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辺境ギルドの解体部へようこそ【連載版】  作者: I/O
第一章 辺境の村の解体部へようこそ
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17話 狩猟祭(2日目)

 今日も朝日が昇る。


「おはようバラシ。今日もがんばろうね!」

「アルルはいつも元気だな。その元気が朝日よりも眩しいよ。」


「おはようさん。なんや魂抜けてはるな。」

「お前は、あ……、あ……、めんどくせえ。おはようスピネル」

「ボケも出んほどへばっとるんかいな。挨拶しがいのないやっちゃ」


「おはようバラシくん。昨日の解体ショーは見ごたえがあったよ。今日も楽しみにしてるからね。」

「おはようございますベインさん、お手柔らかにお願いします。」



 俺は出張所のカウンターに突っ伏して適当に挨拶を返していた。


「疲れが取れねぇ……」


 昨日はあの後、次々と持ち込まれるアングリーボアの解体に忙殺された。

 忙しいから殺す。いい言葉だ。


 村の狩人達の追加や冒険者たちの持ち込みはまだよかった。

 アルルと獣人ペアと黒い鎧の3人組、こいつらが計算外。全員が全員収納スキルあるいはマジックバッグ持ち。こいつらだけで実に18匹の獲物を持ち込みやがった。

 赤毛の錬金術師(スピネル)がからんでいる以上マジックバッグを持っていることを計算に入れるべきだった。


 なんとか全部下処理し倉庫に運び込んだものの全部で31匹。豊作ってレベルではない。


 このままでは2日目の獲物が倉庫に入らないということで夜中まで倉庫に入れた獲物の解体をすることになった。



 誰だ。解体部に負担は少ないとか言った奴は。



 狩猟祭2日目。想定以上の収穫に笑顔がまぶしい村長の挨拶が続く。



「昨日は順調でしたが今日は状況が変わっているかもしれません。注意は怠らないようお願いします。それではみなさん、今日も一日ご安全に!」


「「ご安全に!」」




「ミセリ、俺ちょっと寝るからなんかあったら起こして。」

 冒険者達を送り出した所で休憩所に向かう。

 刃物を使う仕事での寝不足は恐怖でしかない。




――――――



「ピーーーー」



 遠くで笛の音が聞こえる。



「ピーーーー」



 また遠くで笛の音が聞こえる。

 うるさいなぁ。



 ……笛の音!?


 寝ていたベンチから飛び起き休憩所を出る。



「今この場にいるものは徒歩で村に向かってください!子供の手は放さないように!」

 やはりトラブルか。村長が中心になって対応しているようだ。


「村長!何があったんすか?」

「まだわかりません。念のため避難させている所です。安全確保の笛が鳴るまでは最悪を想定しますよ。」


 まだ初動対応の段階。森の方からは子供達や冒険者が数人歩いてくるのが見える。

 それほど緊張感を感じる状況ではないようだが……


「ピーーーー」「ピーーーー」


 笛の音が大きく、そして数が増えている気がする。


「村長……」

「まずい状況になりつつありますね。バラシ、長物は持ってきていますか?」


 長物。主に槍や矛を意味する武器の事だ。


「ありますよ。」

「ブレードベア相手になんとかなります?」

「受けられて3発程度ですね。牽制にしか使えないと思ってください。」

「十分です。あるだけ出しておいてください。時間稼ぎにはなるでしょう。」


 マジックバッグからレッドブルの槍を取り出し並べる。

 アングリーボア製の武器よりも丈夫だが鋼鉄にはやや劣るぐらいの強度だ。

 レッドブルは名前の通り赤い牛の魔物で角が非常に丈夫。そして肉が美味。


「あとで請求しても?」


「請求が必要な状況にならないことを祈りたいですが……」

 村長は森を見つめて渋い顔だ。



 森から歩いて戻ってきていた冒険者達がそばにいる子供を抱えて慌てて走りだした。

 すると森からいくつも黒い塊が飛び出してくる。


「アングリーボアだ!何頭もいるぞ!」


 が、飛び出したアングリーボア達はこちらを見ると左右に進路を変え森の淵に沿って走り去っていく。普段であれば人を見れば突撃してくるのがアングリーボアだ。様子がおかしい。


「まずいですね。アングリーボアは何かから逃げているようです。アングリーボアが逃げるような相手と言えばこの森ではヤツしかいません。」

 村長がつぶやく



 走って来た子供と冒険者達を迎え入れて村長が話を聞く

「何が起きているか教えてください」


「ハァ、ハァ、俺らはそんなに深いところにいたわけじゃねぇから詳しくはわかんねえが、『熊だ熊だ』という声は聞こえたからブレードベアが出たんだと思う」


 冒険者たちは息を切らせて座り込んでいる


「ありがとうございます。一休みしたらここの防衛を手伝ってください。」


「で、でも俺達には武器もねぇし……」


 冒険者がブレードベアにビビっているが無理もない。

 それぐらい危険な魔物だ。


「こちらで用意した槍があるので使ってください。いや、戦えなどとは言いませんよ。この場には他に腕利きの冒険者や勇者もいます。牽制して時間を稼ぐだけで彼らが倒してくれるでしょう。危なくなったら逃げて下さい。」


 安心させるように笑顔で村長は続ける


「ペアで対応し、ブレードベアの真正面に立たないようにすれば危険は少ないですよ。バラシ、補足はありますか?」


「いや、それで十分です。」


 村長、魔物に詳しいな。

 ブレードベアは前進する速度が速いため正面は危険。斜めに位置取り、後ろに回り込むように立ち回るのがセオリーだ。二人同時に攻撃される事は(あまり)ないため、狙われてない方がブレードベアを攻撃し、1対1に持ち込ませないようにする。



 わっと周囲が騒然とする。



 森からその巨体を現したのはブレードベアだ。

 グオーとかギャオーとか吠えながら長い爪を振り回す。

 対応してるのは……獣人ペアのようだ。



 騒然を通り越して悲鳴が上がる。

 森の中からさらに3体のブレードベアがあらわれたのだ。


「ブレードベアが4頭だと!?ありえない!」

 思わず声をあげる


 ブレードベアは基本的に単独行動でそれぞれ縄張りを持っているため群れで動くことはない。ブレードベアのうち大型の2頭はそれぞれ黒い3人組、獣人ペアが対応している。アルルが単独だからか2頭に狙われている。



「村長、ここは任せます。俺はアルルの手助けに行きます。」


「くれぐれも無理しないでくださいね」


 俺は槍を持って駆け出すとスピネルも同行する


「ウチも行くで。ちょっとは魔法使えっさかいな。」

「頼りにしてるよ」



 全力でアルルの方へ走る。

 アルルの動きが妙に鈍いなと思ったら子供を一人かばっているようだった。


「まだ子供がおったんかいな!」

「子供から助けるぞ!」



「アルル!子供をこっちへ!」

「バラシのあんちゃん!」


 アルルの背後から声をかけると子供が反応し一瞬アルルの意識がこちらへ向いた

 その瞬間、対峙していたブレードベアの1頭が襲い掛かる。

 しまった!

 避ければ子供に当たる角度だ。


「アルル!!」


「必殺!逆鱗剣!!」

 子供を抱きかかえ衝撃を覚悟したが、アルルは事もあろうにブレードベアに正面から飛び込み、アルルに反応して叩き落としに来た前脚ごと頭を叩き切った。切断されナイフのような爪と血が飛び散る。


 ワイバーンの逆鱗マチェット、さすがの切れ味だ。


「逆鱗剣ておま――」


「バラシはん!危ない!」



 目に映ったのは横合いからもう1頭のブレードベアが俺と子供めがけて爪を振り下ろす瞬間だった。


更新時刻が遅くなり気味ですが、長い目で見てやってくださいよろしくお願いします。

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