封印されていた記憶が戻ってきた。
「これで大丈夫かな?
あっどうも初めまして?初めまして。
なんかこういうの不思議な感じがする。」
そこはどこかの部屋の中。
いろいろな道具が置かれ使われている品はどれも高級感があふれるものだった。
若い男性が一人とその横にはコタロウらしくフェンリンガシッポをブンブン振りながら座っている。
ここの洞窟ではないようだ。
「コタロウにこの本の守りを任せることにする。まず何から話そうか。そうだな。最初から行こう。
俺は転移者だ。外見はこんな感じで若いけど実は色々あってエルフの血が混じって今1800歳になっている。そしてコタロウがここに君を連れてきたということは私の生まれ変わりということになる。
この世界を旅して色々学んだおかげで俺はこの世界の真理にたどり着いた。
生まれ変わりもその中の一つだ。
だけど、正直生まれ変わった俺には俺の人生を生きてもらいたい。
でも、どうしても力が欲しいならば受け取ってくれ。
正直この力をそのまま残すのはかなり危険なことだった。
だから、俺は10匹の仲間の魔物たちに俺の力の元を分散して守ってもらおうと思う。
ただ、できればお前はこの力を使わないでいても大丈夫なくらい平和な世界に生まれていてくれることを祈る。
正直魔物との戦いや戦闘で疲れた。
各国の思惑や陰謀によって俺は世界中で戦わさせられた。
時には死にそうになったこともあった。
でも、俺はなんとか生き延びた。
でも俺の人生を振り返ったときに何も残っていなかった。
わかるか。この辛さが。
世界を何度も救うくらい頑張った俺に残ったのは世界を何百回も破壊するくらいの力だけだった。
俺だって普通の恋愛がしたかった!
貴族の令嬢やお姫様とかばかりの政略結婚には本当にうんざりだった。
アルムノ帝国の姫ミルノは浪費家で私が貯めた貯金をすべて使い込み、国費にまで手をだしてそして国まで売り払った。
次の嫁の貴族の娘だったドッティは浮気性で、宮廷内の男のは全員1回以上寝やがったし。」
それからしばらくは過去の姫や貴族の嫁についての愚痴が続いた。
前世の俺どれだけ結婚失敗してたんだ。
正直それだけでなろうの恋愛カテゴリーを上から埋められるくらいだ。
ん?なろう?
ここ数日確かに何か俺の知らない情報が自然とでてくる。
それがきっと彼の生まれ変わりといいうことなのだろう。
彼の恋愛の失敗談が終わるとやっと本題に入った。
「…というわけでまずは、従魔の魔法を授けようと思う。この力があれば戦う仲間を増やせるからな。従魔術は世界最高の魔法だ。それを俺はこの1800年みんなに知らせてきた。だから、これをお前が覚えれば今回の人生でも人気者間違いなしだろう。ということで、充実した生活を送ってくれ。もしまた力が欲しくなったらばその時は次の従魔を探してくれ。それじゃあ元気で。」
そこで本が閉じられ本が俺の胸の中に入っていく。
過去主に転生前の記憶が蘇る。
それはとても不思議な感覚だった。
今までの人生はもちろん覚えているのに新しい自分が生まれる感じと言ったらばいいのだろうか。
二つあったものは自然と一つになり。
新しい自分へとなった。
「コタロウ、今まで守ってくれてありがとうな。少しだけ記憶が戻ったよ。随分仲間も増やせたようで安心した。」
俺がコタロウに声をかけると、コタロウは大きな涙を流しながら、
「この数百年お帰りをお待ちしておりました。」
そういって優しく俺へ頭をすりよせてくる。
「私は歳をとりすぎてしまったため、また一緒に旅ができないのが残念ですが、また世界樹切り倒して世界樹でお風呂作ったり、海王リバイアサンを捕まえてジェットスキーしたり、そういえば、鳳凰の羽をしばって一緒にスカイダイビングさせたのはいい思い出ですな。あの後鳳凰が人前にでることはなくなりましたが、今も元気でしているのやら。」
コタロウは遠い目をしてしゃべっているが、正直そこまで記憶は戻っていない。
ただ、記憶戻さない方がいいんじゃないかと思ってきた。
過去の俺かなりやべー奴だ。
「コタロウ悪い、まだ断片的な記憶しか戻ってないんだけど過去の俺はそんなやばい奴だったのか?」
コタロウは目をそらしながら、
「そんなことはないよなミルク。」
とミルクにふるがミルクは
「僕は悪いスライムじゃないよ。」
とボケをぶっこんでくる。
「わかった。もうこれ以上は聞かない。」
コタロウとミルクは上下に首を動かしている。
記憶戻さないほうがいいんじゃないか。




