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第178話 バーベキュー準備。


 ビーチチェアとバーベキューセットをホームセンターで買いプール脇に転移した。


 案の定、華ちゃんはピョンちゃんと戯れていて俺が帰ってきたことに気づかなかった。


 それはそれ。


「華ちゃん、今帰った」


「わっ! びっくりした。お帰りなさい。

 どうでした?」


「ビーチチェアとバーベキューセットをちゃんと買ってきた」


「バーベキューには何を焼きます?」


 あっ! 食材のことを完全に忘れていた。


 そうなると、海の幸が欲しいよな。


「野菜類はリサにいえばいいし、肉類は俺のアイテムボックスに入っているから、これから熱海に跳んで海の幸を仕入れてくるか。

 行動範囲が広まってラッキーだった」


「それだったら、わたしも付いていった方がいいかも」


 確かに、俺に新しい食材を任せるのはある種の冒険だものな。


 ピョンちゃんは、華ちゃんに何かひとこと言われて、すぐにいつもの止まり木に戻っていった。


「いきましょうか」


 華ちゃんが俺の手を取ったところで、俺たちは熱海のアーケード街に跳んだ。


 少し歩いたら海産物屋が目に入ったので、その店に入って、華ちゃんが、生きたアワビ、サザエ、ハマグリ、ホタテといった貝類を買っていった。華ちゃんがコレ、コレと指さしたら、店の人が氷を敷いた発泡スチロールのトロ箱にどんどん入れてくれた。


 精算して店を出て、


「これって、ほとんど生きてるから、アイテムボックスに収納できないかもしれない」


「あっ! どうしましょう?」


「とりあえず試して見よう。『収納』」


 やってみたところ、やはり無理だった。どうしようか考えたところ、箱ごと屋敷の台所に転送してやることにした。ただ送り付けても台所にいるリサもビックリするだろうから、一緒に俺たちも転移することにした。華ちゃんが俺の手を取ったところで、


「転送、そして転移」



 普段は、居間とか玄関ホールに転移で現れるので、いきなり台所に現れた俺と華ちゃんに、リサはかなり驚いたようだ。


 俺が台所の調理台の横に転送した発泡スチロール製のトロ箱を持ち上げて、


「びっくりさせてごめん。

 生きた貝を仕入れてきたんだ。俺のアイテムボックスに入らなかったから、台所に置いておいてくれ。明日の昼食、楽園にいって食べるつもりだ」


「明日、楽園」


「言ってなかったか。

 楽園の中にみんなで水遊びができるようプールを作ったんだ。かなり浅いプールだから泳げなくても大丈夫。それで明日みんなでプールで遊ぼうと思ってな。昼は、この貝とか、肉や野菜を焼いてバーベキューだ」


「えーと、バーベキューとは?」


「網で食材をそのまま焼いて、タレとか付けて食べるだけのものだが、外で食べるとおいしいんだ」


「了解しました」


 リサはそう言ってトロ箱の蓋を開けて中を見て。


「氷が解けたら、冷蔵庫の氷を足しておけばいいですね?」


 さすがはリサだ。冷蔵庫の使い方にもちゃんと慣れてきたようだ。


「そうしてくれると助かる。あと、素焼きにしておいしそうな野菜を用意できるかな?」


「お任せください」




 肉類は俺のアイテムボックスの中にそれなりの量入っているのだが、先日の叙○苑の肉には到底及ばない。


 それでも、せっかくだからと思い、なるたけいい肉を仕入れようと、今度は俺のアパートのある街の隣街の例の商業ビルの地下に入っているスーパーに一人で跳んでいった。華ちゃんは肉の買い出し程度は俺に任せても大丈夫と判断したのだろう。


 肉売り場を探して、よさげな肉を物色していく。焼き肉用の肉はお高いので、逆に安心して買うことができた。アルバイト時代の俺と全く逆の思考パターンである。


 立場によって考え方が180度変わるのは当たり前だが、環境によっても変化する。それもいたって簡単にだ。そういうことがよーくわかった。


 肉売り場の脇で、焼き肉のタレを売っていたのでこれも買っておいた。そのまま焼くよりタレに付け込んだ方が美味しいからな。


 肉を店のかごに入れて、何か他にバーベキューに合うものがないか店の中を歩いていたら、餅が目に入った。醤油をつけてノリに巻いて磯辺焼きだ。艶の良いノリできれいにカットされていたのがあったので、そいつも買い物かごに入れておいた。ただ、餅まで食べてしまうと腹がパンパンになるから、バーベキューでだすかどうかは微妙なところか。


 結局それだけで、レジにいって精算しようとしたら、


「買い物袋はご入用ですか?」と、聞かれた。カートならいりませんと言えるが、今持っているのは店のかごだし、俺は見た目手ぶらだしな。


 俺は仕方なく3円のレジ袋を買う羽目になってしまった。確かに3円は大した金額ではないが、されど3円なのだ。3円を嗤うものは3円に泣く。ハズだ。


 レジで精算して、レジ袋の中に品物を移し、俺はとっとと、そのスーパーから退散して、屋敷の居間に転移してやった。


 プール作りは30分もかからなかったが、買い物で行ったり来たりしていたら結構時間が経っていたようで、そろそろ昼の時間だ。


 だからと言って、自分一人で食堂の椅子に腰かけて食事が出てくるのを待っているのもかなりおかしいので、居間で食事に呼ばれるのを待っていることにした。


 子どもたちも今は台所で手伝っているのか、居間には優雅にグランドピアノを弾いている華ちゃんしかいなかった。


 ソファーに座って華ちゃんの弾くピアノ曲をしばらく聞いていたら、食事の用意ができたとエヴァが呼びにきてくれた。



 さっそく、華ちゃんと連れだって食堂にいき、食事を始めた。


「いただきます」「「いただきます」」

 

 その席で、


「明日は午前中から楽園にいってみんな水着で水遊びだ。ついでに水泳の練習をして、泳げるようにな。もちろん一日で泳げるようになるわけないから、何回か練習することになる。泳げるようになったら楽しいぞー」


 かく言う俺は、平泳ぎがある程度できるだけで、背泳ぎもバタフライもできない。クロールはできると言えばできるが、平泳ぎより遅い。


「明日の昼食は、バーベキューだ。バーベキューというのはいろんな肉や野菜、それに貝なんかを炭火で焼いて食べることなんだが、家の外で食べるとなぜかおいしく感じるんだよな。これも期待しててくれ」


「旅館のアワビ? あんなのもあるんですか?」


「今日買ってきたから大丈夫よ。期待してて。他にもおいしい貝を買ってきたからね」と、華ちゃん。


「ヤッター」「あれがまた食べられる」「ニマニマ」


 基本バーベキューだけでお腹いっぱいになるだろうが、足りないようなら、餅を出して、それでも足りないなら、牛丼もあるしな。さすがに牛丼は無理か。




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