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第231話 南のダンジョン攻略?


 ドラゴンの謎?を解いた俺たちは、正面に開いた通路に向かった。


 通路に入る前に、いつもの手順を守って華ちゃんがデテクトなんちゃらをかけたが、何も反応はなかったので、そのまま通路に入った。そのときフッと何かが抜けるような感じがした。振り返ってみんなの顔を見たら、みんな周囲を見回していた。みんなも何か感じたようだ。変わったところはそれだけで、その後は何事もなかった。


 その通路は100メートルほどで行き止まりだったが、行き止まりの壁に俺たちが近づいていったら、壁の真ん中に鍵穴が見えた。


 スケルトンキーでもいけたのだろうが、さっきのカギが入るはずと思って、その鍵穴に突っ込んで回して引き抜いたら、壁がゆっくりと下に沈んでいき、その先にどっかで見たような光景が広がっていた。


「ここって、楽園じゃないか?」


「楽園ですね。ほら、あそこにプールと泉が見えます」


「さっきの大部屋とここまでは相当距離があったはずだけど、マップを見たら確かに楽園だ。

 今歩いてきた通路に入った時、違和感を覚えたんだが、転移させられたことで覚えた違和感だったのかもしれない」


「あのドラゴンが最後の難関で、ここが楽園ということは、やっぱりここが意味合い的に最下層だったということでしょうか?」


「そうなんだろうな。現に鳳凰フェニックスのピョンちゃんまでいるわけだし」


「ということは、わたしたちは俗にいうダンジョンを攻略したってことですよね」


「まあ、そうなんだろうな。

 そう考えると、意外とこのダンジョン、チョロかったな。

 結局のところ、魔方陣の部屋は設計ミスだったんだろう。

 いや、さっきのドラゴンの質問もあんな簡単な問題だったところを見ると、このダンジョンを作った何者かは算数が苦手だったのかもな」


「ですね」


 そこでキリアが、


「わたしたちがダンジョンを攻略したということは、伝説になるということでしょうか?」


「いや、ダンジョンを攻略したくらいじゃさすがに伝説にはならないだろう」


「でも、いままでダンジョンを攻略したのは、伝説の3人組冒険者たちだけだと言われていますから、わたしたちもそのうち伝説になるかもしれません」


「へー、そんな冒険者たちがいたんだ」


「伝説なので本当にいたかどうかはわかりません。3人とも女の人で、ものすごい美人だったそうです」


「美人3人組で最強か。そいつは絵になるな。

 そう言えば、今度イオナに俺たち一心同体が揃ったところを絵にしてもらおうと思っていたんだ。俺たちが伝説になろうがなるまいが、俺たちの武勇伝はその絵の中で永遠に生き続けると思うぞ」


「ほう。ゼンちゃん、わらわもその絵に入れてくれるのじゃろ?」


「あたりまえだろ。アキナちゃんは俺たち一心同体の大事なメンバーなんだからな」


 俺のその言葉で、アキナちゃんは例のニヨニヨ笑いを始めた。



 俺たち4人ではポーズするにも偶数なので締まらないと思ったが、真っ赤になって大きくなったピョンちゃんをレッドの位置に入れて、俺たち4人が左右から二人ずつポーズを取ればカッコいい絵柄になるはずだ。


 ここにきて、ピョンちゃんが鳳凰フェニックスに進化してくれたことはまさにナイスタイミングだ。


 俺たちは、いったん楽園の中央に跳んでピョンちゃんと別れた。


 ピョンちゃんが優雅に羽ばたいていつもの止まり木に止まったところを見届けて、俺たちは屋敷に帰った。



 少し遅くなったが、すぐに俺は風呂の準備をしてそのまま風呂に入り、早々に上がって、子どもたち用に湯舟の湯を替えて、子どもたちに風呂に入るよう伝えておいた。


 風呂から居間に戻ったら、華ちゃんが珍しくコタツの中に入っていた。アキナちゃんはキリアと一緒に風呂に入るため2階に上がったのだろう。今では子ども部屋の中にアキナちゃんのタンスがちゃんと置いてあるし、下着から何でもそろっている。


 華ちゃんは皮をむいたミカンの白いスジをつけたまま、ミカンの房をそのまま口に放り込んで食べていた。華ちゃんが向かいに座った俺に、


「今日は驚きましたね」


「だな。

 ピョンちゃんが鳳凰フェニックスに進化したときはびっくりで済んだが、あのドラゴンが出てきた時には肝を冷やされてしまった。

 ドラゴンが現れたところで、とっさにキリアから順にみんなを転送してやろうとしたけど転送できなかった。あの時にはホントに焦った。

 当然、ドラゴンは太陽に送り込めなかったしな」


「そんなことがあったんですか。知らなかった」


「知らなかった方がよかったと思うぞ。あの時華ちゃんがドラゴンを攻撃してたら、今頃俺たち、この世にいなかったかもしれないが、よく攻撃せずに思いとどまったよな」


「いえ、わたし、思い付くまま全力で攻撃したつもりだったんですが、どの魔術も発動しなかっただけです」


 こっちはこっちで知らなければよかった。


 結果から言えば、ドラゴンは最初から攻撃する気はなかったというか、ゲームで言うところのイベントムービーみたいなものだったわけだ。俺の転移は『あらゆる制限を受けない』はずだったにもかかわらず発動できなかったことが、何となく説明できるようなできないような。


 何事も例外があると思うしかないが、今後、本物のモンスターに出会って転移ができないこともあり得ると思っておくことは必要だろうな。アキナちゃんのご利益りやくだったのか、今回はラッキーだった。


 そうこうしていたら、子どもたちが風呂から上がり、華ちゃんのドライヤー魔法で髪の毛が乾いたところでみんな台所に駆けていった。それから、すぐに夕食が始まった。


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