えた見渡す限りの草原が続いていた。草原のかなり遠方に丘のようなものがわずかにかすんで見えた。


 階段を下りた位置の左右には大空洞の壁があるわけだが、見た感じ数キロ先まで曲ることなくまっすぐ延びていてその先はかすんで見えない。この感じだと、大空洞の直径は百キロ超えるかもしれない。壁の高さも、上の方はかすんでしまってどれくらいの高さがあるのか見当もつかない。


 俺の全ダンジョン繋がり同根説からすると、この大洞窟の壁には大洞窟を囲むように32個の階段があることになる。


「凄いところにでましたね」


「ダンジョンの中にこんな場所があったとは驚きなのじゃ」


「楽園はモンスターがいなかったけど、ここだとモンスターが出てきそうです」


「今までは前後だけの警戒だったけれど、これだと左右の警戒も必要になってくるな」


「鳥型のモンスターがいるかも知れませんから頭上も警戒が必要ですね」


「左右についてはメタル大蜘蛛でもいいかもな。

 頭上となると、ピョンちゃんか?」


「ピョンちゃん、進む方向を教えてくれるだけじゃなくって、わたしたちの頭の上も警戒してくれる?」と、華ちゃんがピョンちゃんに頼んだ。


 ピヨン、ピヨン。


 ピョンちゃんは、警戒してくれるそうだ。




「この大空洞の壁に沿って、国内32カ所のダンジョンに通じた階段があるんじゃないかな?」


「そんな気がしますね」


「で、俺の勘だが、21階層への階段はたったひとつで、おそらくこの大空洞の真ん中にあるんじゃないか。

 ピョンちゃんに案内してもらうつもりだから俺の勘などどうでもいいけど。

 それじゃあ、今日はこの辺にして明日にしよう」


「「はい」」




 屋敷に帰って防具を脱いだ俺はそのまま脱衣所にいって裸になり、湯舟にお湯を張って風呂に入った。


 軽く体を流して湯舟に肩まで浸かって、今日の最後の大洞窟のことを考えた。


 とにかく広かった。あの空間が直接地表につながっていたら、大変なことになったろうと思う。直径100キロの円とすれば、一辺100キロの正方形の8割弱の面積、8千平方キロ弱だ。ちょっと広めの県1個分だ。見たところ高い山などなかったから丸ごと平地だ。相当使いでがある。


 俺の予想通り、大空洞の真ん中あたりに階段があるとして、直径100キロなら50キロ歩かないといけないわけだから、明日はゴーレム白馬の出番だな。華ちゃんだけはゴーレム列車の先頭車両だ。俺が先頭を走り、その後ろが華ちゃんの乗るゴーレム列車。ゴーレム列車の左右がキリアとアキナちゃんの乗るゴーレム白馬だ。まさに白鳥の騎兵隊だ。左右の警戒はメタル大蜘蛛を考えていたが、必要ないな。その前にメタル大蜘蛛だと白馬の騎兵隊に追いつけないしな。


 白馬の騎兵隊は何もなければ時速20キロで進めるから、あくまで直径が100キロとしてだが、2時間半で中心部に到着できる。



 あとは、砂時計だな。あれの使い方が確立できれば、まさに鬼に金棒だ。俺でさえ全く反応できない華ちゃんのファイヤーアローだけど、華ちゃんがその気になれば、あれが一瞬で何百発も放たれるわけだからどうしようもないよな。ドラゴンが現れても何とかなりそうだ。


 それと角笛か。


 モンスターを呼び寄せることで何かこちらが有利になることがあればいいけど、今のところ思いつかないなー。



 湯に浸かって特別いい考えが浮かんだわけではないが、一応頭の中の整理はできたと思っておこう。


 体と頭を洗って、再度湯舟に浸かり、お湯を入れ替えて風呂から上がった俺は、子どもたちに風呂に入るように言って居間に向かって歩いていたら、子どもたちがバタバタと2階に着替えを取りに上がっていった。




 その日はそれで終わり、翌日。


 完全武装した俺たち一心同体の4人はピョンちゃんを連れて、大空洞の階段の前に転移した。


「ライト、ディテクトアノーマリー、ディテクトライフ」


 隠された扉とかが見つかるかもしれないので華ちゃんはライトを唱えたのだが、明るい洞窟内なので白茶けてしまってあまり効果はないようだ。デテクトアノマリーでは何も反応はなくディテクトライフでは、アキナちゃん以外の3名が緑に点滅しただけだった。ピョンちゃんは鳳凰フェニックスだけあってアキナちゃん同様点滅していない。


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