表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
295/526

第295話 ダンジョン・コア2、第1ダンジョン第16階層


 いま一番深く潜っている日本の第1ダンジョンを攻略しよう。と、一心同体のメンバーたちと相談した結果、


「面白そうですね」


「頑張ります!」


「われら一心同体に不可能はないのじゃ!」と、アキナちゃん。目は真面目なのだがなぜかニヨニヨ笑っているのでスゴク妙な顔つきなのだ。


 とにかく、みんなからの了承を無事もらえた。




 翌日。


 フル装備で俺たちは一度、親父の屋敷の土間に跳んだ。マンションに跳んでも良かったんだが、土足なのでマンションの玄関に跳ぶことになり、フル装備の4人で立つにはちょっと狭そうだったのでこっちにした。


 玄関の土間から、奥の方にいるはずの親父に一声かけたら、親父がやってきた。


「いつぞやテレビで見た格好してどうした?」


「びっくりさせたかもしれないが、これから東京のダンジョンに潜るんだけど、防衛省に電話してことわっておこうと思ってちょっとここを使わせてもらった」


「はあ」


 えらい格好をした俺たちに驚いていた親父は、分かったようなわからないような生返事を返した。


 親父のことは放っておいて、D関連局にこれから第1ダンジョンの16階層から下に潜ると、専用スマホで野辺次長に連絡を入れた。


『岩永さんですか?』


「はい。岩永です。

 ダンジョンが繋がっているという昨日の会議の話で思いついたんですが」


『はい』


「各ダンジョンの階層が繋がっているなら、ダンジョンの最深部は1カ所だけ。ダンジョンが木の根のように広がっているなら、ある程度深くなるとその広がりはだんだん狭くなって、最深部で一カ所にまとまってしまうんじゃないかって思うんですよ。それこそ数十メートル四方とかそんな感じで」


『はい』


「なので、今日から空いた時間ダンジョンに潜ろうと思うのでお知らせしました」


『それで、どちらのダンジョンに?』


「第1ダンジョンの16階層に下りたところから始めようと思っています」


『了解しました。

 第1ダンジョンを探査しているグリーンリーフの3名は、今日は休みでダンジョンには入っていません。明日は第17階層の探索を再開する予定ですが、第17階層への到着は明日の夕方以降になると思われます』


「了解しました。かち合わないよう、今日中に18階層への階段を見つけるよう頑張ります」


『は、はい』




 これで、よーし。


「それじゃあ親父、俺たちいくから」


「岩永さんのお父さん、それでは失礼します」


「おじいさん、それじゃあ」「じい、さらばじゃ」


 3人が俺の手を取ったところで、第1ダンジョンの第16階層、第15階層からの階段を下りた先の広間に俺たちは跳んでいった。


 最初に華ちゃんが一連の魔法を唱え、扉を含めて異常がないことを確認した。


 この広間には扉が二つ付いていたので、まず左の扉を開けたところ、その先は一本道の通路になっていた。


 右の扉を開けたら、こっちも一本道の通路になっていた。


「どっちも一本道の通路だけどどっちに進もうか?」


「探検スキルレベル3を持つ田原さんのグリーンリーフが17階層への階段を見つけるのに1カ月以上かかっているそうですから、階段はそう簡単に見つからないんじゃないでしょうか」


「16階層の地図を分かっている範囲で貰っておけばよかったな。

 華ちゃん、階段を見つける手っ取り早い魔法って作れないかな?」


「そうですねー。ダンジョンの下層から何か漂い出ていれば何とかなるかもしれませんが」


「うーん。俺には全く感じることはできないんだけど、魔力の流れ?そんなものがないかな?」


「わたしの中に魔力のようなものがあることは意識できますが、体の外の魔力を感じたことはありません」


「それじゃあ、魔力の流れは追えないよな」


「ゼンちゃん。わらわが思うに、ピョンちゃんは魔力を感じられるのではないかのう。

 証拠というわけではないが、ピョンちゃんは華ちゃんのことが大好きじゃろ? あれは華ちゃんのことが単純に好きというだけでなく華ちゃんの魔力に惹かれているからかもしれぬぞ」


「なるほど、人でいえばフェロモンだな」


「フェロモン?」


「まあ、異性を引き付ける体臭のようなものらしいな」


「フェロモン、フェロモン、クンクン」


 アキナちゃんが自分の手の甲を鼻に近づけて臭いを嗅ぎ始めた。


「臭わんのじゃ」


「そういったものは自分じゃ気付かないんだよ。

 試しにピョンちゃんを連れてこようか、最近連れ歩いてないし、ピョンちゃんも運動した方がいいだろうから」



 ということで、俺たちは屋敷の玄関ホールに戻って、ピョンちゃんを連れて再度、第1ダンジョンの第16階層の下り口の部屋に転移した。


「ピョンちゃん、魔力の流れてきている方向を教えてくれる?」


 華ちゃんがピョンちゃんに頼んだら、ピョンちゃんは一度ピヨンと鳴いて華ちゃんの頭の上から飛び上がり、左の通路の方に飛んでいった。


 それらしい動きだったので、俺たちも急いでピョンちゃんの後を追った。


 通路に出たところで、デテクトなんちゃらで異常の有無を確認したが異常はなかった。おそらく、グリーンリーフの面々が罠を解除したあとなのだろう。


 それから数度そういった感じで異常がないまま俺たちは進んでいき、3度ほど石室を横切った先の通路で初めて異常が見つかった。


 床の上の異常は基本的に罠なので、華ちゃんはピョンちゃんを一度呼び戻し、通路上の広範囲にわたって重力魔法グラビテーを発動して一気に罠を発動させた。これが華ちゃんの最近のトレンドのようだ。


 罠が落とし穴なら床に穴が空き、罠がスパイクだと、床からスパイクが飛び出し、ダガーやポイズンニードルなら壁からナイフや毒針が飛び出してくる。だからといって通路が通れなくなるわけではないので、罠が落とし穴なら開いた口の脇をすり抜けて先に進むことができるし。扉の罠も扉ごと吹き飛ばしても良さそうなものだが、これは今まで通り華ちゃんが魔法で解除している。



 そんな感じで罠が無効化されたら、ピョンちゃんはまた先に飛んでいき、俺たちが追いかけていく。途中何度かモンスターの小集団に出会ったが、華ちゃんのグラビテーが効いている関係で身動きできないところを簡単に斃している。


 2時間ほどそうやってピョンちゃんを追いかけていったら、通路の途中でピョンちゃんが飛んでいくのを止めて床の上に下り立った。ピョンちゃんの目の前には扉があった。


 扉に罠は仕掛けられていなかったので、俺が扉に手をかけて、


「開けるぞ」


 ゆっくりその扉を開けると、その先には30メートル四方の石室で正面に下り階段が見えた。


 結局、俺たちはピョンちゃんのおかげで、無駄足を一切踏むことなく下り階段を見つけられた。


「ピョンちゃん、スゴイ」


「ピョンちゃん、でかしたぞ」


 華ちゃんがデテクトなんちゃらで部屋の中を確認したが何も異常はなかった。


 この部屋にたどり着く前の通路にも罠はなかったし、この部屋の中にも異常がなかったところをみると、グリーンリーフの面々が罠なり解除したあとなのだろう。


「下りよう」




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ