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第20話 石鹸。女子高生たち2

誤字報告ありがとうございます。


 レストランで腹いっぱいになった子どもたちは風呂に入らずそのまま寝てしまった。


 リサだけ風呂に入るというので、俺が入っていた湯舟の水をいったんアイテムボックスに収納して錬金工房内で不純物を取り除いたうえ過熱して湯舟に入れてやった。体を洗う湯として湯沸かし釜の中にもお湯を入れておいた。


 リサは温かい湯につかるのは何年かぶりだと言って喜んでいた。



 翌日。


 リサにはそれなりの金を持たせ、食材や台所で必要なものを買い出しにいかせた。


 俺の方はおろし用のポーションを作り、子どもたちに配達させた。子どもたちが仕事を終えて戻ってきたところで、俺は日本に跳んで、銀行で10万ほど下ろしておいた。


 そのあとスーパーにいきシャンプー、洗濯用固形石鹸、ボディーソープ、リサ用の歯磨きセットとタオル類を買っておいた。銀行残高も限りがある。日本円をなんとかしないとまずいぞ!


 そういった物を買い揃えたところで、ふと気づいた。石鹸の基本は油とアルカリなんだから少なくとも洗濯用の固形石鹸くらいなら錬金工房でできそうだ。というか、複製ボックス内に複製したいものを入れておけば、素材不足のものは俺の体力は消費するものの簡単に複製できる。素材不足といっても、極微量だろうからすり減るほど気力を消耗するとは思えない。


 油の基本は炭素と水素と酸素。大量に錬成すれば炭素と水素は不足するだろうが早い話が空気だけで錬成可能な代物だ。水素について言えば水もある。


 アルカリというと、ナトリウムが欲しいところ。俺自身の疲れを気にしなければ錬金工房内でナトリウムも錬成できるのだろうが、食塩はそれほど高いものではないので10キロほど買っておいた。


 一仕事終えて屋敷に転移で戻ったら、リサが買い出しから戻ってきていた。買い物はまだ終わっていないので荷物を片付けたらもう一度買い物に出るという。屋敷の掃除をしていた子どもたちにリサの買い物を手伝うよう言ったところ、子どもたちは荷車を持ちだしてリサの買い物についていった。



 俺の方だが、大まかではあるが石鹸の材料を揃えたので、興味本位であるが自分で錬成しようと試してみた。石鹸自体の錬成は簡単だったが、固形石鹸としてそれなりの形と固さになるように数回試行錯誤を重ねる必要があった。その結果、これは、という出来上がりの洗濯石鹸ができ上った。


 一応、満足できたので、今度は市販の石鹸を複製ボックスにいれて、錬金工房で複製してみた。特に疲労を感じなかったところを見ると、そこまで特別な素材(元素)は使われていなかったようだ。


 コピーとオリジナルを並べてみたが、もちろんオリジナルと区別はできない。コピーしたことで、レシピは錬金工房で覚えているので、これからはいつでも石鹸を作ることは可能だ。


 ついでだったので、シャンプーとボディーソープもコピーしておいた。容器はプラスチックだったが、これも気力を消耗したなど感じることなく錬成できた。


 出来上がったシャンプーとボディーソープは風呂場に置いておいた。すでにオリジナルなのかコピーなのかは分からなくなっている。


 そういった作業をしていたら、リサにはヒールポーションを飲ませていないことを思い出したので、あとで飲ませておかないとな。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 こちらは3人の女子高生たち。


 座学は建前上終了しており、神殿の中庭で午前中は武器の実習訓練。午後からは魔術の訓練を行っている。


 この世界に召喚されて以来、三千院華は眼鏡の度が合わなくなり困っていたのだが、眼鏡を外している方がよく見えることに気づき今では眼鏡を外している。しかも視力は日に日に回復しているようだ。三千院華は何気にそのことを嬉しく思っている。



 勇者である山田圭子は剣術スキルのレベルは3、レンジャーの田原一葉は剣術レベル2なので、数回訓練用の木剣を振っただけで、そこらの神殿兵などよりよほど強くなってしまった。従って真面目に練習したのは最初の30分ほどで、武術講師を尻目に二人でおしゃべりを始める始末である。


 賢者の三千院華だけはそういった武術スキルを持っていなかったし、根が真面目なので武術の訓練を真剣にこなしている。


 三千院華には武器としてメイスを与えられた。別に剣でもいいのではと思ったが、本物の剣だと手入れが大変そうだし、メイスなら軽く拭くだけで手入れも簡単そうなのでこれでもいいと思い始めている。彼女にとって、練習用の木のメイスと言っても頑丈に作られているせいか相当重い。普通なら左手で盾を構えて、右手でメイスを振るうのだが、三千院華は両手でメイスを持って素振りしている。それも続けては20回も振れないので先は長い。



 昼食をはさんで午後からは魔術訓練だ。魔術には特に呪文のようなものはなく、神殿の神官が目の前で披露する魔術を見よう見まねで真似るだけだった。


 それでも、指先から火を出すファイヤーや水を出すウォーターなど簡単にまねができ、そのたびに山田圭子と田原一葉は喜んで大騒ぎしていたが、三千院華もまんざらではなく表情にはださなかったが喜んでいた。



 魔術レベル1の場合、攻撃系魔術はアロー系が主になり、爆発を伴うボール系は発動できない。

 魔術レベル2でようやく、ボール系が発動できるようになる。

 魔術レベル3では、電撃系、クラウド系等が発動可能となる。

 大魔導師級と言われる魔術レベル4については、その存在自体は確認されていたが、どういった魔術が使えるようになるのかは不明だとのこと。


 魔術レベル4の三千院華は電撃系、クラウド系なら本来簡単に使えるはずなのだが、魔術教官を務める神官も誰も使えないので見本もなく、そういった魔術を発動させることはできなかった。


 強化系魔術として、速さを高めるヘイスト、正確さを増すデクステェリティなどがあるのだが、神殿の者でヘイスト以外を使える者がいなかったので三千院華はヘイストのみ使えるようになった。


 回復系魔術については、神殿では使い手がおらず、回復系魔術があるという説明だけだった。回復系魔術に代わるものとしてヒールポーション、キュアディジーズ、スタミナポーションがあるので、ケガや病気の対応や、気力体力の衰えに対する対応は可能ということだった。


 3人は数日後には、実戦訓練のため、神殿兵の護衛の下、バレンの街を出て、神殿の私有地で狩をすることになっている。





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