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王都に向けて出発することにしました。

街に戻って冒険者ギルドへと向かう。

冒険者ギルドは酒場と併設されており、夕方のこの時間はクエストが終わった冒険者であふれていた。


一番最初に俺達を発見したのは、彼女の父親だった。

「むっ娘は無事ですか?」

俺は背中から彼女をおろし父親に抱っこしてもらう。


「今は眠っているだけだと思います。」


「本当にありがとうございます。この御恩は必ずお返しします。」

父親は泣きながら俺たちの方へ頭をさげている。


「大丈夫よ。私たちはクエストを受注しただけだから。」

そう言ってリウスはギルドの受付に行き受注完了の報告をしている。


受付嬢は慌てた様子で、

「ちょっとこちらへ。」

と言うことでギルドの応接室へ案内された。

中には珍しい武器や魔物の毛皮などが飾られている。


この近くで討伐され買い取ったものだろう。


「ちょっとお待ちくださいね。」

そう言ってギルド嬢は俺達にお茶をだしすぐに部屋から消えていった。


「リウスさんこれってどういうことなんですか?」

それほど大変なクエストには思わなかったが普通はこんな風に呼ばれることなどない。


「あぁこれはモデデビルの脅威を知りたいのだと思いますよ。必要ならば討伐依頼をださないといけないですから。」


「えっ?そんなわざわざ討伐依頼なんて…。」


「大丈夫ですよ。任せてください。」


それからしばらくしてギルド長だという男があらわれた。

「いやーお待たせして申し訳けない。私がギルド長のマスコだ。それでモデデビルの件なんだが、今後も人を襲う可能性はあるだろうか?それならばすぐにでも討伐依頼をださないといけない。」


リウスは上手く、俺のスキルのことは触れずに友好的な感じだということと、森のさらに奥へと行ったことを伝えた。


ギルド長は胸をなでおろし、報酬額を少し上乗せして払ってくれた。

早期解決のお礼ということだった。


その間俺のことはほとんど空気だった。

まぁ今まではギルドにすら入るなと言われていたのでここにいられるだけマシだと思う。


話しが終わりにさしかかったころギルド長が俺に今気が付いたかのように、

「こちらは…と聞いて来た。」


「あっ私のパーティ仲間で夫のマイルといいます。」


「「えっーーーー!!」」


ギルド長よりも俺の方が驚いていた。何かの冗談なのだろうか?

それとも街では冒険者仲間を夫と言うのだろうか?


ギルド長が何かをいいたげだったが、リウスはさっそうと、

「それではこれで。」

と言って部屋からでていく。

俺も軽く頭だけさげてリウスの後ろについていった。


後ろから

「リウス…さんが…結婚してた?」

なぜか肩を落としているギルド長がいた。





「リウスさんさっきの何であんなこと言ったんですか?」


「いやー実はあのギルド長私にずっと言い寄って来てまして。」

リウスが言うにはギルド長から婚姻を迫られていたとのことだった。


そのため、この冒険にでるついでにギルド長にも諦めてもらって新しい恋人でも作ってもらうために夫と言って紹介したらしい。


リウスは怪しい笑みを浮かべながら

「ダメだったかしら?」

と俺に聞いてくる。


魔性の女性なのだろうか。

別に俺の方としては困ったことはない。

ただ、師匠が昔言っていた。


「男はバカだから女の目線だけでも、勘違いして好きなのかもなんて思ってしまうから気をつけろ。」

って言っていた。恋愛経験がない俺にはよくわからない。


「それじゃあマイルさん。明日はいよいよ旅にでますから今日は私の家でゆっくり休んでくださいね。」

そう言って二人でリウスの家に帰る。

久しぶりの冒険だ。ついでにいい魔物に出会えると嬉しいが。



翌日、マイルは夜明けより少し前に起きた。

マイルは誰よりも早く起き、食事と部屋の掃除をしている。


これは師匠と一緒にいるときからそうだった。

今日の朝食は、卵と、ウィンナーそれにサラダと魔牛とシークル野菜の炒め物にする。

魔牛はこのあたりでもよく捕れる牛型の魔物で肉が非常に美味しい。


ただ、朝から肉ばかりでは悪いので肉は少なめにして野菜炒めを作り、後は少し多めに野菜と肉のスープを作る。あまったものはマジックボックスに入れておけばいい。


まだ、リウスは起きてこなさそうなので早朝の市場へ行く。

まだ日が昇る前のため準備中のところも多いが、声をかければ新鮮な食材をわけてくれる。


仲の良かった八百屋のミルハおばさんのところにも顔をだす。

「ミルハさんおはようございます。」


「やぁおはようマイル。銀色の翼辞めたんだって。おめでとう。良かったよ。」

ミルハさんはこの街の情報通でどこから情報を得てくるのか知らないがいろいろな情報を知っている。

こそこそとたまに有益な情報も流してくれていたりした。


俺がこの街をしばらくでてリウスさんと旅にでると言うと、

「そりゃいい人の仲間になれたね。」

と自分のことのように喜んでくれた。

その上、エルフは果物好きが多いからとリンゴ3つもサービスしてくれた。


「ありがとうございます。」

とお礼を言って帰ろうとすると、

「ちょっと耳を貸しな。」

と言われてちょっとした噂だけどと言いある情報をくれた。


うーん。もしこれが本当だったらばかなりまずいことになる。


「まぁ噂だけど注意するにこしたことはないよ。」

そう言われたが、王都でエルフ狩りをしている人がいるというのはどうも放っておけない。

しかもそれの黒幕が貴族だというのではかなり面倒なことになりそうだ。


それから軽く買い出しをして家に戻るとリウスさんがちょうど起きて来たところだった。

「おはようございます。今食事だしますので。」


そう言って先ほど作っていった料理をマジックボックスからだし、リウスさんようにリンゴをむいてあげると非常に喜んでくれた。


「マイルさん!料理上手なんですね!このスープのだしは何でとられているんですか?」

などと料理談議で盛り上がり、一応先ほどの噂の件もリウスさんに報告をしておいた。


「急がないとダメですね。」

朝食がすんだ後二人は王都を目指して出発することにした。

無事に何事もなく帰ってこれればいいけど。

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