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第194話 正解1


 南のダンジョンの第1階層の石室の中でまったりとデザートを食べて一休みした俺たちは、荷物を片付け、脱いでいた防具を身に着けて午後からの探索を再開した。


 通路の罠を解除しながら進んでいたら、通路がT字になり左右に分岐していた。


 T字路の左の通路は今までと変わりのない通路だったが、右の通路は今までの通路と比べ幅も高さも1.5倍ほどあった。


「右にいってみよう」


 右側の通路に向かって華ちゃんがデテクトアノマリー、デテクトライフを唱えた。


 これまでの通路は罠だらけだったが、目の前の通路には赤く点滅する異常は何もなく、緑の点滅も見えなかった。


「この通路はこれまでとは明らかに違うな。通路の先はここからじゃ見えないほど遠いが、通路の先から何か出てきそうだ」


「強そうな敵が現れた時はどうします? まずは斃してから確認したほうがいいですよね」と、このところ見敵必殺主義の華ちゃん。


 このダンジョンの中にいる俺たち以外の者は敵と考えて差し支えないし、俺たちの安全を考えればそれが正解なのだろう。


「この先では何かスゴイのが出てきそうだから、それでいくか」


「はい」


「ここからは俺が先頭、華ちゃんとキリアが俺の後ろ、アキナちゃんが一番後ろ。この順番で進もう。

 アキナちゃんは後ろを注意していてくれ」


「「はい」」「了解なのじゃ」


 そこから、ある程度進んでは華ちゃんがデテクトアノマリー、デテクトライフをかけたが何も異常がないまま、おそらく500メートルほど進んだところで、前方に行き止まりの壁が見えてきた。


「それらしい通路だったから何か出てくると思ったが何も出てこなかったな。

 妙なものに出てきてほしいわけじゃないから、別にいいけど」


「引き返しますか?」


「行き止まりに何かあるかもしれないから、もう少し進んで行き止まりに向かってデテクトアノマリー、デテクトライフをかけて何もないようなら、T字に戻ろう」


 そこから、50メートルほど進んだところで行き止まりに向かって華ちゃんがデテクトアノマリー、デテクトライフを続けて唱えた。


 そうしたら行き止まりの壁が壁全体で赤く点滅し始めた。


「壁全体が点滅か。何だろうな?」


「近づいて、アイデンティファイトラップでトラップかどうか確認しましょう。それで罠でなければ、ノックが効くかもしれません」と、専門家の華ちゃん。


 俺たちは華ちゃんの言葉に従って行き止まりまで近づいた。


「アイデンティファイトラップ!

 罠じゃないみたいです。

 それじゃあ、ノック!」


 華ちゃんがノックと口にした瞬間、正面の壁がモウモウと砂埃を上げて崩れ始めた。俺たちは急いで後ろに下がったところ、華ちゃんの右肩に乗ったピョンちゃんがピヨン、ピヨン鳴き始めた。これは何かある。


 俺たちは壁の崩れる様子を十分後ろに下がって見ていたのだが、吹き上がった砂埃の中、少し高いところに赤い光が二つ並んでいるのが見えた。


 砂埃が少しずつ収まっていき、赤い二つ目の人型のシルエットが見えた。背の高さは7メートルほどの巨人だ。


 俺は3人をかばうように一歩前に出て如意棒を構えた。キリアも一歩前に出てフレイムタンを抜き、盾を構えた。アキナちゃんは俺の真後ろだ。


「いきます!

 連続ファイヤーアロー!」


 俺の斜め後ろから、華ちゃんが両手を使って巨人の頭部に向けてファイヤーアローを機関銃のように浴びせた。


 華ちゃんのファイヤーアローが命中するたびに巨人の頭部の何がしかが吹き飛んでいく。


 赤い目が消えて、頭の部分がほとんどなくなったところで、


「グラヴィティーファイヤーボール!

 みんな伏せて!」


 華ちゃんの右手からギラギラ光る野球のボールほどの青白い光球が巨人の胴体に向けて放たれた。


 これはやばいやつだ。


 3人とも床に伏したあと、俺は、アキナちゃんの上に覆いかぶさった。


 ドーーーン! 轟音の後、何かが崩れるような音。


 爆風も襲ってこなければ瓦礫も飛んでこなかった。爆発自体は思ったほどではなかったのか?


 起き上がってみると、巨人は消えて無くなって、瓦礫の山ができ上っていた。俺が覆いかぶさっていたアキナちゃんも、キリアも起き上がった。


「うまくいって良かった」


 起き上がった華ちゃんがひとこと。後ろの方から羽ばたいて、その華ちゃんの右肩の上にピョンちゃんが止まった。


「華ちゃん、今のグラビテーなんちゃらはいったい何だった?」


「狭いダンジョンの中でファイヤーボールを使うと危険なので、ファイヤーボールが爆発した瞬間にグラヴィティーで包んで爆風や破片が周りに広がらないようにしました。

 初めてだったけど、うまくいきました」


「すごい工夫だな。俺じゃできるできないの前に、全く思いつけない」


「華ちゃんの今の魔法は実に見事じゃったの。

 わらわがうまくいくよう念じたかいがあったというもんじゃ」と、アキナちゃん。


「今の巨人はいったい何だったんだろうな?」


「瓦礫を鑑定してみましょう。

 鑑定!

 瓦礫としか分かりませんでした」


 巨人の死体でも転がっていれば鑑定できただろうが、跡形もなく粉々じゃな。とはいえ、俺のラノベとゲーム知識(けいけん)から言って巨人はゴーレムだったに違いない。今となっては違っていようがいまいがどうでもいいがな。


 瓦礫の先にはまだ通路が続いているようだ。



「瓦礫の先にも通路があるようだからいってみよう」


 俺は通るのに邪魔な瓦礫をアイテムボックスに収納してやり、歩きやすくなった元壁を抜けて俺たちは新たな通路に入っていった。しかし、壁の中にゴーレムが隠れていたわけだが、隠れている必要性が果たしてあったのか疑問だ。このダンジョンの設計者の凡ミスではないかと思ってしまった。



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