私の日常から非日常へ
「やめて・・・いや・・・いやああああああああああああ!」
『あと5日だぁ!ひゃははははははは』
そして私にナイフを振り下ろされた・・・
「いやああああああああああああああ!」
絶叫と共にそこで私は目を覚ました。体は冷たい汗でじんわりと寝巻が濡れている。
「はぁはぁ、またあの夢だ・・・もう2週間ぐらいずっと・・・」
この2週間、正確には15日間この悪夢にうなされている。
悪夢の内容は同じ、夜に私の部屋に男の人が入ってきてベットで寝ている私がナイフで刺殺される。
「もうやだ・・・お父さんお母さん・・・」
私こと神楽茜は今一人暮らしをしている。
両親は去年、二人とも亡くなってしまった交通事故らしい。この部屋は父の弟、つまり叔父が用意してくれた部屋だ。叔父曰く『俺は別に一緒にくらしてもいいが、年頃の女の子が叔父とはいえこんなおっさんとは住みづらいんじゃないか?』との事だ。そしてこの部屋は私が志望校大学に近いというのも含めて探された物件だ。『ついでだからここのあたりでいいか・・・落ちるなよ?』高校に行きやすく志望大学に近い場所を見つけてくれた。ついでに軽く大学受験にも失敗するなよと釘をさされたのだ。
叔父は昔から冗談交じりでそういう事を言ってくる。結構自分を悪者にして周りの人間関係を円滑にしようとする人だ。むしろいい人なのだ
「悪い人じゃないんだけどなぁ・・・」
ため息をつきながら私は眼鏡をかけた。
実際に叔父は両親の遺産を私を面倒見るからと親戚に『俺が管理する!早い者勝ちだぜ!残念でした!』と言い放って嫌な親戚連中から罵詈雑言を浴びていた。その場ではそう言っておきながら私が一人暮らしを始めたときに両親からの遺産など通帳やどっかの鍵を渡してきた。『鍵はその日がきたら教えてやるよ、その日が来なかったら教えてやらない』今だにこの鍵はどこの鍵か教えてくれないのだ。
「こんな古い鍵、どこの鍵なんだろ・・・」
できる限り悪夢の事を考えないように他の事を考えようとする。
でも人間の頭は他の事を考えようとするとかえってそのことが頭から離れないものだ・・・
「はぁ・・・」
今日何度目か分からないため息が出る。
「まだ時間あるけど、学校・・・行かないと・・・」
悪夢での唯一の良い副産物は早起きである。
決して気持ちい朝の目覚めではないが、目覚ましいらずで起床しているのは事実である。
その日から私は現世の狭間の世界を知ることになっていく。




