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レティは大切な幼馴染

 

 優しさは裏切らないと思っていた。

 他人に親切にしたら自分に返ってくるもんだと思っていた。





 帝都の民衆から罵声と野次が飛んでくる。


「英雄様に逆らうなんて死んじまえー!」

「親殺しを許すな!」

「あんな優しいそうな面してるのに……鬼畜すぎるだろ……」

「死刑! 死刑! 死刑!」



 俺は堅い石で舗装された道を素足で歩く。


 汚い布切れを被せられ、ほとんど裸の様な状態だ。


 民衆は俺に対する憎しみがヒートアップする。

 石が投げられた。



 俺の頭に石が当た血が流れ出る。


 体中が痛い。


 俺は何をしたんだ? 


 なんでこんな事になったんだ?


 英雄ってなんだ?




 俺は顔を上げて民衆を見た。


 そこには俺が知っている人達が大勢いた。


 パン屋の大将、武器屋の親父、ギルドの受付のお姉さん、学校の同級生、近所の子供達……


 そして……俺が大好きだった幼馴染のレティ。


 俺とレティが目があった。

 レティの顔は紅潮していて、興奮状態だ。


 右手には石が握られていた。


 ――まさか……レティ? 


 俺は喉を潰されていたので声が出せない。


 レティは大声で叫んだ。


「この裏切り者!! 英雄様に仇なすクズめ! 死んで償えーー!!」



 俺の心が壊れた瞬間であった。














 ――俺は優しいだけが取り柄の男だった。


 そんな俺には可愛い幼馴染がいる。


 幼馴染……レティは騎士学校に通うお転婆な女の子だ。


 幼い頃から、どこに行くにも俺たちは一緒だった。


「ちょっと、遅いわよ、ノワール! 道具屋の特売が終わっちゃうじゃない! もう!」


 レティは遅れて歩いていた俺の手を取った。

 柔らかい感触が俺の手のひらに伝わる。


「う、うん……レティは騎士学校に通ってるから足が早いんだよ……俺は普通の人なの」


 俺は照れくささがあるから、下を向いてレティに言った。


「バカ! そんなんじゃ……私と一緒に歩けないでしょ? ちゃんと鍛えなさい! ……いざとなったら私が守って……」


 俺は早足でレティの速度に合わせていた。

 走るのに必死でレティの声があんまり聞こえない……


「え! レティ、何??」


 レティは手を引きながら僕の方に顔を振り向いた。


 レティはとても美しい。

 大柄な体格だけど、スタイルが抜群で手足がスラっとしている。

 金髪のツインテールをなびかせて、可愛らしい魅力的な瞳で僕を見た。


「う、うるさいわよ! この優男! は、早く行くわよ!!」



 これが俺とレティの日常であった。


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