7 日記?
自室に戻って、スマホの画面を見つめる私。
落ち着いていこう。これは小説だから読んで場面を想像しても動揺しないで、楽しむくらいの気持ちでいい。
これを書いたのは駆け出しの作家さんで、まだ世に出る前の試作で、校閲されてないのだから事実と違っていても、矛盾があっても仕方のない出来だと思えば、間違いを見つけてあげてるんだよ~くらいの読み方をしよう。
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あの人との出会いは マハラジャでナンパされたのが始まり。
バブル全盛期のイケイケな雰囲気へ
無理な背伸びをして入っていこうとしていた
年上の彼氏が出来たらいいなと思っていたから
おしゃれな大人な雰囲気漂う人にナンパされて嬉しかったんだなぁ
私は高校を卒業してすぐの あきらかに未成年だとばれるような小娘だから
あの人から見れば いいカモだったのかも。
その時はタバコを吸って、お酒も飲んで大人ぶっていた。
男性経験も数回しかなかったのに、何人も付き合った事がある風な
イケてる女になりたかった。
デートと言っても、会ってお酒を飲んで酔ってきたら彼の部屋へ行く
ことを致した後に、ちょっと甘い言葉を言われて、ポッとして幸せだと思っていた
だけどその時間はすぐに切り上げられ
「終電 間にあうから帰る?」と言われ
朝まで一緒に居ることもなく、部屋から出たらそこでバイバイ
駅へ送ってくれることもなく帰っていた
今で言う セフレとか、やりもくだよね
それがその時には全く気付かず、彼氏だと思っていたんだなぁ
ある日、彼が小さな箱のタバコを出してきた。
「ショートピースなんて知らないでしょ
これ臭いが独特だけど味が美味しいから
それと、最初はすごくむせるから少しだけ煙を吸ったら
息を止めてから吐くってのをくり返して」
少し煙を吸い込んだら、すごい刺激があって
息が吸えないくらい咳き込んだ
「あーやっぱり最初は むせるよねぇ大丈夫?
もっと少なく煙を吸って止めるんだよ」
煙が出た?くらいに口の中へ煙をいれて吸って息を止めた
はぁーーとゆっくり吐き出した、ゆら~~と眩暈がする
味が美味しいって? 全然美味しくなかった
「そうそう、そんな感じでいいんだよ」
半分ほど吸った頃には、ニコチン中毒なのか低酸素だったのか朦朧としていた
そんな感覚の中でことを致せば浮遊感があるだけで
楽しくも嬉しくもないものだった
私の休日の前日がいつなのかだけを聞かれて次に逢う日を決めての
週1程のデート?が続くなか、彼の部屋でもお酒を飲んだ
酩酊というか泥酔になるくらいまで
その翌朝は彼の部屋で目覚めた
隣には彼だけじゃなく、見たことがない人がいた
昨夜どんな事があったのか想像できる姿で・・・
まだ酔っているかのようなふらつきの中
二日酔でガンガンと痛む頭を振って我に返ろうとする
昨夜を思い出そうとしたら断片的に
映像のように頭の中で再生された
ぞっとして震えて全身の毛が逆立つ感じがした
すぐに服を整え、彼の部屋を飛び出した
ただただ、泣けてきた・・・
電車にも乗れないから、どう家まで歩いてたどり着いたのか覚えていない
目が半分開けられないくらいほど泣いた
たった1日で2キロ減っちゃったくらいだから
そりゃー目もパンパンに腫れるよ
次の休日に、彼の部屋に向かった
ピンポーン しばらくして
「はーい」と低い声がしてガチャガチャとドアが開いた
あの日のもう一人だ!
「あーーー・・・
実はここは俺の部屋で、ゆう君は先輩だから
たまに部屋を貸してたんだ
あの日は何もなかったから 心配しなくていいよ」
その場からすぐに逃げ出した
全て騙されていたんだ!悔しかった
自分の人を見る目のなさと、お酒の怖さを痛感した
でも、もう泣かなかった
それからは自分のお酒の許容量を確かめるように無茶な飲み方をせず
調整しながらお酒を嗜むようになれた
酒は百薬の長
なーんて言われるけど、適量じゃなかったらただの毒
これもある意味、勉強だったのかな?
とても人に教えられるような勉強方法じゃないけどね
それから数年後、新聞の地方欄に
〇〇市在住の数人による大麻密輸グループを摘発
という記事が目についた
〇〇市 ってあの人の部屋があった市じゃん
記事を読み進めたら、メンバーの中に
●●ゆう(〇〇市〇〇町 26歳)
あの部屋があるアパートのポストに書いてあった名字が
彼の名字じゃなかったからあれ間違ってない?って聞いたら
「あ、あれは前の住人の名前、はがすの面倒だからそのままにしてた」
その名字が摘発メンバーの中にあったような気がする
最悪だった記憶に、さらにもっと最悪な事実が積み重なった
あのタバコは本当にショートピースだったのかな?
大麻なんて知らないし、見分けとかできないし
臭いがどうとかもわからないし確かめようもない
どんな仕事してるの?って聞いたら
「DJブースがある飲食店のバーテンダー
こうして会える日は休みの日だから
仕事の日は連絡もできないし会えないからごめんね」
と言われて、バーテンダーだなんて
かっこいい~なんて思っていた
「時給が安いから 貧乏なんだ
だからお店で食事とかできないし
ホテルとか泊まりに行けないから
部屋でいいよね?」と言われ
自分の部屋を教えてくれた事が嬉しかった
一泊旅行とか行けたらいいね。と言ったら
「そんな余裕なくてごめん。近場の旅行ですら行ったことないし」
それも嘘だったのかな?
疑い始めたらやり取りのすべてが怪しい
でも、逮捕されたんだから全てを暴かれて裁かれるだろうから
社会の敵、女性の敵がこれで減ったことを祝おう!
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お母さん これは壮絶すぎるよ・・・
これが事実なら、探れないじゃん。