燃えろ!
黒い獄炎を背景にシズエよる撮影会が行われた。
「リスコ! もっと激しくしなさいよ! もっと漏らす絵がほしいのよ!」
ずっと一定の強さで平手打ちを続けるリスコ。
「……うるさいわね。これがいいのさ。一定の強さで一定の感覚。これは拷問の基本よ!」
シズエはスマートマジックで動画サイトに投稿している。
聖女のこの痴態を全国中継だ!
――アクセス数はどれどれ……
俺もスマートマジックでチェックしてみた。
「おい、時間帯一位だぞ! ミニ、やったな!!」
いつの間にか下着姿のミニがほんのりと頬を染めながら俺に叫んだ。
「はぁはぁ……これは……意外と……きゃ!? はぁ……はぁ……新感覚……」
おしっこ漏らしながら新しい目覚めを呼び起こしてしまったらしい……
ドン引きだ。
動画のコメントを読むと、
『え、これ本物?』
『おい、ダウンロードしておけよ! 後でお宝になるぞ!』
『ミニ様……ぐふっ……ぐふふ』
『ふぅ……おい、犯人やめてあげろよ! 俺達の聖女様を……もっと長く……』
凄い勢いでコメントが流れていった。
俺はリスコに告げた。
「リスコ、お遊びはおしまいだ。コイツは俺をいたぶった女だ。……しかし俺には女をいじめる趣味は無い。だから一旦異能を解くぞ。スマートに正々堂々と殺してやる」
リスコの動きが止まった。
その顔はなぜか紅潮していた。
俺はリスコの肩に手をおいた。
「ふぇ!? ……ノ、ノワール。今はちょっと敏感だから……」
俺はリスコの耳元で囁いた。
「後でご褒美あげるぞ。だから俺の勇姿を見ていろ!」
「は、はいさ!!」
リスコは下がった。
シズエは不満気な顔だ。
俺は黒い炎をでハートマークを作ってあげた。
死者の亡骸が炎にあおられて燃え上がる。
シズエはつぶやいた。
「綺麗……」
「これはお前に送るハートだぞ? 受け取ってくれ!」
「ノ、ノワール……胸がドキドキするわ……」
聖女ミニが喚いた。
「あ、あんた達、頭逝ってるの!? ちょっと付き合ってられないわよ! 魔術が使えるならこっちのものよ! 死んで償いなさい!! ――ホーリーメガファイアー!!」
黒い炎を覆い尽くす程の白い炎が生まれ出た。
二人が同時に叫ぶ!
「「ノワール!」」
俺は指を鳴らした。
帝都を燃やし尽くしていた黒い炎が消え去る。
いや、違う。
聖女の周りに黒い炎を移動させた!
「一生燃えてな!! この炎は特別だ! しかも最高回復異能がほどこされているぜい!」
ついでに襲いかかってきた白い炎を剣圧だけで吹き飛ばした。
聖女が必死で防御魔術を展開する。
「くっ!? ――マジックバリア!! ――マジックバリア!! ――なんで、なんで消えないの!! ああ、熱い……これは気持ち良くないわ……」
黒い炎がゆっくりと聖女の身体にまとわりついた。
燃え盛る黒い炎で、俺は取り出した葉巻に火をつけた。
「ぷはぁ……げほっ、げほっ……ちょっとかっこいいかと思ったら超まずいじゃん……」
俺は葉巻を投げ捨てて、葉巻を中心に防御異能結界を発動させた。
「ふん、そう来ると思ったぜ!」
俺とリスコとシズエ、ついでに燃え盛る聖女ミニと、隠れていたテロリストの親分の身体に紫色の煙がまとわりつく。
その瞬間、いくつもの極大の光が帝都を襲来した。
光が帝都を無惨にも破壊する。
俺は暗く笑った。
「はははっ! 真打ち登場か!! まさか帝都を破壊するとはな! 流石最強の自己中!」
空から二人の人影が落ちてくる。
勇者レオンハルトと、あれはレティか!!
「勇者レオンハルト見参!! 帝都を破壊したテロリストどもめ!! 俺の正義で貴様を虐殺する!!!」
「ふふふっ! 私が新しい英雄『姫騎士レティ』よ!! 帝都民に代わってお仕置きよ!!!」
帝国国旗をもしたマントを翻す勇者と、レオタード姿の見る影も無くなった幼馴染が舞い降りた!!




