表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/15

最愛の家族


 この世界には英雄がいる。


 世界中の人々が英雄達を祭り上げている。


 英雄たちは日々、人々を救い、その活躍は活字になり、戯曲になり、英雄グッズが大ヒット商品として販売されている。


 もちろん俺もレティも英雄に憧れていた。



 レティの部屋には英雄第一位レオンハルトのポスターが飾られている。

 彼女が騎士学校に通う理由は、英雄候補の一人になりたいからだ。



 俺はレティとのデート? を終えた後、家に家に帰ることにした。


 俺の家は帝都で有数の宿屋である。

 小さいながらもセンスが良い丁度品と手厚いサービスで高位冒険者や成金たちに大人気の宿屋である。


 俺は宿屋の裏口から入ると、母さんが厨房で宿屋のレストランで出す料理を作っていた。


「あ、おかえりなさい! デートは楽しかった? レティちゃんに嫌われる事しなかった?」


 母さんは十八歳の俺を育てているとは思えないほどの美貌である。

 優しくて、でも厳しいところもあって……俺は母さんが大好きだ。



 父さんも厨房に入ってきた。

 宿屋の大将というよりも、どこぞの貴族の執事みたいな服を着ている。

 父さんもやっぱりかっこいいな。もちろん父さんも大好きだ!


「おう、ノワール、おかえり。……今夜は大変なお客さまが泊まることになったぞ!」


 普段寡黙な父さんが大興奮していた。


「あらあら、どうしました? ふふ、子供みたいにはしゃいじゃって……」


 母さんが優しい目で父さんを見つめる。

 そんな二人を見ると、俺は本当に愛されて生まれたと実感できた。

 心が暖かくなってくる。


 俺は父さんに聞いてみた。


「誰が来るの? この前Sランク冒険者が来た時でもそんなに興奮してなかったのに……」


 父さんが俺の肩に抱きついてきた。


「はははっ! 驚くな、なんと……帝都が誇る英雄様の二人、【漆黒の忍者】ナード様と【聖女】ミニ様が今夜泊まることになったんだ! 今夜は英雄様のために貸し切りだ!」


 母さんも胸に手をあてて喜んでいた。


 僕も大興奮だ。


「え!? 凄いよそれ!! あ、レティに言っちゃ駄目だよね? レティ……英雄様達の事大好きだから……」


「うーん……流石に極秘だからな……サインぐらいならもらえるかもな。英雄様が帰ったあとに渡せよ? なーに父さんに任せろ! お前の恋の応援をしてやるよ!」


「やった!! 父さんありがとう!!」



 こうして俺達は英雄様達が来るのを楽しみに待つことになった。


 それが悲劇の始まりだと思いもしなかった……



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ